8−9 情報不足
「それで、二人の見解は私に招待状に従い出席しろって事?」
「まあ、ここでケリを付けておいた方が良いと思うんだ。
政治的にタイミングを見ないといけないけど、
致命的な事にはならない様に護衛計画は立てるから、
出席してくれないか?」
エディがそう言うが、キャサリンは思いっきりジト目で睨んだ。
「あんたは政治的な効果を図って、
介入タイミングがいつも悪いからまた酷い目に会いそうで嫌なんだけど。」
「いつもちゃんと助けてるじゃないか。」
「助かるように毎回私が努力する必要がある気がするんだけど。」
グレアムがここで助け舟を出した。
「まあ、うちの護衛も付けるから、エディの手配だけよりはマシだろう。」
…フォローになってなかった。
「はぁ、まあ仕方がないね。
幸い、吊るしのベージュのドレスがあるから、合わせてよ?」
「吊るしなのか…今回は間に合わないが、
何かの時の為にエディが今までのお詫びにドレスを送ってくれるだろう。
まあ楽しみにしていろ。」
「ドレスを貰う様な関係でもないけど…
まあ今までのお詫びなら受け入れようか。」
「僕が詫びを入れないといけないのか…」
そういう意識が本気で無いらしいエディだった。
「ところで、着替えはどうする?
家には内緒で出席する事になるんだろ?
服さえうまく手配出来ればうちで着替えも出来るが?」
「そうだね。
家には内緒で行きたい。
ドレスをどうするかだけど、友達の家で着替えるから、
と言って外に持ち出す事にするから受け取りに来れる?」
「フリーマン家の荷物用馬車を出そう。」
「あの家何でも屋なんだね…」
「そういう役柄だからな。」
そういう事で、金曜の夕方にドレスを搬出、
日曜は朝から平民服で出かける事にした。
もちろん、西公園付近でゴードン家の地味馬車に乗り込む事になった。
「相手の出方は分かる?」
「多分、会場から誘い出して何らかの魔法を使わせて、
それにケチを付ける方向だと思うよ。
教会の者が宣言する様な事になると思う。」
エディの言葉の裏を読めば、
私の隠した札をエディも第2王子も読んでいる事になる。
それが正解かどうかは分からないが。
はあ、とため息を吐く。
「小物入れに入る様な薄手のショールでも持っていきますか。」
「顔を隠すと?」
「そう。いざと言う時にしらを切れる様にね。」
「そこは任せるよ。」
と、例によって肝心な部分はこちら任せなのに
守ってやっていると言い切るエディには呆れるしかないね…
まあ連絡のついでとは言え、
何度か食事を奢ってもらっているのだけは感謝しても良いか。
さて、どうやら第2王子は徹底的に情報統制をしている様だから、
教会及びラウンド家の男以外に情報は入手出来ないと思う。
と言うか、ラウンド家の男も情報を絞られているだろうな。
切る予定の男に察知される様な事は伝えないだろう。
となると、場を調べておくのが一番だろう。
図書室の王宮見取り図に第1応接の間と第2応接の間は書いてある。
第2応接の間は演台代わりに小階段で登る中2階がある。
ここで突き落とされて痛い目に会う気もするが、
そんな見え見えの事はしないだろうなぁ。
中2階の両側に出入り出来る通路があり、
その裏には人が何かの準備が出来る様なスペースある。
ここに人を詰めさせて何かの際に出させるという事はありそうだ。
まあ魔法で妨害されなければ能力で見えるから良いが。
同様に中2階とは逆側にも用具室がある。
ここも何人か詰められそうだ。
後は、出入り口に続く通路沿いには騎士の詰め所になる部屋も
客の控室もある。
賊が隠れる場所はあるけど、普通に騎士の見回りがあるから
賊が入りこむタイミングは直前かな?
第2応接の間は王宮の外れの方にあり、出入りはどこかで騎士に見られるのではないか?
つまり前日に第2王子周辺の確認と会場付近の確認が必要だけど、
開催直前にならないと現れない可能性もある。
難しいな…
あと当日の問題は、移動出来る廊下が限られている為、
両側を固められてしまうと逃げ様が無い事なんだ。
ショールだけでは無く、鈎爪付きロープも用意しておく必要があるか…
身体検査されたら不審者で拘束一直線だ。
偽装魔法をどこで使うか、が勝負かなぁ…
もう面倒だから逃げてしまおうとも思ってしまうが、
第2王子が王子でなくなれば障害はずっと低くなる筈だ。
それでも教会がしつこいなら、ずっと外出は出来ないし…
教会を何とかする必要があるんだが、
不正でもない限り何ともならないし、
王家が教会と事を構えるのも余程の事がない限りあり得ない。
大司教も生臭で耄碌している以外は糾弾される程の事はしてなさそうだし。
まあ良い。
先の課題より目先の第2王子だ。
夕食に入ったファミレスがほぼ満員だったので、
食後に原稿を書けなかったのでちょっと練り方が足りない気がする。
あとで調整が入るかもしれません。