トイレ
2050年のトイレは快適だった。
家でなくとも公共のトイレはほとんどが洋式。しかもオシュレット等のオプションも充実していた。
なんと言っても学校の便器が綺麗なのは、滝でなくとも嬉しいものだった。まあ、汚かったとしても滝は使用しなくてはならないのだが。
「うぅ」
最初のころは呻き声を思わず漏らしていたが、今は無言でことを終わらすことができていた。しかし、顔は鬼のような形相だ。
「ジュロォォォォ」
トイレから聞こえる水の流れる音ともに、ドアから滝は出てきた。
それと同時に「キンコーンカーンコーン」とお馴染みに音が鳴る。
「はぁ、また授業に間に合わなかった…」
授業の開始時はなんとか出席できていたのだが、いつものごとく下痢に襲われてしまい、授業が終わってしまったのだ。
彼の下痢は一般的な物とはレベルが違った。一般人が一生味会うことのない痛み。その痛みは本人にしかわからず、本人も分かってほしいとは思っていなかった。
そんな痛みが365日続くのだから、さっきのように日常に支障をきたすことも多い。
もっとも分かりやすいのは、彼は高校2年生だが年齢は18ということだろう。つまり留年しているのだ。
下痢のせいで進級することが出来ない。旗から見たら馬鹿みたいだが、馬鹿にする人もいないだろうし、滝自信もそれほど気にしていないだろう。
何せ、下痢でここ、東京を救っていると言っても過言ではないのだから。
「うっ」
そして、彼が落胆しながらも教室に向かおうとしていたその時だ。
彼の腹部を容赦ない痛みが襲い直す。
「うぅ、もう何も出ないよ。ギュルルル」
この連打には思わず愚痴をこぼす滝とその体であった。