王族の中で唯一凡人顔のアリサは何故か他の王族に溺愛されている
タイトルのまんまで短いのでさらっと読んでみてください。
~長男~
組んだ手に額を乗せ、少女は「うーん」と唸っていた。
ここは国王の城の中の、メイドや執事が食事をする少し質素な食堂なのだが、今の時間帯人はおらず、アリサは存分に考えを巡らすことが出来た。
穏やかな昼下がり、その真剣な表情は少し異質で、人気も無く声を掛ける者もいない。
そこへ背の高い青年がやって来て少女に目を留め、華やかな顔立ちを綻ばせて声を掛けた。
「アリサー?またここにいたのか。どーした?そんな真剣な顔して。」
「………。」
だが反応は無い。
「おおーい?」
「話し掛けないで。」
ピシャリと言われ、青年は整った顔を不機嫌そうに歪める。
「ねぇってばぁぁ」
見た目に似合わず駄々をこねると、青年より年下であろうはずの少女、アリサはそちらをキッと睨みつけ、憤慨した声で「ちょっと!」と声を荒げた。
やっとアリサがこっちを向いたことで、青年は顔を輝かせる。
「ねぇ、何考えてたの?お兄ちゃんに話してごらん?」
やけにぽわわんと問われ、アリサは顔を真っ赤にして怒鳴った。
「今、なんで王族は揃いも揃って美形なのか模索中だったの!!!」
フーッと荒い息を吐く少女に、青年は一瞬目を見開いていたが、またすぐぽやんとなって「なんだまたそれかー」と言い放つ。
その台詞で、アリサの張りつめていた糸は一気に緩んだ。
「なによ、どーせ私は凡人顔よ。エルクや他のみんなと違ってね!」
机に突っ伏し疎ましげにエルクを見上げると、エルクは柔らかな笑顔で低い位置のアリサの頭を愛おしげに撫でた。
「気にすることないよー?お兄ちゃんアリサの顔大好きー。」
「そ、れ、は!エルクが美男美女に囲まれ過ぎてマヒしてんのッ!!」
「うーん、そーかも。」
「否定しろよッ!?」
鋭いツッコミは、やはり穏やかな昼下がりには似合わなかった。
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次は次男かと思っております。