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異世界コンサル株式会社(旧題:冒険者パーティーの経営を支援します!!)  作者: ダイスケ
第九章 ギルドと協力して冒険者を支援します
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第117話 冒険者ギルドの目的

最初に、基本的なことから情報の共有をする。相手の理解度を確認しながらでないと、効果的な説明はできないからだ。


「まず、冒険者ギルドの目的について考えたいんだ。サラは、冒険者ギルドの目的って何だと思う?」


「冒険者を助けることでしょ?」


サラが答える。


「冒険者からは、そう見えるな」


まず、相手の言うことは肯定する。実際、サラは間違ったことを言っているわけではない。

ただ、彼女には少し視点を変えて見て欲しいので、別の質問を付け加える。


「じゃあ、冒険者ギルドを運営している貴族達から見たら、冒険者ギルドの目的ってなんだろう?」


「えーと・・・?」


サラは、そんなことは初めて考える、という様子で腕を組んで悩み始めた。

答えを出すまで少し待つ。彼女には、いろいろ悩んで欲しいからだ。


「うーん・・・お貴族様たちからすると、怪物の素材が欲しいのかな?」


「それもある。他にも、怪物が掃討されると街間の通商が安全になるし、余所の街の商品が安くなる。怪物が掃討されれば、農村を拓ける土地も広がって、領地が増えて、税金がたくさん取れるようになる」


「そうね。私のいた村も、お祖父さんの代にできた、わりと新しい村だって聞いたことがあったわ」


「つまり、基本的に冒険者ギルドは、貴族にとって利益をあげるための事業なんだ。あえて冷たい言い方をすれば、土地と税金という利益をあげるために、冒険者という道具を使っているんだ」


サラは、渋々と同意した。


「そうなるわね。頭にくるけど」


「だから、貴族たちは冒険者という道具をなるべく安く使いたい。そしてできるだけ怪物を多く討伐してもらい、安全な土地を広げたいんだ。ここまでは、どう思う?」


サラが頷いたので、また別の視点も質問してみる。


「ただ、先日会った二重顎の冒険者ギルドの管理職については、また別の印象を持たなかったか?」


サラは顔をしかめて答えた。


「そうね。なんて言うか、なるべく仕事したくない、って雰囲気を感じたわ」


「そうだな。彼らのような管理職からすると、冒険者の成果が上がっても、彼らが受け取る利益が増えるわけじゃないし、冒険者に払う費用が増えると事業を管理している王国や貴族から怒られる。そういう状態になってるんじゃないかと思うんだ」


サラは、中間管理職、という組織の概念がよく理解できないようで考え込んでいたので、農地と耕作に例えて話してみる。


「サラがもし、小作人だったとする。そして地主に畑を任される。貸してもらえる道具は一つだけ。道具が壊れたら修理代は自分で出さないといけない。季節の終わりに、小麦をいれた袋を1つもらえる。畑でどれだけ収穫があがっても、もらえる報酬は一緒だ。サラはどうする?」


「あたしは、一生懸命に働くわよ!」と胸を張って答えた後で、続ける。


「だけど・・・そうね、あんまりやる気はでなくなるかもしれないわね。元の村でも似たような小作の人はいたけれど、豊作の時は地主の人が追加で小麦をあげていたもの」


「そうだな。普通に考えれば、そうだよな。それに、そんなケチな地主のところで働くぐらいなら、別の地主のところに移りたいと思わないか?」


「そうね、もっといい条件で畑を貸してくれる、いい地主さんのところに移りたいと思うでしょうね」


「もし、道具をタダで良くしてくれる職人が来たら?」


「当然、喜んで道具を整備してもらうわね」


「もし、他のいい地主さんを紹介してくれる人がいたら?」


「それは、すごく紹介してもらいたいわよ」


俺は、悪戯っぽく聞いてみる。


「もし、道具を整備してくれて、他のいい地主さんを紹介してくれる人が俺達だったら?」


サラは、満面の笑みを浮かべて、答えた。


「きっと、小作人の人は、感謝してペコペコするようになるわね!」

明日も18:00と22:00に更新できると思います。

トップページの「今日の一冊」にて本作が紹介されております。

よろしければご覧ください。

(この文章は次の本が紹介されるまで約1週間、続けさせていただきます)

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