表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界コンサル株式会社(旧題:冒険者パーティーの経営を支援します!!)  作者: ダイスケ
第十九章 研究者と協力して冒険者を支援します

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

302/763

第301話 過剰護衛

その日、男爵様は特別に作らせた、という2台の馬車で朝も暗いうちからやって来た。

1台目の馬車に男爵様と少数の護衛が乗り、2台目の馬車にはテントや食料などの野外生活装備が積みこんであるらしい。

馬車も車体のフレームが太く、車輪幅も広くなっており、泥濘にハマり込みにくく、速度よりも走破性を重視した軍などで使用される馬車を手に入れて改装したもののようだ。


「この短期間で、よくご用意されましたね」


外出と調査が決定してからいくらも経っていないのに、これらの装備をどうやって用意したのか。

不思議に、かつ半ば呆れて感想をもらすと、男爵様は胸を張って


「前から野外で調査をしてみたかったのでな、準備だけはしてあったのだ!」


と仰られた。

人間、興味のあることであれば誰しも色々と想像の翼を羽ばたかせ、代償行為として何かを買ったり集めたりするものだ。

だが、男爵様の場合は、少しばかり財力と実行力が飛び抜けていたようだ。


「男爵様、剣牙の兵団も準備が完了しております。ご旅行の間、御身の護衛については我らにお任せください」


上衣サーコートと鎧を身につけ、魔剣を佩いたジルボアが、冒険者とは思えぬ優雅な礼をする。

その傍らにはスイベリーが立ち、背後には20人を越す剣牙の兵団の団員達が控えている。

全力出動の半分に近い過剰戦力だ。

これだけの戦力がいれば、ゴブリンであれば、ちょっとした軍隊並の集団を相手取って勝つことができるだろう。

いったい、何と戦うつもりなのか。


一方、俺は1人だけで来ていた。参加者としての扱いは剣牙の兵団の1人であるし、サラには街の工房を見ていて貰わなければならない。剣牙の兵団の一行の中にいれば、護衛も必要ない。


ここ最近は街中でも護衛がつくのが当たり前の生活をしていたので、久しぶりの解放感があるが、傍らにサラがいないのはなんとなく妙な感じだ。


日が昇り、街の門が開くと同時に団長のジルボアの凛とした声が響き渡る。


「これより剣牙の兵団はベルトルド男爵を護衛して、ゴブリン狩りに出立する!」


団長に指示に合わせて団員たちが隊列を組んで場所を先導して動き出す。

こうして、俺達は、この街始まって以来、もっとも過剰な戦力でゴブリン狩りへと繰り出すことになった。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


街を出て、一行はゴブリン狩りの依頼のあった村へと道を進む。


男爵様は馬車に乗っているが、俺のような平民は貴人と同じ馬車に乗るわけにはいかない。

必然、会話をしようと思えば、男爵様が馬車の窓から顔を出し、俺は馬車の横を歩く形になる。


「街の外というのも、案外、怪物が襲ってこないものだな」


男爵様が、焦れたように言う。街から出たことのない男爵様からすると、一歩城壁の外は怪物が常に襲い掛かってくる、人の住む世界ではないように思っていたのかもしれなかった。


「男爵様、まだ朝方で日も高いですし、街のすぐ近くでございますから。これから1日ほどかけてゴブリンが現れた村まで移動いたします。怪物にも知能がありますから、少人数の隊商など、もう少し襲いやすそうな獲物を狙うのではないでしょうか」


何しろ、俺達は完全武装した一流クランの団員達が20人以上、軍用を改装したゴツい馬車が2台、それを率いているのは亜竜の首を断ち落とした人外に足を踏み出しつつある団長である。

怪物に少しでもまともな知能なり本能なりがあれば、絶対に近づかないのではないだろうか。


むしろ、この過剰戦力で村に近づけば、獲物が逃げ散ってゴブリン討伐の依頼が果たせなくなるのではないだろうか。

俺は、そちらの方が心配だった。

明日も18:00と22:00に更新します

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
一二三書房様 庭に穴が出来た 特設ページです https://www.hifumi.co.jp/lineup/9784891998769  バナーは書籍の特設サイトです 

i252242/
― 新着の感想 ―
[一言] ゴブリンさん逃げて!!(;・∀・) まあ、このクランの事だから釣り出したり捕縛ぐらいは お茶の子さいさいだろうなぁ。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ