表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界コンサル株式会社(旧題:冒険者パーティーの経営を支援します!!)  作者: ダイスケ
第十九章 研究者と協力して冒険者を支援します

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

312/763

第311話 怪物の絵図

数日後、ジルボアと連れ立って男爵様のアトリエを訪れることとなった。

一応、剣牙の兵団から護衛もついていたのだが、集団の中にジルボアがいると、俺の護衛についているというよりも、ジルボアとお付の人達、という絵面になってしまうのは仕方がないところだ。


そうして訪れた男爵家で案内をしてくれた家人によれば、


「男爵様は、奥の部屋で作品を製作中でございます」


とのことなので、以前、訪れた吹き抜けの広い空間へと向かう。

すると、カンバスらしきものに向かって一心に筆を走らせる男爵様の姿があった。


人の身長の半分程の大きさのカンバスには、男爵様が特別に作らせた細い筆で、ゴブリンの全体像らしきものが描かれていた。

らしきもの、と表現するしかなかったのは、そのゴブリンの実物大らしき絵には、ゴブリンの外見を示す皮膚がなく、筋肉や内臓、骨が剥き出しに描かれた半解剖図のような代物だったからだ。


これには、さすがのジルボアも目を見開いて言葉を失っていたので、俺が代わりに声をかけた。


「男爵様、それは過日の怪物の姿でございますね」


すると、ちょうど腹にあたる部分の断面を書き込んでいた男爵様が顔をあげて


「おお、来たか。待っておった。お前達の感想を聞きたいと思っておったのだ」


と、実物大の解剖図を背景にして、笑顔で言った。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


「これはゴブリンの図ですね。随分と変わった形式で描かれているようですが・・・」


と怪物の解剖図を目にして、ジルボアが困惑した様子で男爵様に説明を求める。


「うむ!先日の観察行は、非常に有意義であった!怪物の臓腑が実際に動いているところを見る機会などなかったからな!どうだ、よく描けておるだろう?」


と、男爵様は鼻高々に解剖図を指し示す。


「それとな、こちらもどうだ?あれは臓腑だが、こちらは足だな。ゴブリンという怪物の足は実によくできていてな、足が小さい割に爪が大きく発達しておってな、足裏にはビッシリと硬い毛が生えておる。これで岩場でも滑らず、足を傷めず移動しておるのだな。足跡も描いておいたぞ?若いゴブリンは足裏の毛が薄いらしくてな、足跡の形が違うのだ。よりクッキリと形が残っているのが若いものの足跡だな・・・」


そうして観察から得た新しい知見を嬉しそうに開陳する。

俺とジルボアは、男爵様が描いたゴブリンと魔狼の解剖図、足跡図、各部位の拡大図などの様々なデッサン、発見について只管に拝聴し、頷く機械と化して、多くの時間を過ごすことになった。


そうして数時間ほどすると、男爵様も自分の長年の研究欲求が形となった喜びと、それを人に伝えられる興奮がようやく落ち着いてきたのか、


「それで、お主らを呼んだ本題だが」


と、用件を切り出した。

てっきり、出来上がった絵の自慢をすることが用件だと思っていたので、俺は目を瞬かせた。

明日も18:00と22:00に更新します

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
一二三書房様 庭に穴が出来た 特設ページです https://www.hifumi.co.jp/lineup/9784891998769  バナーは書籍の特設サイトです 

i252242/
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ