冬の日
泥棒がモノを盗むのは当たり前だ。
彼は少なくともそう思って生きてきたし、その生き方はこれからもきっと変わらない。
盗む理由なんてものはそれこそ千差万別で、泥棒一人ひとりに盗む理由がある。
金が欲しくて金品を盗む。
金が人生の全てとは言わないが、金がなくては楽しい人生は送れない。
モノを買わずに愛だけを食べて生きていられる人が居たら、是非連絡をください。
飢えて食べ物を盗む。
金品を盗む理由にも繋がる事が多々あるが、人はやはり食べなければ生きていけない。
金を稼げる仕事をすることを日本では『食べていく』と表現するが、中々に的を射ていて美しい。
芸術品を盗む。
自宅に持ち帰りコレクションにしている人も、売って金に変える人も居る。
彼は芸術に造詣が深いが、盗むのはナンセンスだと考えているためこれをしない。
快楽でも、金でも、彼ら泥棒は満たされない時にそれを人から奪ってきて自分のモノにする。
命でも、あるいは。
「今日も月が綺麗だ。こういう時、月が綺麗だねって言ったらさ、確かこの国では告白みたいになるんだってね」
「我輩はニンゲンの恋愛には疎いのニャ」
ウォーリーは白い息を吐いた。
季節は冬。