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異世界コンサル株式会社(旧題:冒険者パーティーの経営を支援します!!)  作者: ダイスケ
第二十二章 部下を教育して冒険者を支援します

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第365話 指標の話

新しい管理方式はどのようなものにするか、業務のレベルに落として説明を始める。


「新しい管理方式として焦点を当てるべき点は2つだと考えている。

どんな指標を管理するべきか。それを、どのように早期に把握し、共有すべきか」


新人官吏達の顔に、いったい何のことだろうという困惑の表情が浮かんだのを見て、冒険者や傭兵に分り易い事例を用いて、補足の説明をする。


「指標という言葉に馴染みがない者がいるかもしれない。

だが、冒険者や傭兵なら、割のいい依頼、割のよくない依頼という形で、日常的に馴染みがあるはずだ。

例えば、駆け出し冒険者なら1日で銅貨5枚なら、割のいい依頼。だが、一流クランなら10日で金貨1枚なら、割の悪い依頼だ。


比較しやすいように、1日あたりの依頼料に直してみよう。

駆け出し冒険者なら1日銅貨5枚、一流クランなら1日大銀貨1枚になる。

つまり、大手クランの連中は駆け出し冒険者の20倍は稼ぐ、ということだ。


今、比較しやすいように1日あたりの稼ぎに直しただろう。これが、指標だ。今、何が起きているのか。物事がうまくいっているのか、うまくいっていないのか数字で掴めるようにするんだ」


同じ発想は、冒険者ギルドの報告書でも使っている。

それで冒険者に何が起きているのか、どうすべきなのかを数字で証明した。

ニコロ司祭は、その報告書を見て接触を図ってきたわけだが、若い聖職者達には統治者としての経験が浅いせいか、そこに何かを感じるセンスはないのかもしれない。

怪訝な顔をして、聖職者のパペリーノが質問をする。


「冒険者のようなお金をもらう仕事なら、その指標というのにできるかもしれません。ですが、農村の管理に使えるものなのでしょうか」


丁度いい反応なので、元農民であるサラに聞いてみる。


「農村で麦の収穫が良いか悪いか、どのくらいの時期にわかる?」


俺に妙な質問を突然振られることに慣れているのか、特に焦ることなくサラは少し考えて答える。


「そうねえ・・・春に植えて、夏にはわかるかな」


「それは、なぜわかるんだ?」


「えーと・・・いいときはこう、沢山麦ができるから、麦の穂がぐっと太ってるんだけど、悪い時はもう、すっかり痩せてるの」


サラの答えに頷いて、全員を見回す。


「さて、ここで指標を作るためのヒントがある。収穫がどのぐらいになるか、夏にわかっていたら役立つと思わないか?」


「ええと、そうですね。いいか悪いか、ぐらいは報告はされますが、それが数字で具体的にわかれば、それは画期的なことです。ですが、そんなやり方、聞いたことがありません」


パペリーノが面食らって答える。


「他の意見はないか、何かやり方は?」


辛抱強く待っていると、職人のシモンが小さく自信なげな声で言った。


「あの・・・麦の粒を数えたらどうでしょう?」


「麦の粒を数える!いいアプローチだ。他には?」


意見を出すことを促すため、大げさなぐらい褒める。

全員の中で、最も学と経験がなさそうなシモンが褒められたことに対抗意識を燃やしたのか、全員の議論が活発になりはじめた。


「でも、いい麦と悪い麦って、全然違うのよ。悪い穂って、数はあってもスカスカなの」


「じゃあ、粒の数だけじゃなくて重さも測ろう」


「いい畑と悪い畑で差もあるでしょ?しっかり休ませた畑と、休ませる予定の畑だと収穫が全然違うのよ」


「それなら、いい畑と悪い畑から10本ずつ取ったら?」


「ちょっと勿体ないけど、そうするしかないのかなあ」


「日にちを合わせる必要があるな。他所の領地と比較できたら、もっといい」


「夏だけじゃなくて、毎月、測ったらいいかもね」


大体、議論が煮詰まってきたところで、手を叩いて注意を引く。


「今の議論が、まさに指標をつくる、ということだ。これで夏の段階で、収穫がどのくらいになるか予測するための具体的数字が手に入る。こういった数字を追いかけて、管理するんだ」


今度は、俺の意見に異論を挟む者はいなかった。


以降、新人官吏達を交えて領地の実際を把握するためにどんな数字が必要なのか、熱心で具体的な議論が進むことになる。

本日は18:00にも更新します

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