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7−3 忍び寄る危機(極めて個人的な)

 第2王子が学院で御無体な事をやろうとしたら、

最大の障害になるのが第3王子である。

何らかのトラブルがあった場合、

仲裁されプリムローズ家の娘をとりあえず保護されてしまえば

もう手を出せない。

つまり、第3王子が公務で地方に行っている時に

行動を起こす事が必要だ。

その機会は早春にあった。

北東の要衝を守るクロフォード侯爵の領地では、

初代侯爵が治水工事を行い農地の拡大を行った事、

もちろんそれにより雪解け水による河川の氾濫による死者が激減した事、

また彼がその増加した農地収入の多くを領内の教会への寄付に用いた事から、

死後に教会総本山から聖人認定され、

雪解け水の発生する頃には聖人祭が行われていた。

最近の反乱発生の影響から、

今年はそれに参列する王族は王太子ではなく

第3王子になった。

これに伴い往復の途中の貴族の領地でも

それなりにイベントに参加する事になった為、

2週間程第3王子は王都を離れる事になった。


 グレアムから午後のお茶のお誘いがあった。

勿論、マーク・フリーマン男爵子息が誘いに来たのである。

「何かあったの?」

「ちょっとな。

 第3王子が2週間学院を離れる。

 その間に第2王子が学院に来てお前に難癖を付けるかもしれない。

 その予定が判れば教えるから、

 その日は学院を休め。」

「まあ、確かにその日は休んだ方が良いと思うけど、

 そっちではそういう動きを掴んでいるって事?」

「いや、そういう動きは掴んでいないが、

 動機として危害を加える可能性はあるから、

 そもそも顔を合わせないのが一番だ。」

第2王子はやる気だと私は知っているが、

グレアム達はそこまでは掴んでいないのか。

だが、ファントムとしてゴードン家への暗殺も含めた

破壊活動の指示をしたのは第2王子だろう。

それだけの因縁があるなら私に手を出す事も予想出来るか…

「まあ、あんた達より私の方が狙いやすいのは分かるから、

 そういう情報があれば指示に従うよ。

 だけどさ、こう言っちゃ何だけど、

 王様はその辺り掣肘するなり説教するなりしてくれないのかね?」

「あのな、気持ちは分かるが他所でそういう話し方するなよ?」

「勿論分かってるよ。

 ただ、上の人が動いてくれれば何とかなる事じゃあないのかな?」

「そうは思うが…俺達には忖度しきれないものがあるからな。

 とりあえず自分達で危険予測をして避けていくしかない。

 家来を手取り足取り助けてくれる王などいないからな。」

「そうだけどさ…私あたりなら多分、無礼討ちするつもりだと思うよ?

 そんな王子が王家の権威を貶めているのを放置していていいのかね?」

「気持ちは分かるが…自衛していくしかないんだ。

 文句を言ってはいけない相手がいる事くらい覚えておけ。」

「そこは分かってるよ。

 ただ、ご注進出来る人がいるなら一言言って欲しいんだよ。」

「さすがに父上に頼む訳にはいかない。

 当日はお前の自宅の近くに王立騎士団を待機してもらうまでは

 話が付いている。

 それで我慢しろ。」

「そんなお偉いさん待遇より一言制止してくれないかな…」

「あきらめろ。とりあえず情報が来たら伝える。」

「ありがと。期待してるよ。」


 そんな話を聞いた以上、

第2王子の監視を厳重にするしかないのだが…

今日は教会の爺と文通中だ。

「前回の接触からあの者が闇魔法師である可能性が高くなった、

 なんとか手配して再度調査する機会を与えて貰えないか、か。

 耄碌して目も怪しくなったかな、あの老人は。

 会う会わないより、さっさと消してしまった方が良いのにな。

 教会としては闇魔法師断罪の祭をしたいのだろうが。

 こちらはそんな事はどうでも良い。」

文面からは大司教の手紙と思われるが、サインは「V」だけだ。

爺の本名はヴィンセント・輝だったかな?

第2王子は大司教らしき人物に、

機会を待って欲しい、是非協力したい、

とは書いている。

まあ手紙だからね。

目やら仕草やらを見られる会話じゃないから

嘘八百を並べ放題だ。

その後は王国北東部の地図を見ている。

王都以外に興味があるのか。

科学院であって地理院じゃないから、

何に興味を持っているのか分からないなぁ…

「全く、こんな時に動かす筈の連中が動かないとは…

 やはり軽輩では役に立たんな。

 直接動かせる組織は無いのか?」

「同時に多数の目標を追い求めるのは古来戒めるところです。

 一先ず成すべき事を優先してはいかがでしょうか。」

「それもそうだな。

 では、学院施設の最新情報を報告せよ。」

こうして優先事項は魔法学院での行動である事が分かった。

医務室と部活動用の別館を調べている様だ。

…嫌な予感がするなぁ。

予感というか作戦目的地がこの2箇所なんだから、

そこには近づかないというのが私の取るべき方針なんだろうが…

多分、無理なんだろうなぁ…

 ちょっと調べましたが、

日本で田植えの儀式をやる様な儀式は小麦文化圏には無い様なので、

無理やり聖人式典をでっち上げました。

気分は聖ジョルディーの日!

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 現代社会に近づける必要ないと思うのですが 作者が書きたいように書けばよいと思いますけれどね。 そうでなかったらおもしろくないと思うのだけれど
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