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異世界コンサル株式会社(旧題:冒険者パーティーの経営を支援します!!)  作者: ダイスケ
第十三章 事業を拡大して冒険者を支援します:事業計画編
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第183話 仕事を分類しろ

方針が共有できたところで、一旦は会議を解散し、各自の作業に戻る。


俺は事務所で座り、自分が抱えている仕事を分類する。


短期的な仕事は靴の生産ラインの改善だ。

始業前と終業後の作業準備と片づけの軽作業を職人以外の人間を雇ってやらせたい。

職人は、始業から終業まで只管に靴を作り続けることに専念してもらうよう体制を整える。

これだけで1割近くは生産量が上がるはずだ。


その種の補助作業にあたる人間への支払いは賤貨が相場なので、数名雇ったとしても、守護の靴を1足余計に生産できるだけで、楽々と利益がでる。何しろ、守護の靴1足あたりの粗利は大銅貨4枚に達しようとしているのだ。早期に導入するべきだろう。


高級品を扱っているだけに防犯や盗難には気をつけたいので、補助作業にあたる人員も職人の身内から雇用すればいい。女性や子供でも出来る1時間弱の作業なので、小遣い稼ぎには丁度いいはずだ。職人が20人もいるのだから、街中に係累はある程度いるだろう。


俺がすべきは募集と当番表を作り責任者を決めることだ。もちろん、最初のうちは監督をする必要もあるだろうが、どうせ工房に住み込んでいるようなものだから問題ない。


次の短期的な仕事は、新しい靴職人の採用か。職人2人を採用する程度なら、業務上の問題はない。ゴルゴゴの伝手を辿ってもいいし、職人たちの知り合いを紹介してもらうのもいい。

この世界に職業紹介所はないし、靴ギルドと仲がいいとは言えないので、必然的に地縁こねで事業を広げることになる。


だが、信用調査などできない油断のないこの世界で商売をしようと思ったら、地縁こねの力を最大限に使うしかないのだ。

工房の職人達とは1年近くの付き合いになるし、処遇が良いせいか問題も起きていない。声をかけて紹介をしてもらえば、それで作業は済む。これも問題ない。


短期的な仕事が片付くと、問題となるのは中期的な仕事だ。

これは手を動かせばよいだけの短期的な仕事と違い、頭を使って不確実な未来を確実な作業の積み重ねへと落とし込まなければならない。

具体的には、教会に広告宣伝に協力してもらう利益を説得するための計画書をつくり、枢機卿に靴を履いてもらう方策を立てなければならず、それを持ってニコロ司祭を説得しなければならない。


「難題だな・・・」


ニコロ司祭のような重要人物と面会できる時期や時間は限られている。これまでの開拓事業の指導団育成のために頻繁に会えていた事の方が異常なのだ。ニコロ司祭の派閥が、どれだけ開拓事業に入れ込んでいたのかが伺える。


相手の都合で会ってくれていた場合とは異なり、こちらの都合で会いに行き、しかも事業に協力してもらうよう説得するのは何倍も難しい。まして枢機卿に靴を履いてもらうよう働きかけるとは。


元の世界の感覚で言うと、霞が関の出世頭の高級官僚に働きかけて現役大臣に自社のネクタイを身に着けてもらうが如き難易度である。

この世界では役務の汚職という概念が薄いので、その点では難易度は下がるが、それにしても、である。


正面から行っても成功率は低い。少し発想を変えたいところではある。

俺は事務所の椅子から立ち上がり、腰に手を当てて伸びをした。


ちょうど茶を淹れていてくれたサラに見つかって


「ケンジ、ちょっとおじさんっぽいね」


と言われた。


いいんだよ、オッサンなんだから。

本日は18:00にも更新します

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