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異世界コンサル株式会社(旧題:冒険者パーティーの経営を支援します!!)  作者: ダイスケ
第三十二章 交流の仕組みづくりを支援します

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第531話 統一コンセプト

午前中一杯をかけて一応の情報共有と議論が済むと、朝は元気だった新人官吏達は、あっという間にヘロヘロになっていた。


昨夜、自分が一晩かけて考え抜いた情報を短時間で詰め込んだのだから当たり前ではあったのだが、良い兆候ではない。

説明に力を割いたにもかかわらず理解されにくい内容は、聞いている側でなく話している側に問題があるものだ。

要するに、話がわかりにくいのだ。


「どうも、こちらの練り込みが足りないのかもな」


「・・・というと?」


最近、よく話しているせいかクラウディオは小難しい理屈に耐性がある。

だが、この優秀な新人官吏を基準にして考えてはダメだ。


「わかりにくいアイディアは、大体が失敗する」


持論を話すと、クラウディオが眉をしかめた。


優れた数式に美しさがあるように、優れた事業やアイディアには独特の美しさがある。

木札に書かれた20程の改善アイディアを見ると、個々のアイディアは優れているように見えるのだが、共通するわかりやすさが見えてこない。

わかりにくい。だから、失敗する可能性が高い。


「わたしには、ちょっとわかりかねます・・・」


このあたりは理屈ではなく感性の世界なので、何とも表現しにくい。

俗にいう「見えているか、見えていないか」ということなのだが。


「そう。それが問題だ。お前に理解できなければ、午後から話す専門家達にも理解できないだろうし、事業が始まったら現場で作業をする人夫には、もっと理解できないだろう」


製粉事業の水車小屋と一連の施設は模型を作ることで視覚的に理解してもらうことは可能だろう。

だが、一連の改善アイディアを理解してもらうには不足だ。

今、ここに見えていないことを想像し、理解してもらい、行動してもらうというステップが必要になるからだ。


「そんなことができる人間は、聖職者にも滅多にいません」


「かもしれないな」


だが、この世界でも優れた人間にはその資質がある。

ニコロ司祭などは明らかに、こちらが伝えた以上の情報を読み取っているし、剣牙の兵団のジルボアもその種類の人間だ。

彼らは限られた情報から全体像を読み取り、自分達に活かす術を知っている。


「あの人達は、特別ですから」


クラウディオが言うように、彼らは確かに特別だ。


「そうは言うが、普通の人間だって捨てたものじゃない」


自分のように普通の人間でも、ある程度の教育を受けたおかげで、彼らのような特別な人間とそこそこ渡り合って行ける。

ならば、この世界の普通の人間でも、集団であたれば何とかできるのではないか。

集団で話し合い、知恵を出し合うための組織的な仕掛けは作っている。

あと必要なのは、集団が共通して合意できるイメージだ。


「結局、製粉業のコンセプトの問題になるか」


10基の水車、農民が食べられる価格のパン、混入物のない小麦、自動化した工程、24時間稼働など、様々な事業のアイディアは上げてきた。

これらを統一してつなぐコンセプトが欲しい。


「・・・そんなことが可能なのでしょうか?」


気がつけば、新人官吏達が唸るのをやめてこちらを注視している。


「まあ、何とかするしかないな。一緒に考えるか?」


議論を持ちかけると、新人官吏達の頬が引きつるのが見えた。

本日は18:00にも更新します

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