元・現代最強の暗殺者（俺）、異世界ではポンコツ聖女様に拾われ、ひたすら甘やかされ溺愛される。――ただし、彼女を傷つける輩は、例外なくこの手で残酷に処理する。

現代日本の裏社会で、たった一人で組織を壊滅させられることから『亡霊（ファントム）』と恐れられた最強の暗殺者。彼は組織に裏切られ、命を落とした――はずが、神の気まぐれか、剣と魔法の異世界へと転移してしまう。

しかし、チート能力も与えられず、あるのは『殺しの技術』と満身創痍の身体だけ。異邦人として追われ、路地裏で静かに死を待っていた彼を救ったのは、一人の聖女だった。

聖女セレスティーナは、神々しいまでの美貌と、人の善意を疑わない純粋な心を持つ少女。――ただし、何もないところで転ぶほどの『ポンコツ』だった。

彼女の無防備な優しさと温もりに、血と硝煙に汚れた暗殺者の心は初めて癒やされ、穏やかな居場所を見つける。レイと名乗り、物静かな青年として聖女に甘やかされ、溺愛される平穏な日々。それは、彼が生まれて初めて手にした宝物だった。

だが、そんな日常を脅かす悪意は、すぐそばに渦巻いていた。
聖女の地位を狙う腐敗した聖職者、彼女を搾取しようとする貴族、そして蠢く闇の組織。

――その時、物静かな青年レイは、冷徹な暗殺者『亡霊』へと還る。

セレスティーナが笑顔でいてくれるなら、それでいい。
彼女の知らないところで、脅威となる全てのものを、静かに、的確に、そして残酷に『処理』する。

これは、最強の暗殺者がただ一人、愛しいポンコツ聖女を守るためだけに再びその手を血に染め、甘い日常の裏側で静かに世界を震撼させていく物語。