表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界コンサル株式会社(旧題:冒険者パーティーの経営を支援します!!)  作者: ダイスケ
第三十四章 印刷の管理を支援します

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

573/763

第572話 教会の利益

最後に、3種類目の方法を説明する。


「3種類目の案としては、印刷の主体を管理する方法です。印刷機の技術を教会が主体で公開すれば、自分達でも印刷業を興したい、と考える人間が必ず出てきます。その人間に教会側として登録させてギルドを作るなりして教会の影響を残しつつ管理するのです。2種類目の案よりは手間がかかりませんし、技術の進歩を抑制する必要はありません。中庸の案、と言えるでしょう」


「なるほど。ギルド、という考え方はわかりやすいですね。前例のある仕組みですから教会の上層部にも理解できる仕組みかもしれません」


ギルドから教会に管理費用を上納させるようにすれば、教会の利権も確保できる。

教会の意に沿わない印刷物は、ある程度は管理することができる。

ミケリーノ助祭としては、2種類目と3種類目の方法で揺れているようだ。

その剃り上げられた頭の中では、上層部に説明するためのストーリーが高速で組み立てられているに違いない。


一通りの説明と提案はした。

あとは、先方からの質問を待つだけだ。

口を閉じて、ミケリーノ助祭の考えがまとまるのを待つ。


しばらく待っていると、ミケリーノ助祭が「幾つか確認があるのですが」と声をかけてきた。


「ケンジさんが考える教会の上層部を説得するポイントは、どこにあると思いますか」


「私は教会の上層部のことは全くわかりませんが」


「そうですね。ですが、正直なところ大きな組織がどのように意思決定をするものなのか、という点については、私よりも詳しいように感じるのです」


ミケリーノ助祭の指摘に、少しだけ笑みがこぼれる。

確かに大企業の意思決定が、どんな組織原理に基づいて行われるか、ということについては自分の方が詳しい点があるかもしれない。

そこに漠然とでも気がつくというのは、自分が迂闊なのか、それともミケリーノ助祭が経験を積んで鋭くなったのか。


「どうでしょうか?」


重ねて、問いかけられる。

そこまで言われるのならば、と少し整理してみる。


「結局のところ、印刷業という怪し気で判断のつかない事業が、果たして教会の利益になるのかどうか。あるいは教会に害を成すことはないのか。そのあたりを判断できるだけの枠組みと情報を提供できるか。それが上層部を説得するポイントであると思います」


「なるほど。わかりやすい。ですが・・・」


「そう、実際の判断はわかりやすくならない。ですが、それはそれ、だと思うのです。私には教会の上層部を動かすだけの縁故コネ権力チカラ資金カネもありませんから、それ以外の要素については提供する。それ以外のことは、ニコロ司祭にお任せします」


少々無責任な言い方に聞こえるかもしれないが、出来ることは出来るし、出来ないことは出来ないのだ。

自分の限界を知らなければ、他者と協力し、大きな仕事は出来ない。


印刷業が何をもたらすのか、教会の利益は何か、リスクは何か、それを判断できる情報はこちらで用意する。

その後の派閥闘争はニコロ司祭の派閥に任せる。

それが役割分担というものだ。

明日は12:00に更新します

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
一二三書房様 庭に穴が出来た 特設ページです https://www.hifumi.co.jp/lineup/9784891998769  バナーは書籍の特設サイトです 

i252242/
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ