第14話 足元の意味
多数のブックマーク、ポイント、感想ありがとうございます。
今週末は寒いので、お話を書いて過ごします。
お楽しみいただければ幸いです。
サラは足元を見て、
「なんか病気なの?」と失礼なことを聞いてきた。
「アホ!!靴だよ、靴!!」
「そういえば、あんた昔から変なゴツイ靴履いてたわね」
サラは、街中なので編み上げのサンダルを履いているが、
雨の日は木靴を履いている。
第一等区ならほぼ全ての道に石畳が敷いてあるが、俺たちのいる三等区は
少し脇道に入ると土がむき出しで汚れるからだ。
冒険に出るときは、基本は編み上げサンダルである。
足が軽くないと長距離を歩くのがキツイし、そもそも農村出身の奴らは
子供の頃は裸足で歩き回っていた連中がほとんどなので、道を歩くときは
サンダルでも苦にしない。
それに、この世界の木靴は履き心地が最悪だ。
何しろ、靴に左右の区別がない。
靴を履いていると小指か親指が靴先に当たって痛い。
靴先がお洒落に尖っているか、野暮に丸くなっているか。
それだけの区別しかない。
おまけに、靴紐という概念がない。
木靴のサイズが合わないときは、布の端切れを突っ込んで
サイズを合わせている。
それでも緩いときは、靴ごと縄で縛る。
アーチという概念がないので、長距離を歩くと酷く疲れる。
つまり、冒険中に何が起こるかというと
長距離を移動すると疲れやすくなり、
サンダルで尖った岩を踏み抜いたり、
木靴で滑って捻挫したりする。
移動中ならまだいい。
それが、ゴブリンの攻撃を躱そうとしている最中に起こったら、どうなるか?
俺が元のパーティーで冒険者時代に、仲間に奇異な目で見られながらも
靴に拘って、靴屋に依頼し自作していた理由である。
この世界にあって、俺だけは現代世界の軍靴状の靴を履いている。
俺は、この野外靴を新米冒険者達に普及させたいのだ。




