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5.魔法試験Ⅲ

 誰かの話し声。声援。拍手——が聞こえた次には息を呑む音。魔法(タンテ)試験(クスト)を受けている間には聞こえなかったそうした音の中で、カデンツァは瞼を開けた。陽光が目に入り、瞼を閉じた彼は反射的に顔を逸らす。瞼の奥でチカチカと視界は緑色に瞬いた。しばらくして残光が消えると、カデンツァは閉じていた目を再び開いて自分が地面に横たわっていることを確認した。

「気がついたな」

 ジョシュアの声に彼はゆっくりと起き上がる。兄はカデンツァには背を向けた状態で彼から少し離れた前方に立っていた。ジョシュアは振り返ると彼を見遣った。

「大丈夫か?」

 心配、というより確認するように尋ねる。当のカデンツァは不思議なことに気がついた。第三の試験で相当の手傷を負ったはずなのに、痛みどころかほんの少しの傷跡も見当たらない。具合が悪いと言うのであれば——。

「少し気持ち悪いくらい」

 けれど、彼にはなぜ気持ち悪いのかも分からなかった。対してジョシュアはふっと笑った。

「なら上等だな。気持ち悪いのはルアンが多少なりとも魔力を浄化したからだろう」

「浄化したとは言っても」

 ジョシュアの話に少し離れたところにいたルアンは、その隣に並ぶとカデンツァの方を向いた。

「あくまでもぼくに浄化できたのは暴発した魔力だけ。それ以上の魔力は浄化する以前に触れられなかった」

「どういうこと?」

「カデンツァ、お前魔法(タンテ)試験(クスト)の終了後に何があったか覚えてないか?」

 ジョシュアの問いにカデンツァは静かに首を横に振った。

「無理もないな。第三の試験を終えて魔法(タンテ)試験(クスト)を終了した後すぐ、お前は倒れて気絶していた。まあ最初の魔法(タンテ)試験(クスト)ではよくあることだ」

「気絶って……どれくらい?」

「ティアサーの魔法(タンテ)試験(クスト)を始めて、今は第二試験の真っ最中」

 戸惑いを隠せないカデンツァにルアンが答える。

「だからそれ相応の時間だね」

「お前が倒れたのは魔法(タンテ)試験(クスト)終了後」

 ルアンの話の先を取り継いだジョシュアが説明を続けた。

「血の輪の結界も魔法(タンテ)試験(クスト)終了に伴い途切れた、次の試験挑戦者が入るまでの狭間みたいな時間だ。最後の試験でよほど魔力を集中させて挑んだんだろう。その残力がお前を中心に広がって、[唄う野原]の大地を砕き打ち消し始めていた」

「俺が……なんだって?」

 カデンツァは眉根を寄せた。彼には全て理解できなかった。気を失っている間に自分がそんなことをしたという事実も、血の輪の結界は停止していたというのに、それでいて周囲には何の支障もきたしていない現状も、それらのことがさも当然であるかのように対処し説明している二人のことも。怯えた小動物のように震え、威嚇するように澄んだ瞳でじっと見据えるカデンツァにジョシュアは優しく笑いかけた。

「大丈夫、魔法の制御ができていない頃にはよくある話だ。強い妖魔相手に魔力を集中させると、当人は反動で気絶する上に、戦いの後も魔力を集中させてしまい、その力を自身の体から溢れ出させてしまう。それが周囲に広がって危険をもたらすことは予め予測できた。俺がここに来る前、ルアンに話していた『たとえ暴発するようなことが起きたとしても、その力を浄化して場を治められる』って言うのは、こうしたことが起きた時には暴走した魔力を浄化してくれっていう意味だったってわけだ」

 彼の話にルアンも頷いた。 

「だから暴走したその力を浄化して、ついでに君自身の魔力も念のために弱めておこうとしたのさ。そしてその見返りを喰らった」

 ルアンはカデンツァに向かって手を伸ばすと、何かを握るように指を折り曲げた。

「炎魔法の初期現出の方法は、さっきの魔法試験で理解したね?」

 カデンツァは頷いた。指先に熱が集まることを感じ、想像して指を鳴らすこと。それだけで指先に炎が灯る。

ルアンは指を鳴らした。一度ではなく何度も。しかし、炎が生まれるどころか火花が散ることもなかった。

「どうして——」

「ぼくの魔力が浄化された」

 カデンツァの声を遮ったルアンが答える。

「君にはそれがどうしてか、理由が分かるんじゃないか?」

 カデンツァは自身の掌を見た。その指先にも、足にも、彼の全身をもあの白い膜が包んでいる。試験中、何度も妖魔からの攻撃を弾き返し、彼を窮地(きゅうち)から救ったあの白い膜が。

「君の能力はユニークだね。ぼくの浄化が弾き返されたのは初めてだよ」

 ルアンは笑った。嫌味な笑みではなく、なぜか喜んでいるような明るさを持った笑い方だった。対照的にカデンツァは一人沈んでいた。ルアンがなぜ明るく笑うのかも分からなかったが、それ以上に彼の対応の優しさと柔和さにひどく申し訳ない気分になっていた。浄化してしまった魔力が戻るのかどうかも、無意識ではあるものの自分が被害を生まないためにしてくれた恩を(ないがし)ろにするような行為をしたことも。けれど、彼にはこんな時どんな言葉をかけるべきなのかすら分からなかった。

「心配するな、カデンツァ。どうせ数陽日でお前の浄化された分の魔力と一緒にルアンの魔力も元に戻る」

 弟の様子に安心させるように声を掛けると、ジョシュアは前を向き直った。

「それより今はこっちに来て見守らないか、弟の魔法(タンテ)試験(クスト)を」

 ジョシュアの視線の先では、血の輪の中をティアサーが飛び廻り妖魔の攻撃を交わしている。彼の第二の試験相手はカデンツァとは異なり、姿の見える妖魔だった。

カデンツァは立ち上がるとジョシュアの隣に移動した。血の輪の向こうでティアサーが放った魔法を妖魔が避わし、彼らの目前で水が弾ける。ティアサーの姿を探そうと血の輪全体を見たカデンツァは対峙している妖魔の本質に気がついて驚きに声を上げた。

「あいつが、ティアサーが今相手にしてる妖魔って——」

「あれはバグラスっていう。見ての通り小さな妖魔が集まり一体化して大きな一つの妖魔として構成している。それがヤツの特性だ」

 ジョシュアの言葉通り。彼らの前に見えたティアサーの第二の試験相手・バグラスという妖魔は、人間と同じ大きさの今の彼らと同じくらいの大きさに見えた。しかし、よく目を凝らして見るとその実態は、羽の生えた黒く小さな妖魔の集合体。しかもその小さな妖魔の大きさは、今の彼らの爪と同じくらいだった。ティアサーが放つ魔法は方向や速度は申し分ないものの、その威力をいざ発しようと妖魔に迫った瞬間、小さな妖魔自体が二つのグループに分かれて攻撃を避けるのだ。ティアサーはバグラスを追うのも攻撃するのもやめて、血の輪の中央にぽっかりと浮いたまま、瞼を閉じて身動きを取ることも放棄した。

「あんな敵、どうやって倒すの?」

「さあな。倒す方法は色々ある。どういった手段を使うかはティアサー次第だ」

「色々あるって……」

 驚きに言葉を失ったカデンツァはジョシュアを見た。彼はやはり冷静に血の輪で繰り広げられる魔法(タンテ)試験(クスト)の様子を見ている。バグラスがティアサーに向かって攻撃を仕掛けようとしていることもまるでよく見る光景かのように。

「もしかして、ジョシュアはあいつを倒したことがあるの?」

「オレだけじゃないし、あいつだけじゃない」

 恐る恐る尋ねたカデンツァに彼は落ち着いた声で応じた。

魔法(タンテ)試験(クスト)に出てくる妖魔は第一の試験相手を除き、全てこれまでに誰かが任務で倒した妖魔だ。その特徴や性質なんかはそのままに、攻撃や防御といった強さと妖力だけを挑戦者の力量に合わせて調整している。お前が最後に挑んだ妖魔・(よう)命樹(めいじゅ)、あれも以前オレとシュエルで倒した相手だ」

 ジョシュアはサッと隣のカデンツァに振り向いた。その瞳には静かな炎が揺らめいているように見える。

「カデンツァ、お前は最初あの妖魔を見くびっただろう」

 実際その通りだったが、カデンツァは肯定することも否定することもなく押し黙っていた。さっきまでの優しい微笑みが消えたジョシュアの顔は厳しかった。それがカデンツァには怖く思えたのだ。

「妖命樹は相手の生命力を己の糧とする妖魔。身をもって知っただろうが油断が命取りになる。任務では常にそれを忘れないように」 

「分かった」

 カデンツァの返事は歓声と拍手の大きな音にかき消された。兄弟が揃って血の輪へと視線を向けた時には、既にティアサーはバグラスを倒し終え、地面に降りたっていた。

「結局どうやって倒したんだ?」

 ジョシュアに尋ねられたルアンは腕組みをして彼の方を向いた。

「見守れとか言いながら先に反省会を開くから、そういうことになるのさ。反省会は二人まとめて試験後にするんだね」

「悪いって」

 ルアンはやれやれと首を横に振ると、再び血の輪内のティアサーへと向き直った。

「ティアサーは目を(つむ)って無防備な状態を作り、バグラスに広がって攻撃をするように仕向けた。そしてバグラスが広がり彼を取り囲んだ瞬間に水魔法で小さなあの妖魔全てを絡め取り、一瞬にして凍らせて粉々にした」

「賢いな」

「そうかもしれないけれど、危険性を伴う。あまりお勧めしたくない手段だね」

 二人の会話を聞きながらカデンツァは血の輪で第三の試験を待つティアサーを見ていた。カデンツァが受けた魔法試験では相次(あいつ)いで妖魔が現れ、休む間もなく次の試験が始まっていた。しかし、ティアサーの周囲はおろか、血の輪内に新たなる妖魔の姿は見当たらない。カデンツァはじっとティアサーの様子を見た。

『俺の第二の試験と同じように見えない妖魔が相手なら、妖魔が現れたかどうかはティアサーの表情で分かるはず』

しかし、ティアサーの表情に変化はなかった。代わりにカデンツァは彼の影に違和感を覚えた。確かにさっきまでティアサーの左手側に影が落ちていたはずだった。それが今は右手側にあるのだ。ティアサーも影の異変に気がついたらしく、逃れるように飛び退さり——影はティアサーから離れると、倒れていた人物が起き上がるように身を起こし立体的に立ち上がった。

「あれはミラージュだな」

「ミラージュ?」

 おうむ返しで尋ねるカデンツァにジョシュアは頷いた。

「相手の力を己のものとする実体を伴わない妖魔だ。戦う相手の持つ力を全てコピーし、コピーした力を最大限に使って挑んでくる。例えそれが当人の知らない魔法や力の使い方でも、な」

 ミラージュの姿はティアサーそのものだった。頭の天辺から爪先まで真っ黒に染まったティアサーが本来の姿をしたティアサーに対峙しているようだった。他方ティアサーはミラージュとは距離を取り、その挙動を確認するかのようにじっと妖魔を睨み据えていた。

途端に辺りが暗くなり、カデンツァは驚いて周囲を見渡した。[唄う野原]から遠く離れた空はまだ明るいものの、彼らのいる野原は一面、まるで夜がその(とばり)を下ろしたかのように暗くなったのだ。ある一ヶ所を除いて。陽の光を一身に浴びるように血の輪だけは明るく眩しかった。

「これってティアサーがやってるの?」

「いや、ミラージュの方だろうな」

 カデンツァの問いに戦況を見極めながらジョシュアが応じた。

「周囲から集めた光を巧みに操り、血の輪内の光量を過剰にしているんだ。あれだけ眩しければ自分の姿も光の中に隠せるからな」

 ジョシュアの言う通り、ミラージュは血の輪内に溢れる光の中に身を潜めていた。ティアサーはミラージュから飛んでくる光線を避けながらも、血の輪ギリギリまで下がっている。彼の方が圧倒的に不利な状況に見えた。

「ジョシュ、君にはこの状況はどう視える?」

 ルアンからの唐突な問いにカデンツァは二人の方を向いた。

「あれをやれってのか?」

「せっかくミラージュが相手だと言うのに、視界が遮られてしまっては、彼の資質も何も見えないしね」

 ルアンの返答にジョシュアは深く溜息を漏らした。

「お前、他人(ひと)の思考は聴くなって言ってただろ」

「非戦闘時、非緊急時に()いてって言ったはずだよ。それに」

 ルアンは魔法試験を受けるティアサーの姿をじっと目で追った。[唄う野原]に風が吹き抜けて、なびいたルアンの白亜色の髪が血の輪の明かりに照らされキラキラと輝く。彼はそれを不快そうに睨んだ。

「これだけ時間が経ってようやく誕生したベクレル家なんだ」

 下ろしていたルアンの掌がぎゅっと握られる。

「可能性があるのなら……()ておきたい」

 親友の様子にジョシュアは静かに息を吐いた。

「今回だけだからな」

「恩に切る」

 ジョシュアはルアンの手を取るとカデンツァを見た。

「おまえも視るか?」

「みるって何を?」

「ティアサーの視点で、彼の見ている世界を」

 それが一体どういう意味なのかカデンツァには分からなかった。しかし彼は兄を見つめたままそっとその手を取った。弟の様子を見ると、ジョシュアは瞼を閉じてじっと地面に向かって俯いた。すると彼の周囲から光が溢れ始め——。次の瞬間カデンツァの視界は光に染まり、その眩しすぎる明るさで何も見えなくなった。

《後ろから二発、前から一発》

 唐突に聞こえた声にカデンツァは目を瞬いた。ティアサーの声だった。ティアサーの言う通り、後ろから何かが二発、前から一発飛んでくる。視界の片隅にそれを捉えるや否や彼は瞬時に避けた。しかしそれは自分の意思で動いたと言うより、強制的に動かされたような不思議な感覚だった。カデンツァは首を横に振ろうとしたが、全く動かない。目線すら変わらず声も出なかった。

《やっぱり。光線の次は氷魔法で攻撃してくる。氷じゃ光に(まぎ)れて見えないから。でもそれだけなら、この光の幕を調整すればいい》

 その声とほとんど同時に辺りは一瞬にして暗くなった。正確には正常な明るさに戻ったと言うべきだろう。代わりに周囲を取り囲むように光の筋ができた。

《前から三発、後ろから二発、それに右から一発》

 再び聴こえたティアサーの声。その通りに飛んできた氷魔法は、調光された光のベールを通ると同時に溶けて水になる。ティアサーは光のベールの位置をさらに外側へと広げると、ミラージュが放ったと思われる氷魔法を溶かしてできた水を操り四方へ飛散させた。

《おかしい。あの妖魔はどこに行ったって言うんだ?》

 ミラージュの姿は空にも大地にもない。しかし、次の瞬間、転んだように突然視界が傾いて——。


 気がつくと、またしてもカデンツァは地面に倒れていた。彼だけではなく、ジョシュアもルアンも。カデンツァは急いで起き上がると血の輪を見た。[唄う野原]全体と辺りの明るさは既に戻っていて血の輪内も見えるようになっている。そしてその中でティアサーだけが倒れているのをカデンツァは()()めた。

「どうやらティアサーにミラージュが取り憑いたショックで、はね飛ばされてリンクが途切れたみたいだな」

 上体を起こし、しゃがみ込んだままのジョシュアが呟いた。

「リンクって? どういうこと?」

「忘れたのかい? ジョシュは思考(テレパ)聴力者(シスト)

 立ち上がり、カデンツァの隣に並んだルアンが血の輪の向こうを見ながら答える。

「思考というのは、とある状況下に於いて何かを考えること。状況判断材料はいくつかあるけれど、大概が視覚と聴覚、嗅覚を始めとする感覚によるものから形成される。つまり、思考を辿ればその者の置かれている状況を視ることも聞くことも、その状況下でどんな判断をするか考える思考を聴くことも可能。それが思考(テレパ)聴力者(シスト)およびその能力の提供を受けた者ができるリンクと呼ばれる力さ」

「疲れるからできればやりたくないんだよな」

 気怠そうに呟く兄を横目で見ると、カデンツァはじっとルアンを見つめた。彼の鈍色の瞳は薄らと(にじ)んでいるように見える。

「そこまでして何を見たかったの?」

 カデンツァはルアンに問うた。彼は不思議でならなかった。あんな風に頼んでまでルアンが求めたものは何だったのか、知りたかった。しかし、ルアンは何も言わなかった。代わりにその肩はゆっくりと上がり、(しぼ)むように落ちていく。しばらくの沈黙の後、彼はようやくその重い口を開いた。

「希望だよ」

 ルアンの声は僅かに震えていた。

「ずっと待っていたんだけどな……」

 ルアンは深呼吸するようにゆっくりと口を閉ざすと、それ以上何も言わずに歩き始めた。

「何処に行くんだ?」

 目前を横切った彼を問い詰めるようにジョシュアが尋ねる。

「女王の(パレス)に。カデンツァのおかげで今のぼくには魔法も浄化も使えないから、これ以上ここにいても仕方がない。終わったら続きの話をしよう」

 それだけ返すと、彼はそのまま歩き去ってしまった。

ジョシュアは溜息混じりに首を振ると、立ち上がってカデンツァの横に並んだ。

「許してやってくれ。あいつ悪気はないんだ。ただ」

「ただ……何?」

 言葉に詰まったジョシュアにカデンツァは静かに聞き返した。

「あいつにも事情があるってだけだ」

 彼の口調には言葉を選ぶような慎重さが伴っていた。ジョシュアはカデンツァの肩に寄りかかると、彼の視線の先——ティアサーを見た。ミラージュと意識の戦いになったティアサーは、気を失ったように倒れたまま身体中がガタガタと揺れ、時折腕や足が大きく動いた。カデンツァはそんな弟の様子を心配そうにじっと見ていた。

「そんなに心配しなくても、あいつなら大丈夫」

「かもしれないけど、あんな様子じゃ……」

 彼の様子を見かねたジョシュアはその肩をポンポンと叩いた。

「良いことを教えてやる。魔法(タンテ)試験(クスト)に出てくる妖魔は全て幻術。だから負傷してもその症状が続くのはその試験の間だけだ」

「でも、もし命に関わるほどの重症を試験中に負ったら?」

「その場合、魔法(タンテ)試験(クスト)は即刻中止になるように設定されている。だがそんな間抜けは今までいないし、そんなことになったら任務では間違いなく死んでいるから、魔法使いの妖精としても失格だな」

 もたらされた厳しい話にカデンツァは絶句した。対してジョシュアはケラケラと笑う。

「安心しなって。ティアサーならあと少しでこの戦いを終える」

 その言葉通り、程なくして血の輪の結界が音を立てて割れた。

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