第20話 作業リストを作ろう
冒険者の野外靴を作るのも、売るのも目算は立っている。
しかし、それはあくまで俺の頭の中にあるだけだ。
冒険者は、目の前にあるモノしか信じない。
だから、こちらもモノを作る算段と、売る算段を同時に立てていく必要がある。
「さすがに、宿屋に間借りってわけにはいかないか・・・」
たぶん、この街の冒険者では俺しかつけていないであろう
スケジュール表を見ながら、作業を数えあげてみる。
現代世界にいた頃に、よくやっていた作業リスト作りってやつだ。
【参考のチャート】
・靴ギルドに許可を取る。
・靴の型を起こす⇒靴部品の発注先を決める
↓⇒靴の組み立て先を囲い込む↓
・足型のサンプルを集める ⇒靴の試作品を作る
⇒靴の試作品を元に大手クランに営業する ⇒大手クランで靴の修正をする
⇒大手クランでの評判を元に冒険者靴を売り出す
作業の流れはわかったが、いくつかポイントがある。
何よりも、靴を組み立てる先を囲い込まないとならない。
製造の秘密を守るための絶対条件だ。
また、大手クランに話を持ち掛けるには、俺自身にも信用が必要だ。
つまり、俺自身が商会を作るか。
「あんたさあ、もう大手クランに入ったら?
剣牙の兵団だって、駿馬の暁にだって、あんたぐらい学があって
頭が働く奴はいないでしょ?」
サラが言ったように、大手クランの番頭的な位置に入って中から変えていくか。
現代世界で言うなら、独立した事務所を持つか、大企業に入るか。
どちらにするか、悩むところだ。




