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異世界コンサル株式会社(旧題:冒険者パーティーの経営を支援します!!)  作者: ダイスケ
第三十二章 交流の仕組みづくりを支援します

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第541話 説明会の理解

「今回の仕事、自分達はいろいろと驚いてます」


「なるほど。そうかもしれません」


うなずいてみせると、安心したのか職人達が口々に不安を述べ始める。


「驚きっぱしですよ。本当に。勉強になりますが」


「自分達もそうですが、正直なところ、理解できていない部分もあります。他の職人や、弟子たちにも全体を説明できる自信はないです。あまり、口が上手い方ではないので」


「うちもそうだ。なんていうか、昨日はわかったような気もしたんだが、酒を飲んで一晩したらさっぱりで・・・」


「だから、酒は適当にしとけ!って言ったろうが!」


「いやあ、頭をつかうと酒を飲みたくなるじゃねえか」


「まあ、わかるけどな」


職人達の放言を聞いて、クラウディオは隣で機嫌が悪そうに、こめかみをひくつかせているが、自由な発言を許すよう指示しているので懸命に黙っている。

仮にも代官の前で、自分達もあれだけ頑張った説明会の成果を、酒を飲んで忘れた、と言われれば腹も立つだろう。


自分の場合は、特に腹も立たない。

まあ、そういうものだよな、という諦めもある。


学習というのは習慣であって、一回説明しただけで理解できる人間はほとんどいない。

まして、初めて聞く概念を翌日からの仕事と結びつけて憶えていられる人間がどれだけいるものか。


だから、一回だけの説明会では学習の効果は上がらない。

情報共有の意識を一定の期間、高めることができたら、それで成果としては十分である。

それ以上を望むのは、自分の教育力と他人の理解力に期待をし過ぎというものだろう。


ひとしきり、職人達が言葉を吐き出すのを待ち続ける。

彼らは彼らで新しい事態に不安もあれば、ストレスもあるのだ。

それが如何に魅力的に見えようとも、馴染まない新しいやり方には、そういうものがつきまとう。


しばらく職人同士が話し合うというよりは、言いたいことを言い尽くすのを黙って待っていると、職人たちも言葉が尽きたのか、だんだんと静かになっていった。


「そこで、あくまでこれは案なのですが」


静かになったところで切り出すと、職人達の視線がこちらに集まる。


「毎日、工事の始めと終わりに、少しだけ話し合いをしましょう。今、どんな状況で、どんなことに困っているのか。気がついたことはなにか。それを報告してもらうだけでいいですから」


それを聞いて、職人達は顔を見合わせる。


「それだけで、いいんですかい?いや、その・・・」


言葉に詰まった職人の言葉を引き取って、別の職人が発言する。


「もっとこう、代官様が教会でなさったように、座って学ぶのかと・・・」


言いながらも、チラチラと不自然に視線を泳がせ、こちらの機嫌を損ねていないか、気にしているようだ。


「座って学ぶのも皆さんに刺激はあったかと思いますが、それだと皆さんの仕事に結びつきませんので」


意識付けの機会や装置としては、教会に呼んで一斉に座学をやらせるというイベントは効果があったが、日々の仕事に食い込んでいかないと、組織学習や改善の文化は育たない。


「他に何か心配事はありますか?」


質問をすると、職人達は一斉に左右に首を振ってみせた。

明日は12:00に更新します

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