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異世界コンサル株式会社(旧題:冒険者パーティーの経営を支援します!!)  作者: ダイスケ
第十四章 事業を拡大して冒険者を支援します:ブランド管理編

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第205話 印の違い

教会の許可は得たが、これまでになかった部門を立ち上げるのであるから、教会に設立、運営ノウハウはない。

当然のことながら、議論の流れで組織の設立には俺が全面的に監修することになる。


だが、困ったことに俺には教会内の規則や慣習といった方面の知識がない。

それで部門立上げにニコロ司祭から人員を借りることにした。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


「それが私というわけですね。ニコロ司祭も人使いが荒いことです」


そう言ってミケリーノ助祭は若々しい相貌を掌で撫でた。


「それにしても少しばかり驚きました。貴方のところには随分と変わった人たちがいらっしゃるんですね」


ミケリーノ助祭が、そう言うのも無理はない。


ニコロ司祭との面談から数日後、3等街区の教会の一室に、俺は会社からサラ、アンヌ、キリク、ゴルゴゴを連れて来て、騒々しく円卓を囲んでいたからだ。


どの面々も、幼くして教会に入り、只管エリート街道をひた走ってきたミケリーノ助祭には接したことのない人種だろう。


特にアンヌは、若手で出世頭のミケリーノ助祭に対して非常に関心が高く、衣装でもってアピールをしようと鼻息が荒い。心なしか、いつもの衣装よりも胸元が開いているように見える。


ゴルゴゴは職人の常で、こうした会議への出席を嫌がったが、どういった印を靴のどの部分に入れるのが技術的に、また製造上の無理がないのか、素材をどうするべきか、という議論に欠かせないので出席してもらっている。


キリクは護衛なので会議自体に参加する必要はないのだが、印をつける商売について関心があるのだろうし、後でジルボアに報告もするのだろう。


一応、ミケリーノ助祭を擁護しておくと、彼が特別に世間知らずというわけではなく、この世界の人々は、ごく狭い範囲の共同体コミュニティの中で暮らしており、基本的には自分と同じ階層や職種の人達としか交友関係がないのが普通だ。

俺がこの世界で初めて設立した会社という、機能を第一とした組織が、身分や職能を中心とした組織が普通であるこの世界の常識から外れているだけのかもしれない。


「あなたが色々と柔軟な意見を持っている秘密の一端が判った気がしますよ」


などとミケリーノ助祭は言うが、少しばかり買い被りのように思う。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


一通り自己紹介なども済んだところで、俺は今回の教会との共同事業と部門を立ち上げることになった経緯についてミケリーノ助祭がいるところで再度説明し、共有する。

もちろん、ミケリーノ助祭が来る前に社内で説明はしているが、同じ内容の説明をするのはミケリーノ助祭と議論をするにあたり、知識と認識が合っている、と知らせるために必要な手順と考えてのことだ。


「そういうわけで、今日は教会の印を管理する部門を設立し、運営するにあたって課題を議論したい」


俺が取りまとめると、ミケリーノ助祭が補足してくれた。


「皆さんは教会の印に費用を払う側になるわけですから、利用する側としての意見を聞かせて欲しいのです」


そう言うと、俺を除く全員は、とりあえず頷いた。


「うちで企画した開拓者の靴については、教会の印を管理する部門に数量を届け出る。それから靴に教会の印を入れて、売れた数量に応じて喜捨を払う、という流れになる」


「ちょっと聞いていい?」


とサラが手を挙げて質問してきたので、俺は頷く。


「開拓者の靴に教会の印をつける、っていうのは工房の印とは違うの?うちも守護の靴に剣牙の兵団の模様をつけてるでしょ?あれとも違うの?」


「そうじゃの。アーガネルやクワンの工房は、工房のものである印を刻んでおるな。それと同じように見えるの」


ゴルゴゴも同意する。


「いい質問だな。2つ、大きな違いがある。1つ、教会は印を管理する側で、モノを作るわけじゃない。2つ、印は品質保証でなく開拓事業への賛同を示しているんだ」


端的に説明したつもりだが、説明が短すぎたのと、この世界で初めての概念なので理解されなかったようだ。

全員の顔に疑問符が浮かんでいたので、噛み砕いて説明する必要がある。


しかし、ブランド管理という概念のない、この世界の人間達にどう説明したものか。

俺は頭を懸命に回転させつつ、少し乾いた唇を舐めた。

本日は18:00更新ができなくてすみません。

明日は12:00と18:00に更新します

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