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異世界コンサル株式会社(旧題:冒険者パーティーの経営を支援します!!)  作者: ダイスケ
第一章 かけ出し冒険者の支援をはじめました
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第03話 最初の客から無茶ブリが

「じゃ、あたしがお客の1号ね!」


 サラは、勢いよく向かいの席に座った。

 後ろにまとめた赤毛が跳ねる。


「そうだな、まあ最初の客だから相談は成果報酬にしとくか。大銅貨1枚・・・は無理か。銅貨3枚でどうだ?」


 相場はいろいろだが、大銅貨1枚で2週間ぐらいは暮らせる。銅貨3枚なら2、3日といったところか。

 貧乏人から巻き上げてもしかたないからな。


「うーん・・・いいのかな?いいきもする。」

「ま、何もなければ金は取らねえよ。お前に金がないのは知ってる。」

「わかった!じゃ、お願い!」


とりあえず口頭で契約。

契約書を交わしたりはしない。

冒険者ばかには字が読めない連中も多いので、契約書はだます準備のように見えるらしく、かえって信用されないのだ。


「で、何が困ってるんだ?」

「あたしじゃなくてね、友達のアーチャーなんだけど、やっぱりお金に困ってるの。

 矢のお金がすごくかかるんだけど、パーティーは負担してくれないんだって。

 ちっとも稼げないから、抜けようか迷ってるって言ってた。」


「問題点は2つだな。

 1つめ。サラも困ってた矢の費用。これは鏃をまとめ買いしたらいい。

 むしろ、サラと一緒にまとめ買いしたらもっと安くなる。

 

 2つめ。冒険にかかった費用分担のルールがない。

 まあ、大手になれば出納すいとう係がいてしっかり分担するんだろうけど、駆け出し連中には無理だよな。」


「それは、私もわかる。1つめは私の鏃と一緒に買えばいいよね。

 2つめは、どうしたらいいの?

 私も、矢が高かったとか言ったことあるんだけど、なんか剣士も研ぎ代がかかったとか、魔術師も触媒が高かったとか言って、うやむやになっちゃったんだよね・・・。

 私じゃ、相手の言い分が正しいのか高いのかわかんないし。」


「抜けて別のパーティーを探してもいいが、別のパーティーでも付きまとう話だな。そうだな、俺が相場のマニュアルを作ってやるか。」


「そういうの、冒険者ギルドがやってくれるんじゃないの?」


「あんなお役所仕事の素人連中にできるかよ!!」と俺は吐き捨てた。


 この世界にも、冒険者ギルドというものはある。

 だが、仕事内容は現代の派遣会社の斡旋に近いかもしれない。


 依頼を募集し、その仕事ができそうなパーティーに割り振る。

 成果の確認をして、支払いをする。


 冒険者の登録や抹消しぼうかくにんなど、人員管理もする。


 魔獣素材の買取もする。


 しかし、それだけだ。


 高位冒険者に対しては、いろいろサポートをするのかもしれないが、一山いくらの駆け出し連中のサポートなぞしない。


 ゲームとは違うのだ。

 初心者支援はない。農村から無学な食いつめた連中がやって来て、無謀な依頼に挑んで死ぬか、体が不自由になるほどの傷を負って補償もなく、引退する。


 1年も続けられる奴は半分もいない。


 そういう仕事だ。


 素人を相手にした殿様商売、というのが俺の冒険者ギルドへのイメージだ。



 だが、マニュアルを作っても、字の読めない連中に配布はできない。

 文字通り、絵に描いた餅になるだろう。


 文字が読めない食いつめた素人に、どうやって相場感や交渉を教えるか。


 なかなか悩むところだ。

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