7−2 情報収集に関わる攻防
マンフォード子爵の次男は3組らしく、貴族ネットワークで
2組の事もある程度分かるらしい。
「プリムローズの娘はキャンベル子爵の娘とマレー男爵の娘と
南部貴族同士で固まっている様です。」
「田舎者同士で気が合うのだろうな。」
…この王子は人を貶さないと死んでしまう病に罹っているんだろうか?
「成績は2組としては良い方です。
一方、プリムローズの娘は授業では風属性として授業を受けております。
能力的には2組としては良い方、という評価です。」
「魔法属性については偽装しているのだろうな。
入学前から隠しているとは、
実際には連中と事前に付き合いがあるのではないか?」
「そちらの調査は進んでおりません。
ただ、王都に出てきたのは入学の1年前となっております。
属性の偽装の指示があるとしたら、
短期間で能力を示した事になります。」
「そうだな。
入学前の指導教師にも当たってみろ。
私との関係を疑われない者を使う事を忘れるな。」
「心得ております。」
…教師にも能力は見せてないよ。
12才を舐めすぎだよね、この王子は。
しかし、着々と調査が進んでいるなぁ…
王子じゃあ止める奴がいないからね。
まあ、こちらもあいつの不正の証拠となるかもしれない領収書を
こつこつ写しているんだが。
不正支出くらいでは息の根は止められないからなぁ…
グレアム経由で第3王子を動かせれば何とかなるかもしれないが、
そうなると私の能力がどれだけ上位の者に知れるか分からない。
まあいざと言う時に対抗出来る様に証拠集めだけは進めておくしかない。
さて、学院にいるネズミをどうにかする必要があるなぁ。
こちらは腐っても伯爵家だが…
北部の子爵家は北部貴族ネットワークで守られているから、
個人的にはなんとも出来ないんだが、
こちらには女子ネットワークがある。
授業の間に教室の出入り口に気配がある。
こんな時はシェリルを利用しよう。
じっとシェリルを見る。
「何?」
振り向きもせず、背中側の出入り口を指差す。
シェリルが私の体から少し顔を覗かせて出入り口を見る。
「誰かいるね?」
「何かさ、北部貴族街で彼がうろちょろして他人の家を覗いているって
噂が流れてない?
その辺の女子に聞いてみると分かるよ。」
「分かった、聞いてみる!」
北部貴族街の話である。
近くにいる北部貴族の女の子に話を聞いている。
その子は驚いて、近くにいた友達に話をする。
その子も知らないらしく(そりゃそうだ、今流れ出した噂だ)、
近くの同じ寄せ親の寄せ子の娘に話をしている。
その子は友人に話をして、
この頃には「彼が覗き見してるって噂知ってる?」から
「彼が覗き見してるんだって!」に話が変わっていた。
もちろん、北部貴族の娘達なら、
彼がマンフォード家の子息である事を知っている子が半数以上だったので、
その日の内にマンフォード家の子息は痴漢であるという噂が学院中に流れた。
早々にこの事は本人にも伝わり、親同士の噂話で親にも伝わった。
そういう事で彼は学院では教室から不用意に出られなくなってしまったし、
暫くプライベートでも出歩けなくなってしまった。
何せ最近、本当に貴族街で放火も破壊工作も起きているのである。
下手な外出は憚られる状況だったのだ。
その事は第2王子にも伝わった。
「何をやっているんだ!情報を集める事すら出来ないのか!」
「大っぴらにやっているならこういう事にもなるとは思いますが、
不用心ですね。」
「だが、これは連中が情報収集を嫌がっているから
そういう噂を流したのかもしれない。
…こちらの動きをある程度読まれていると考えた方が良さそうだ。」
「申し訳ありません。
機密保持には気を付けます。」
「学院ではあちらの影響力の方が高いから、
仕方がない面はあるが…
最後は力押しをする場面が必要な様だな。」
キャサリンから見れば、
王子が力押しと言えば権力で押すという事である。
何かあった際には脱兎の如く逃げ出して
グレアムでもエディでも見かけた奴に泣きつくしかない。
問題はこの状況を相談する事が出来ないんだよなぁ…
科学院は見えません、と言ってしまっている。
大体、貴族街の外れに近いプリムローズ家から科学院が見れたら
もう王都内の殆どが見れる事になってしまう。
さすがに大貴族か騎士団か王家に身元を押さえられてしまうだろう。
科学院からの人の流れを見て、
第2王子の手下の貴族が判明した、と言える情報を集めないといけない。
そのう…
アニメ化されるラノベのコミック版を読む事があるんですが、
ラノベはやっぱり分かりやすい売りがありますね…
一方、小市民シリーズもアニメ化されてますが、
原作ではそうとは思わなかったんですが、
タイトルバックを見ると完全に女の子の可愛さが売りになっていて…
文庫版のあの絵本みたいな絵柄が好きだったのに…