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7−4 敵の狙いは

 日曜になったが勿論、外出などしなかった。

科学院は日曜にも出勤している者がいたが、

第2王子は不在だった。

そういう訳で、日曜には山の麓のマグノリアをのんびり眺めていた。

出来ればジャンプして近くで見たいところだけど、

今のプリムローズ家は4組の監視がいる。

魔法を使って察知されては堪らないので遠くから見ているだけだ。

まあ能力を使えばアップで見る事が出来るんだが。

しかし、3組までは分かるんだが、4組目は誰かね。

そこまで注目されるのは不味いんだけど。


 翌週、月曜にはグレアムの呼び出しがあった。

マーク・フリーマンの案内でまたグレアムと午後のお茶だ。

彼岸でライラが睨んでいそうだ。

「水曜の午前に第2王子が学院図書室の閲覧と、

 裏庭の植物の視察に来ると決まった。 

 その日は休め。」

「王宮絡みの情報ならあんたの家の情報は確かだろうから信用するけど、

 そんなに簡単に済むかね?」

「用心はするさ。

 とりあえず細心の注意を払うならまず学院に来ない事だ。」

「そりゃあそうだね。

 しかし、学院の図書室なんて科学院より蔵書が多い訳ないよね?

 どんな理由で来るの?」

「10年前の学院教師の論文が残っているそうだ。

 それが光魔法の異説を論じていて、

 確認したいそうだ。」

「ちなみに、異説ってのはどんな話?」

「光の媒介物質と光の波動性についての論文だそうだ。」

「光の媒介物質と魔法の媒介物質って違うんだよね?」

「どちらも宇宙の絶対座標に依存しない物質だから、

 類似性があるのではないか、という論文らしい。

 俺に聞くな。」

「まあ、科学院とか魔法院でする研究レベルなんだろうから、

 学院生に分からなくても問題ないか。」

「お前、間接的に貶してないか?」

「気の所為だよ。」


 そういう訳で、科学院の第2王子の監視に入る。

「水曜に同行する護衛は選定したか?」

「護衛チームと遊撃チームの選定は終わっております。

 持ち物の準備を早急にする様に指示済みです。」

「遊撃チームには別館の間取りを見せろ。

 但し、記録には残さない様に指示しろ。」

「手練れの護衛揃いですから、間取りは頭にメモ出来るでしょう。

 情報漏れの無い様に厳命しております。」

「それで良い。

 敵対勢力への対応は?」

「学院の教師2人と下男2人に金を握らせております。

 これらに監視させます。」

「なら良い。」

そして護衛チームの隊長を呼び寄せる。

「学院には平民も通っている。

 無礼な事も無知故の乱暴もあるかもしれない。

 いざという時は武器の使用を躊躇うな。」

「殿下をお守りする事を最優先致します。

 場合によっては武器の使用を躊躇いません。」

「ああ、よろしく頼む。」

護衛チームの隊長が立ち去った後に

遊撃チームの隊長を呼び寄せる。

「我々を尾行し、良からぬ事を企む者もいるだろう。

 貴賤も男女も問わず、暴漢と思われる者は拘束し、

 抵抗があるなら武器の使用を躊躇うな。」

「殿下の御身がかかっております。

 武器の使用は躊躇いません。」

…何か変だな。

護衛対象が護衛に「武器の使用を躊躇うな」何て言うのは、

危険地帯などに行く時に、

実際に武器を使用する可能性が高い時に言う指示だ。

普通に考えたら学院を訪問するだけの今回は武器なんて使わない。

なのに敢えて言葉にしているという事は、

実際に使用する事を強く求めている…

つまり対象を殺せと言っているのに等しい。

本当に無礼討ちさせるつもりなんだ。

学院でそれをやるのが王家の醜聞になると言う視点が無いんだ。

…こいつ、さっさと排除しないと国が揺らぐんじゃないか?

まあ無礼討ちする相手が私だけなら良いが、

ゴードン家の護衛と斬り合いになったらどうする?

ゴードン家と内戦する気か?

…それも狙いと言う事かもしれない。

その背景が分からないんだが…

グレアムは話してくれないし。

陰謀癖のある第2王子の事だ、

過去にやらかして阻止されたのを逆恨みとかしてそうだ。

とは言え、何しろ向こうは王子の護衛、

こちらはゴードン家が嫡男の指示で他家の令嬢を守る。

人数も士気も違い過ぎる。

実家に乗り込んできたらどうするか…

こちらは切り札は切れない。

だから偽装魔法で切り抜けるしかないんだが。

王子に迫られたら親が私を切る可能性が高いだけに、

4組の監視の中、王子の護衛に相応しい練度の男達を振り切り逃げるのは…

まあ切れる札を切るしかないんだが。

 ライラは彼岸で睨んでいるでしょうか?

グレアムでさえ割り切れずに心に何かを残している関係です。

ライラはグレアムを逆恨みしているかもしれませんが、

何かの思いは最期に過ったと思います。

少なくともキャサリンはそう思っている模様。

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― 新着の感想 ―
[一言] ここまでいくと普通に国外逃亡を視野に入れるべきだと思うんだけど、それについての思慮は何故ないんだ
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