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異世界コンサル株式会社(旧題:冒険者パーティーの経営を支援します!!)  作者: ダイスケ
第三十二章 交流の仕組みづくりを支援します

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第529話 情報の一覧化

職人達も帰り、すっかり静かになった工房の一画に、ランプの灯りを頼りに木札を並べてみる。


「ケンジって、並べるの好きよね」


後ろからヒョイと顔を出したサラが言う。


「先に寝ててもいいんだぞ。疲れてるだろうに」


「いいのよ、お酒を飲みながら見てるから」


見れば、サラの手には早速開封された赤い液体の入った杯があり、逆の手には、ナッツが盛られた皿がある。


「それに、何となく見てるのが好きなのよ。一人でいてもつまらないし」


そういうと、適当な椅子に座ってポリポリと齧り始めたので、それ以上何かを言うのはあきらめた。


一人で考えるのは好きだが、サラに見られているのは何となく邪魔にならない。

それに、2人で離れて行動していると灯り代が2倍かかるので、不経済なのは確かだ。


「20のアイディアを、そのまま考えるのは効率が悪い」


どうせ人が居るのなら、整理がてら少し大きめの声で独り言を言う。


「だから、最初に分類した方がいい。それには、並べてみることだ。だから、まずは全体が見えるように並べてみる」


人間が情報を整理する能力には個人差があり、訓練によって伸ばすことはできるが整理する方法を学ぶ方が効率はいい。

中でも、情報を一覧化するという方法は、いろいろな場面や人によって、様々な形で推奨されている。

例えば、情報はA4一枚にまとめろだとか、スライド一枚にまとめる、最初に結論を言う、概要を最初に書く、などなど。


要するに、情報の位置づけや処理の方法そのものを最初に提示することで、つづく大量の情報を処理するストレスを減らすわけだ。


さて、この改善提案をどのように分けて行くか。

この順位付けには、実施の勘所というか、センスが必要となる。

これが、理屈だけが先走る人間が計画を立てると、優先順位をつけて全てやる、というような馬鹿な計画になる。


「まずは、実行までのハードルが低いものからだな」


実行のコストが低いものを優先順位の上位に置く。


長期のプロジェクトでは、参加者全員に成功の手応えを与えるための、初期の成功というものが重要になる。

小さな成功で構わない。その成功体験が、その後の仕事の困難さを乗り越える力を与えてくれる。


その意味で、改善提案を実行することで実際に事業が改善される、という成功体験を作りたい。


「それでいて、事業全体で早期に実施できるものか」


木の札を、パズルのようにカラカラとかき回す。


「そうすると、小麦を運ぶ箱の規格化からか」


このアイディアは、小麦を運ぶ袋を木の箱に変えようというアイディアだった。

それだけなら俺が話したのと差はないが、箱の四隅に窪みと出っ張りをつけて、積み上げた時にズレないよう工夫する、というものだ。

キッチリと積み上げてあれば崩れることがないし、手癖の悪い人夫が箱を開けて中身を失敬することを防止できる、というのだ。


「大して難しい工夫じゃないしな。箱がキッチリ積めれば倉庫の管理もやりやすい」


小麦粉が溢れるのが不安なら、袋に詰めた上で箱に入れればいい。


「本当は鉄の鍵でもかけたいところだが」


「そんなことしたら、鍵が盗まれちゃうわよ」


後ろで酒を飲んでいたはずのサラから、少し酔った声で注意が飛んでくる。


サラの言うように、鋼鉄で出来た錠前などという高価な金属製品は、それ自体が盗難の対象になる。


「まあ、教会に封蝋なんかで封印してもらうしかないな」


物理的に対処が難しければ、権威を借りる。

教会の印の部門に、それ用の何かを作ってもらえば教会の利益にもなる。


「よし、次だ・・・」


そうやって、ランプの灯りを頼りに、木札のアイディアを一つ一つ評価する作業を深夜まで続けた。

明日は18:00に更新します

⇒すみません。所用のため22:00に更新します。

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