第394話 調査計画のプレゼン
「それでは、領地開発計画の説明をさせていただきます」
緊張した様子で、クラウディオが説明を始める。
「領地開発計画は、大きく分けると、4つの局面に別れます。
1.調査、2.管理、3.開発、4.徴税です。
1.調査は、資源調達、調査実施、結果評価の3つの局面に別れます。
結果評価を受けて、開発計画へと移ることになります。
2.管理は、今回の領地開発で特別に設定された方法です。
遠方から管理できること、開発状況を適宜確認できるよう透明性の高い管理手法を開発することを目的としています。多くは農地の育成状況を正確に知ることが眼目になるかと思います。常に連絡を取り合うための基盤の構築も、ここに含まれます。
3.開発は、農地開発、水路開発、商品開発になります。ただ、現地を調査しないことには何ともいえないところです。具体的な開発計画については、調査終了後に再度、検討いたします。
4.徴税は、新しい管理項目に基いて適正な水準で適切な対象から行われます。また、定められた税金以外の諸税をなくすことを目的としています」
ここまでは特に疑問はない。
いろいろと難しいことを言っているように聞こえるが、要点は2つである。
実際に調査しなければよくわからない、管理には新しい手法を使う、それだけである。
しごく、当たり前の話であるから頷いて、先を続けるよう促す。
「調査については、調査に必要な時間、人材、費用の予算を策定後に調査を実施いたします。
調査自体を目的とすることを避けるためです。それが、調査資源の調達という項目になります。
次に、調査の具体的な項目を上げていきます。
現地訪問調査、農地調査、領地財務調査、村内人口戸籍実態調査、領地法令関連調査、重要人物調査、徴税実態調査、外部資源価格調査、出資希望調査です。
言い方を変えると、実際に村を訪問し、農地、借金、人口、税金を調査すると共に、法律、キーとなる重要人物の人柄、外部から購入する際の価格調査、村の開発に投資してくれそうな人物の調査を行います。
調査結果については、こちらの予測を含めてズレを評価し、報告書に起こします。
この報告書だけでも、教会や出資者にとって中間成果として大きく評価されることでしょう。
資金調達面でも、優位になるはずです」
近代的な検討方法を用いたせいか、なかなか論理的な説明だ。
調査計画としては、なかなかだ。俺も投資したくなってきた。
「ここまでで、何か疑問はありますか?」
と、ここで質疑に応じる用意がある様子を見せてきた。
プレゼンを行う場合、勢いで最後まで続けて説得しきる方法と、適当なタイミングで質疑を挟んでいく手法があるが、クラウディオは後者を選んだようだ。そして、その手法は自分の好みに合致する。
勢いで最後まで話されるのは、こちらを騙そうとしているのではないかと疑いを持ってしまうので好きではない。
このあたりの自分の好みを押さえている新人官吏達は、なかなか優秀ではある。
本日は22:00にも更新します




