表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
喜怒哀楽掌編集  作者: 新田 新
ばかっぷるシリーズ
2/5

ふたつめ『私と彼。』

 私には彼氏が居て、私達は同棲してる。

 私と彼はあらゆることで対立してて、最近なんかはそのせいで喧嘩の日々がデフォルト化。そんな日々と自分の不正直さを嫌悪しながらも、一方彼はそんな関係性も悪くはないと思ってたりする。と言うかそう言ってた。

 私は喧嘩も仲直りも、どっちも嫌だ。仲直りの時に素直になれなくて嫌気が差す。

 けどどちらかと言えば喧嘩中の方がマシかもしれない。たまに自分が、本当に彼を好きなのか不安になって。怖くなる。喧嘩中はそれを和らげてくれる。彼を必要としてる自分が見られるから。

 彼は絆らしいけど、愛が深まるのを実感する感じに近い。何と言うか、沸騰する湯的な。沸々とした感じが。ここら辺は男女の思考の食い違いなのかな?もしくは対立、相反......?難しいことは分からない。今度彼に聞こう。


 そう言えば彼にこの間、口癖を指摘された。例えが分かりにくいという部分にちょっとカチンと来て、話の矛先を彼に変えてこちらも指摘してやった。そしてまた、自己嫌悪の悪循環。

 彼の口癖は「勘弁」。あの人は許しを請いすぎてる。わざわざ引き合いに出して指摘をしたのに、治る兆候は未だに無い。まぁ癖と言うくらいだ、簡単に治らないのは分かるし言い出しっぺは私だから、謝りたい。でも素直じゃない自分がそれを阻害する。

 ……こういうの何て言うんだっけ、じ、ジンレマ的な......。


 彼氏との喧嘩の振り返りもそこそこに、ほんわかする話でもしようと思う。彼とも伊達に数年付き合ってるわけじゃないのだ。

 彼は、他人に優しい。誰にでも優しくて、彼を独占したという実感が無い。初めての夜なんて気を使いすぎて全く進まなかった。他の人と話してるあの人は、どこか清々しくて。私は彼の横で仏頂面を構えることしか出来ない。

 だけど私は知ってる。その優しさと相まって生まれる格好良さを。そこは私だけが知ってる。時折見せる、優しさの微笑みが格好良い。

 私がリビングのテーブルで彼の帰宅を待ってて、玄関の扉が開く音がしたから、脅かしてやろうと寝たふりをすると、少し驚いたようだ。上の階に荷物を置きに行ったらしい。

 だがまだだ、近付いてきた時に行く。そう決めて一分経ったくらいに彼が近付いてきた。脅かすぞと決めた瞬間、何かが私の体を覆い被さるような感覚。今起こったことを推測する。

 どうやら上の階から持ってきた薄い毛布をかけてくれた様子。キュン死するかと思った。脅かそうという考えはもう既に失せた。

 

 彼は私が体育座りで泣いていると、横に座ってくれる。

 話を聞いてくれて、相づちを入れてくれて、慰めてくれる。

「君は優しいけれど、たまにその優しさが空回りする事がある。だけど大丈夫だから。僕が全力でサポートする」

潤みながら真偽を問うと、「ほんとだよ」と答えてくれる頼もしい笑顔の彼が、素晴らしく格好良い。

 彼は生まれながらの幸運体質で、そのせいで色々被害を被ってきた人間や事象を守ってきたとか何とか(ちなみに彼の両親から聞いた)。だが断固として、彼は自分がピンチな時は他人や体質に頼らないようにしてる。

 頼り方を知らない不器用な彼は、少し可愛かった。


 そんな格好良くて頼もしいけど、喧嘩ばかりの大事な存在の彼と、明日で丁度、付き合って三年目になる。

 三周年記念だからって、少し高そうなレストランを予約したようだ。

 私は何かプレゼントを用意しよう。家計簿崩して買うんじゃなく、自分で頑張ったお金で。そうだ、ブレスレットにしよう。彼とお揃いだゼ。

 このブレスレットで、彼の気持ちが動いて結婚。なんてことにならないかなあ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ