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異世界コンサル株式会社(旧題:冒険者パーティーの経営を支援します!!)  作者: ダイスケ
第八章 事業を通じて冒険者を支援します

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第106話 うまい話

ロロという胡散臭い男の長ったらしい言動を整理すると、一言に集約できる。


「お前の靴が気に入った。一枚かませろ」


伯爵からの偽文書をデッチあげ、事業が行き詰ったところを買い叩くつもりだったのを、俺達が事態を回避してしまったために慌てて出てきたものと見える。


もしくは、俺達が伯爵に会う、という決断をすることを見越して待ち構えていたのだろうか。


ニヤニヤとしたうすい顔のロロからは、事実を見透かすことは難しそうだった。

「ケンジ」とジルボアに促されて、俺が前に出る。


まあ、いきなり斬られるということはあるまい。


「ロロ様。主人であるジルボアに代わりまして私が答えさせていただきます。私共は、たった今、伯爵様に拝謁する栄誉を賜り、また靴の事業についてお言葉を頂いてきたばかりでございます。まずは伯爵様のご信頼に応えるため、全力を尽くすばかりでございます」


意訳すると、お前の親分には話つけてあるんだから引っ込んでろ!である。


「ええ、ええ。わかります。わかります。そのお心がけ、まことに、ねえ、ご殊勝でございます。私も、ぜひ、そのお志に、ぜひ、力添えをさせていただきたいわけでありまして、ねえ」


伝わっていないのだろうか?いや、こいつは伯爵が使った「殊勝である」という言葉を使った。偶然でなければ、意図的に自分は伯爵との会談内容を知っている、と仄めかしているのだろう。


それにしても、たった今、終えたばかりの話をどのように知ったのか。

おそらくは、この部屋に来るまで遠回りして通路を連れまわされているうちに、何らかの情報手段で会談内容を先んじて知ったのだ。


意訳すると、お前たちのやっていることなど自分の情報収集力があればお見通しだ!だろうか。


今回、俺達の策が成功したのは、ロロにとっても意外な打ち手だったのかもしれないし、基本的に他人を操ることが習い性の男にとって、ジルボアや俺のように危険に自分から飛び込んで打開していくタイプは相性が悪いのかもしれなかった。


相手が引っ込まないのなら仕方ない。俺はロロに訊ねた。


「ロロ様。靴の事業に、お力をお貸しいただけるとのことでございますが、どういったことにお力をお貸しいただけるのでしょうか?」


すると、ロロは嬉しそう、ヒ、ヒ、ヒ、と息を吐いた後に答えた。


「それは、ねえ、いろいろですよ!本当にいろいろと、ねえ。便宜を図ることができると思うのですよ!この私の足の病、これはねえ、私だけでなく、本当に、本当に多くの貴族や文官たちがねえ、かかっている病なのですよ。


藪医者は、老化なんて言いましたけどねえ、それは誤りだったわけですよ!これは、ねえ、まさに、まさに魔法の靴ですよ!私にまかせてもらえれば、この靴は、もう、全ての文官が履きたがるでしょうねえ、まあ、なんというか、もう少しだけ権威に相応しい造りにする必要があるかもしれませんけどねえ。そういったアドバイスをできますよ!」


何とも苛立たせる長口上だが、この胡散臭く舌の回る男は、2つのことを言っている。

1つ、守護の靴には、外反母趾を抑止し、改善する効果がある。2つ、貴族社会に自分が売ってやる。


ああ、もう1つあった。靴の事業に自分も噛ませろ、だ。


こいつの申し出には、メリットがある。

守護の靴の新しい用途をアピールできる。それも、単価の高い貴族社会向けであることが更にいい。

おそらく、事業の利益は大きい。この男に手数料を払っても、十分にお釣りがくる。

購買の仕事しつつ、利になる事業に目をつけるあたり、ビジネス上の嗅覚は間違いないようだ。


回答は決まっている。


「ロロ様、大変寛大なお申し出ではございますが、私共にはロロ様のご依頼に応えられるだけの体力がございません。私共の事業が育つまで、いましばらくお待ちいただけないでしょうか」


意訳すれば、だが断る!忙しいんでね。である。


ロロは断られたことが意外であったのか、数舜の間、ポカンとした後に口を開いた。


「なるほどなるほど。よおくわかります。ええ、わかりますとも。まだまだ若木の事業。下手に金貨をぶら下げては枝ぶりが曲がってしまって困りますものねえ。これは私が先走り過ぎたようですねえ。ええ。またの機会にするとしますよ」


意訳すると、金を出すって言ったのに貧乏人が!まあ今回は見逃してやるよ。である。


そこで、不自然な間があいた。

ジルボアが、俺の前に立ってロロからの視線を遮ったからである。


「ロロ様」ジルボアの声は、これまで聞いたこともないほどに低く、冷たく響いた。


「これからは、あまり私の身内に、お痛をなさりませぬよう、ご忠告申し上げます」


俺からはジルボアの顔は見えなかったが、それまでいい加減な言葉を弄して得意げであったロロの顔が、真っ青になったのが見えた。


「それでは、失礼します」


くるっ、と身を翻したジルボアについて、俺は部屋を出た。

ほんの数メートル移動しただけであるのに、空気がやけに新鮮に感じ、俺は大きくため息を吐いた。

本日も22:00に更新します。

活動報告にも書きましたが、なろう様トップページから「今日の一冊」というページで紹介いただいおります。よろしければご覧ください。

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