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異世界コンサル株式会社(旧題:冒険者パーティーの経営を支援します!!)  作者: ダイスケ
第二十章 冊子を印刷して冒険者を支援します

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第324話 描ける人はどこにいる

1枚目の絵は、線がグネグネと走り、左右のバランスがおかしい。まず筆に慣れるところから必要そうだ。

2枚目の絵は、輪郭線を二重三重になっており、頭蓋骨の形を描くのに苦労した後が伺える。

3枚目の絵は、見たままというより、自分の頭の中にある絵を描こうとしているのか、形が違う。


「なかなか、簡単にはいかないもんだなあ」


と職人たちが悪戦苦闘して描いた絵を見ながらごちる。


「そりゃそうよ。絵なんて描いたことないもの」


と、お茶を淹れてくれたサラが言う。


「むしろ、下手な癖がついていない分、子供の方が絵が上手くなるかもな」


芸術的天分に、年齢はあまり関係ない。

短期的成果を諦めるなら、将来投資として職人の子どもたちに絵画教育をしても良いかもしれない。


今は冒険者向けの守護の靴は機能性だけを強調することで売れているが、将来的にはデザイン性なども付加して売っていくことになるだろう。

自動車製造で初の大衆向け量産車であるT型フォードが、量産の妨げになる、と黒一色塗装を頑なに貫いた話は、個人的には好きな話だが、色のべリエーションなどが量産性を担保した上で増えていくことは望ましい。

サラも、自分だけの赤い靴を気に入っているようだし。


「そうね。出入りしてる子には、頭の良さそうな子も多いし、きっとできるようになるわよ」


サラは最近、お手伝いに来ている子供にお気に入りがいるらしく、よく可愛がっている。

故郷の農村に残してきた弟妹を思い出すのだろうか。


守護の靴が大幅増産を続けているため、職人の妻子が手伝いに来る体制が続いている。

枢機卿の靴の生産の時に暫定的に採用した体制だったので、彼らの負担を考えて中止しようと思ったのだが、そう言うと当事者である職人と妻子に大反対されのだ。

払える賃金としては大した金額ではないと思うのだが


「ご飯が美味しいから、ずっと来たいです」


と、朝から手伝いにくる子供たちが言うのだ。


元の世界の感覚で児童に労働させることに少し抵抗があったのだが、朝の2時間程度のことであるし、栄養が改善されるのだから、地域への給食配膳だと思って続けることにした。

朝の薪代が節約できる、というのは職人たちの家庭にとってもありがたいのだろう。

革通りでは加工などに使う業務用に熱源が有り余っているし、朝から作りたてで温かいご飯が食べられるというのは、食中毒などの衛生問題や、手元の暗い中で料理をして怪我をするリスクを避けられる、という意味もある。


それに、仕事を同じくする大勢で食う飯は、確かに美味い。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


いろいろ考えた末、冒険者ギルドで絵が描ける冒険者を募集することにした。


とは言え、いきなり完成品が描けるとは思っていない。

男爵様の絵を印刷したものを見本として貼り出して、期間を区切って、もっとも上手に模写できた冒険者に賞金を払う、ちょっとした賞金コンテストのようなものだ。


代筆は認められないので、道具は貸し出すが冒険者ギルド内で描いてもらうことを条件に、10日間で最も上手であった者に大銅貨2枚の賞金を出すことにした。


大銅貨2枚と言えば、ちょっとしたゴブリンの巣を叩くのに匹敵する賞金だ。

それが、武装や防具の消耗もなく、たった1人で請けることもできるし、しかも絵画の道具は貸してもらえる、とあって大勢の冒険者達が依頼を受けようとギルドの受付に押し寄せた。


特に多かったのが、武装に不安のある駆け出し冒険者で、あわよくば賞金をせしめて武器や防具の充実につなげたい、という思惑の者が多かったようだ。


ギルドから「道具の補充をお願いします」という依頼を受けて頻繁に補充しつつ、完成品の羊皮紙を眺める日々。

大半は、努力は認めるが・・・という水準の絵の中で、数枚の絵に目を惹かれるものがあった。

本日は所用のため22:00更新はパスさせてください。

明日は18:00と22:00に更新します

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