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異世界コンサル株式会社(旧題:冒険者パーティーの経営を支援します!!)  作者: ダイスケ
第十一章 農村を支援して冒険者を支援します

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第158話 援助と知恵

その夜、村の教会で助祭達にサラを加えて、反省と勉強の会合を持つことになった。

助祭達は昼間の光景の衝撃が大きかったのか、言葉少なだったので俺が話を切り出すことになった。


「さて。これから、どうしますか?皆さんの地位と鍛えられた学識が試される機会だと、私は思うのですが」


そのように奮起を促すと、アデルモ助祭は声をあげた。


「あの農婦には援助をするべきだろう」


クレメンテ助祭とミケリーノ助祭も「そうだな」「然り然り」と賛同の意を表した。


俺は3人の助祭に問う。


「どの程度の援助が必要だと、お考えですか?」


ミケリーノ助祭が答える。


「1月に小麦1袋といったところか。それで当面は済むのではないか」


俺は続けて問う。


「どの程度の期間を、考えてらっしゃいますか?」


ミケリーノ助祭は答える。


「下の子供が成人するまでと考えると、凡そ10年程になるか」


俺は続けて問う。


「小麦120袋になりますね。それだけの余裕が、ここの教会にあるとお考えですか」


ミケリーノ助祭が言葉に詰まったのを、クレメンテ助祭が引き取って話す。


「なくはなかろう。見たところ教会の倉庫に集められた麦には余裕があった」


俺は問う。


「この村の教会からの喜捨が減ることを、中央の教会は良しとされますか」


クレメンテ助祭が言葉に詰まったので、続けて問う。


「どこまでの範囲を、考えていらっしゃいますか?」


アデルモ助祭が聞き返す。


「範囲とは何のことだ?」


「援助する対象の人数のことです。この村で、あの家だけが困っているとお思いですか。他の村にも似た境遇の子供たちは大勢いるはずです。それを全て援助できるだけの資力は教会にあるのですか」


ミケリーノ助祭が答える。


「なくはない。だが・・・」


「そうですね。出す理由がない。返済が望めないので出資は望めない。そうではありませんか?」


「・・・そうだ」と答えるミケリーノ助祭の声は苦かった。


俺は続けて問う。


「ミケリーノ助祭、教会では土地の開発に資金を投じようとされていますよね。その金額と、援助に使う金額には、どの程度の差がありますか」


「・・・1と1000に近いだけの差があるだろう」


俺は頷いて同意する。


「そうでしょうね。そのくらいの差はある筈です。資金というのは、増えるところに集まるものです。それに憤りを持っても仕方ありません。水が高いところから低いところに流れるように、自然に逆らうことはできません。


 ですから、その大きなお金を、この村に招き入れましょう。畑を拓き、水路を拓き、水車を回して村を豊かにする。子供から婦人にまで農閑期の仕事が行き渡るようにしましょう。そうして流れ込んできたお金を増やして返す。そうすると、もっと資金が流れて来る。それを繰り返すための、最初の事例にするのです。


みなさん、知恵の絞りどころですよ」


そこまで言うと、助祭達はようやく前向きに施策を考える雰囲気になった。

だが、それで納得できない者もいた。


「だが、あの子供が救われるわけではない・・・」と、クレメンテ助祭は言う。


だから、憂いがなくなるよう言ってやることにした。


「あの子なら、来年に行き場がなければ工房うちで引き取りますよ。仕事も拡大中で人手が欲しいのでね。サラ、それでいいだろ?」


と呼びかけると、サラは「あったりまえじゃない!」と満面の笑顔で答えた。

明日は18:00と22:00に更新できると思います

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