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6−7 生臭とお転婆

「貴様とは会ったことは無い筈だが、何を知っている?」

「反乱王子と手を組んで、いかがわしい事をやってる事くらいかな?」

「そういう方とのお付き合いは無いが?」

「そおなんだ〜。

 もう記憶が怪しくなってるんだね〜。」

「貴様、私を愚弄するのか!」

「そもそもこんなところにいたいけな女の子を追い込んで

 なにするつもりだったのかな〜?

 あたし、ちっちゃいからよくわかんな〜い。」

「貴様…話をするつもりはないんだな?」

「私が光魔法師だろうがなんだろうが、

 あんたの都合で闇魔法師に仕立て上げるつもりなんでしょ?

 話す気がないのはあんたの方じゃない。」

「やはり、貴様、闇魔法師だな!?」

「光か闇かも判断つかないなんて、

 あんた光魔法の力なんて全然ないんだね。

 魔力をほとんど感じないもの。」

爺は顔が真っ赤になった。図星か。

「じゃ、耄碌爺のたわごとに付き合うつもりはないから。

 こんな事はこれで最後にしてね。」

そう言い、キャサリンはくるっと後ろを向いた。

大司教の後ろにいた男達が叫んだ。

「逃がすな!」

馬鹿だねぇ。逃げるために背を向けたんじゃないよ。

キャサリンは左足を蹴り足に後ろに跳んだ。

そして右足を回して大司教の右横腹に跳び後ろ蹴りをお見舞いした。

「ごはぁ!!」

大司教は判別不能の叫び声を上げて吹っ飛んだ。

別にキャサリンは敬老精神に欠ける訳ではない。

ただ、爺にどいて欲しかっただけなんだ。

大司教は貴族出身である。

貴族にとって家・組織・自分に利益になる隠れて行う悪事は美徳だった。

それが利益になるなら。

一方で悪事が表に出る事は悪徳である。

そういう訳で、これが貴族令嬢を拘束する悪事なのは分かっていたので、

大司教はもし官憲にバレた場合に逃げ道を確保していたんだ。

つまり、大司教の足の下に隠し扉があったんだ。

だから、大司教がどいて開けることが出来る様になった隠し扉を

キャサリンはぱたんと開けて、その身を滑り込ませた。

そして扉は自重で閉まった。

「追え!」

大司教の手の者達は隠し扉から続く隠し通路を恐る恐る進んだが、

キャサリンに追いつく事は無かった。

その報告を聞いた大司教は烈火の如く怒り狂った。

「あの者、私を大司教と知って足蹴にするとは神をも恐れぬ所業!

 最早闇魔法師に他ならない!

 必ず捕らえて火炙りにせよ!」

そうは言っても大司教の周囲にいた者達は

あの娘の闇属性など全く感じていなかったから、

火炙りになど出来る訳がなかった。

そんな事より、何故初対面の人物を大司教と見破ったのか、

生臭なところなど秘している面を何故知っているのか、

そしてどうして足元の隠し扉が分かったのかと

色々疑問に思っていた。


 もちろん、キャサリンは隠し通路なんて通るつもりはなかった。

ただ一瞬、全員の目から姿を隠す事が出来れば良かったんだ。

そうして北の平民街寄りの人影のない通りにジャンプした。

ここから家にまっすぐ帰れば良いんだが、

監視やら教会関係者らにどうやって家に帰ったか

見せつける必要があった。

だから小走りで北部下位貴族街と南部下位貴族街の間にある

騎士詰め所に立ち寄った。

「こんな格好ですみません。

 こう見えてプリムローズ家の娘ですが、

 不審な輩に追いかけられて困っています。

 家まで送ってもらえないでしょうか?」

そういってプリムローズ家の紋章の刺繍がしてあるハンカチを見せた。

話を聞いていた騎士は不審がったが、

後ろの騎士がその騎士の肩を叩き、中に入っていった。

「少々お待ち下さい。」

そうして中の部屋で聞き込みが行われ、

西公園付近で怪しい男達に囲まれそうになり、

家まで付いてこられると困るので遠回りしてここに来た事にした。

調書を取った後、騎士二人が私を家の近くまで送ってくれた。

この騎士詰め所は確認していなかったが、

普通に考えればプリムローズ家に一番近い騎士詰め所は

私の監視情報の中継地点の筈だ。

そういう事であの肩を叩いた騎士の振る舞いからしても。

ここがエディの息のかかった場所である事が分かった。

それにしても参った。

エディとグレアムの為に動こうとして、逆に迷惑をかけるところだった。

家に帰ったキャサリンは精神疲労と肉体疲労の双方から、

自室のソファでうたた寝を始めてしまった。

だから夕方黄昏時に起こったゴードン家の騒動は見逃してしまったんだ。

 1−1で仕込んだ後ろ回し蹴りだったのですが、

回し蹴りのリーチに立つと、

前に出てきた周囲の男に服を掴まれて倒されそうなんですね。

だから後ろ跳び蹴りになりました。

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