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異世界コンサル株式会社(旧題:冒険者パーティーの経営を支援します!!)  作者: ダイスケ
第二十五章 靴事業を拡大して冒険者を支援します

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第411話 盗難騒動の処理

職人の男は、観念したのか素直に情報を吐いた。

名前はサムズ。工房はファンデルフース。親方の名前はデラート。

工房に見学に来たときに名乗った情報と違うな。

今さら嘘を重ねているとは思わないが、兵団の人員に裏を取りに走ってもらう。


問題は、動機だ。


「それで?なぜ治具を盗んだ?」


「たくさんあったから、ば、バレないと思って・・・」


思わず天を仰いだ。


一応、幾つかの事態を想定はしていたのだ。

敵対する貴族の差金、機密を盗もうとする大商人の企み、教会の敵対的派閥の陰謀、そういった計画的な事件であれば良かった。

敵がハッキリと見えていれば、それと戦えばいいのだから躊躇はない。


だというのに、ただの衝動的行動だったのか。

この世界のモラルは低い。きっと、この男の行動に大した理由はなかったのだろう。

そこに道具があった。欲しくなった。バレないと思った。


「俺が丁寧に接していたから、甘いとでも思ったのか?」


顔を近づけると、男は視線を逸らした。


「これから、お前がどうなるか教えてやろう」


目の前で指を折って、1つ1つ、今後の措置を数え上げる。


「まず、お前の右手の指を切り落とす」


「お前の家に行き、部屋の家具を叩き壊す」


「工房に行き、道具を全て没収し、工房を叩き壊す。親方も死なない程度に叩きのめす」


「最後に、工房の前に今回の措置の理由を書いた看板を立てる。二度と、同じことをする連中が出ないようにだ」


数え上げるたびに、男の顔色が青を通り越して、黒くなる。


「た、たすけて・・・そんなつもりじゃ・・・」


「お前がどんなつもりでも関係ない。やったことが全てだし、この街で商売をしている以上は見逃せない」


それ以上喚かれると煩いので、猿轡を噛ませて縛り上げた上で転がしておく。


「さて。裏を取るまで時間があるんでね。そっちの2人からも事情を聞こうか。素直に喋ってもらえると助かるんだがな」


壁際に座らせていた2人の職人は、物凄い速さで頭を上下に往復させた。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


この部屋は音が漏れないよう窓がない。薄暗いランプの明かりが照明の全てだ。

陰鬱な空間で時間を潰していると、ますます気分が沈んでくる。


しばらく待っていると、団員の1人が部屋に入ってきてキリクに耳打ちした。


「小団長、裏は取れたようだ。そいつが吐いた情報に間違いはなかったようだ」


「そうか」


2人の職人にも声をかける。


「ご迷惑をかけて済みませんでしたね。これは、今回の迷惑料です」


1人につき銀貨3枚を握らせると、職人達は恐縮して逃げるように去っていった。

彼らは、今日の顛末を大声で酒場で宣伝してくれるだろう。

宣伝料だと思えば、安いものだ。


その後のことは、あまり思い出したくもない。

男の右手を棒で叩き潰し、団員に依頼して部屋と工房を壊し、親方を叩きのめし、看板を立てた。

直接手を下しはしなかったが、その全てに俺は同道した。

結局のところ、俺が甘く見られていることが要因の一つではあったし、汚い仕事を命令だけして自分は見て見ぬふりはできない。


全ての処置を終えて夜遅く事務所に戻ると、サラが起きて待っていてくれた。


「今日は疲れたよ、サラ」


「そうね。大変だったみたいね。酷い顔をしてる」


「ああ。酷い日だった」


それだけ言って衣服を着替えベッドに横になる。

眠る前に、明日からはもう少しマシな日であることを祈らずにはいられなかった。

明日も18:00に更新します

⇒本日、通信環境のない場所へ外出のため18:00の更新はできないかもしれません

22:00の更新はします。

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― 新着の感想 ―
[一言] この治具、道具の盗難と言うのは現在の工場でも普通にあります。 もちろん日本でも普通にあります。 そう言う会社は大体無くなりますが(経験者)。 でも、これが自衛隊や米軍の装備のメンテナンスを日…
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