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第34話 圧倒的な評判の作り方

 圧倒的な評判を確立するためにどうするか。

 しかも、この街を出ないで、貴族や他の街に知られるほどの評判だ。


 俺はジルボア評判ブランドを確立するための施策を

 立て続けに並べ立てた。

   

「あんたは、今から大叙事詩サーガの英雄だ。

 街の酒場や広場で吟遊詩人達は、怖ろしい怪物を駆逐する

 戦士達の唄を歌うようになる。

 主役は、剣牙の兵団と、お前さんだ。

 吟遊詩人を複数雇って、歌を作らせるんだ。


「あんたは顔がいい。

 街の歌劇団にも物語を売り込むぞ。

 善良な人々を脅す怪物を、あんたの役者が剣で一振りで薙ぎ倒す。

 これは事実ですってな。作りごとでない英雄の話。

 絶対に受ける。

 評判のいい歌劇団は貴族に呼ばれることもある。

 他の街へ巡業もしているから一挙両得だ。


「それから、装備を整える。

 今でも装備は充実してるが、何か統一性を持たせたい。

 一目で剣牙の兵団とわかるように、色を塗るか。

 黒地に赤い縁取りとか。目立つぞ。

 騎士連中は、大体が銀ピカ鎧に青の上衣サーコートだからな。

 それとは違いを見せるんだ。

    

「隊を象徴する意匠が欲しいな。

 騎士階級以上でなければ紋章は禁止されてるが、なに、構うものか。

 単純化した意匠にして、紋章ではない、模様だ、と言い切るんだ。

 剣と牙を意匠化した黒地に赤い斜めの直線と曲線を交差させる

 のはどうだ。

 その意匠を、盾、鎧、武器、装備に刻むんだ。

 街の冒険者たちは、その意匠を怖れ、憧れるようになるだろう。


「依頼を受けるときは、街の衆に見えるところで、

 出陣式と凱旋式をやろう。

 1等街区でやりたいが、2等街区でもいい。

 装備を揃えて、君主が騎士を閲兵するように演説をするんだ。

 何のために戦うのか、何を成し遂げたのか、

 それを街の衆にも聞こえるよう毎回、知らしめるんだ。

 街の衆は剣牙の兵団の出陣式を楽しみにするようになるだろう。


「剣牙の兵団の、歌を作ろう。意匠だけでは片手落ちだ。

 それは、剣牙の兵団の精神を表す歌だ。

 訓練で歌い、戦いの前に歌い、戦いの後に歌うんだ。

 それが剣牙の兵団の精神的な支柱になる。


団長ジルボアは、ただ剣を振るだけの大将から、

 怪物をいとも容易く討伐する英雄の対象シンボルになるんだ。

 あんたが怪我をしたり、死んだりしても精神は剣牙の兵団に

 残り続ける存在になるんだ」

   

 これだけの内容を一息に言い切ったあと、俺は言う。


「俺の提案は以上だ。幾らで買うかな?」


 ジルボアとスイベリーは絶句していた。

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