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異世界コンサル株式会社(旧題:冒険者パーティーの経営を支援します!!)  作者: ダイスケ
第二十四章 新人官吏達が冒険者を支援します

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第387話 仕事が目に見えることの意味

サラは自分に注目が集まったので、頭の中に浮かんだ映像を言語化しようと、懸命に口を動かした。


「ええと・・・前に靴をすごく急いで作らなきゃいけなくなったことがあって、その時も板切れを使って仕事の計画を立ててたんだけど、パズルみたいに動かしてたら短くなったの」


「パズル?」


「えっと、こう板を縦にしてね、そうすると短くなるでしょ?」


サラは、手近な板切れを手に取り、くるりと動かしてみせたのだが、他の者達には理解ができないでいる。

そんな様子を見かねたのか、同じようにケンジの計画を見たことのあるシオンが説明をフォローした。


「私も、そのときの様子を見てました!仕事が多くて絶対に期限内に終わらないと思ったんですけど、代官様が、この仕事は冒険者に任せよう、とか、この仕事は先にやっても大丈夫だ、とかパズルみたいに板切れを順番に動かして、それであっという間に生産の計画が短くなったんです!忙しかったけど、まるで魔術でした!」


「そう、それ!あたしが言いたかったのは、冒険者でも誰でもいいけど、あたし達でなくてもできることは任せたらいいってこと!それから、順番じゃなくてもいい仕事ってあるでしょ?」


2人が懸命に言い立てるので、残りの官吏達も腰を据えて理解しようと試み始めた。


「つまり・・・、仕事を分けるってことだな?俺達でないとできない仕事と、誰でもできる仕事に。まずは、それをやるか。板切れに、誰でもできる仕事に印をつけよう。俺達の誰かでないとできない仕事には名前を書くか」


「なるほど、それはわかりやすい」


そうして、6人は床一面に並べられた板切れに印と名前をつけ始める。

すると、すぐにその作業の意外な効能を発見することになった。


「板切れに名前を書くと、どれが誰のやるべき仕事かわかりやすいな。仕事の責任者がわかる。しかも全員の目にさらされるから、ごまかすこともできん」


「そうだな。小さな単位で仕事の責任者が見えているというのは、仕事の進めやすさが段違いになるだろう。これが広く共有されれば、水車小屋や大聖堂を建てるのも随分と楽になることだろうさ」


特に将来は、兵団において補給や兵站を将来担うと目される者達や、教会において大聖堂の建設などを目論む者達にとって、この手法は宝の山とも言えるものである、と徐々に受け入れられ始めていた。


そうして板切れに一通り、担当者の名前をいれてみると、また別のことに気がつくことになった。


「しかし、こうしてみると名前の多く出てくる者と、あまり出てこない者がいるな。負担が不公平なのではないか?」


「いや、確かに回数が多い者もいるが、1つ1つの仕事が簡単なものと、回数が少なくても仕事の負担が多いものを単純に比較はできんだろう」


仕事の担当者が視覚化されるということは、その負担も視覚化されることである。

それは名前の登場回数となって、見えるようになったということだ。


「いやー・・・これは、楽している奴がいたら、すぐにわかるな」


「たしかに。いいことだが、少しばかり怖いな」


どこの組織にも、要領の良い者、立ち回りの上手い者というのはいる。

大きな仕事になれば、その手のフリーライダーは出てくるものだ。

だが、仕事の担当と負荷が明確になれば、仕事をしているかしていないかが誰の目にも明らかになる。


手法の正しさに疑いは持たないが、組織のありように与えるかもしれない影響を思い、クラウディオは天を仰いだ。

本日は22:00の更新は難しそうです

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