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6−2 王都のさざなみ

 王太子ウィリアムが夜、王に呼ばれた。

「クンルン王国の乙殿下は下位貴族街にて私服に帯剣した部下を

 用いて貴族令嬢を拉致しようとした。

 よって帰国して貰う。

 ただ、これはフレドリックがグレアム・ゴードン達の

 手の者を害する目的で情報を与えた様だ。

 この件は我々で対応するから、お前は手を出さない様に。」

「分かりました。お任せします。

 ただ、その令嬢は乙殿下が乱心する様な魅力の持ち主なので?」

「違う意味で魅力的だ。

 グレアム達の反乱捜査に協力して情報を集めた者だ。」

「それは危険な魅力の持ち主ですね。

 彼等の手に余るのでは?」

「何とかすると言っている。

 最終的には奴の決断待ちだ。」

「それは、それは。

 では私も静観致しましょう。」


 キャサリンとしては、監視対象が3つになっているが、

教会は何せ光魔法の最高峰の集団である。

藪蛇にならない様に、そちらへ強い魔法を使うのは止める事にした。

だから、夕方は第2王子を監視する事にした。

第2王子はクンルン王国の巨大蛾の調査結果を入手した様だ。

総領事が乙殿下の不祥事に対して

乙殿下と同行して入国した全員を謹慎させる事で

とりあえずのクンルン王国からの謝罪の意志を示したのだ。

これに伴い魔法院にこれまでの調査結果が全て提出され、

それを科学院も入手した事で第2王子が手を出せる様になった。

「ふん、陰の気に満ちた繭の中に陽の気を届ける能力者か。

 陰だの陽だの田舎臭い言葉使いをする。

 文化の光が届かない田舎者共は嫌だな。」

…嫌な王子だね、こいつ。

普通に考えたら数千年の歴史を持つクンルン王国が格上で、

このスチュアート王国の方がただの田舎扱いだと思うんだが。

「ふむ、やはりあの魔獣は闇魔法を司る魔獣の様だ。

 それを目覚めさせる光魔法師か。

 まあ道具としては使えるかもしれないが、

 愚か者共に仕える馬鹿娘だ。

 しかも南部出身の田舎者だ。

 教会で拷問死させる辺りがお似合いだな。」

うん、こいつの事は何とかグレアム達に話して、

王様に裁いてもらえる様に進めよう。

第2王子はさらさらと手紙を書いた。

教会に説得力のある話をする為、

クンルン王国の調査結果を手紙に散りばめている。

ただ、繭の内側は闇魔法とまでは書いたが、

外側は光魔法で満ちていた件は書いていない。

上手く情報を操作しているな。

要するに都合の良い情報だけ伝えれば良いんだ。

魔獣の事なんて教会に情報が漏れる筈ないから、

この第2王子の情報の疎漏に気がつく教会関係者はいないだろう。

まあ、あれだ。

上水道が闇魔法で汚染される可能性があったなどと教会が知ったら、

大規模浄化をするまで水を使わせないとか言い出しかねない。

あの貯水池を完全に浄化する事が出来る聖魔法師なんて

この国の教会にいるかどうか知らないが。

さて、闇魔法師などと疑われたら

それこそ拷問しても死ぬまで自白しなければ闇魔法師とか

言いかねないのが教会だ。

率直に言って捕まっても意識さえ失わなければ逃げられるんだが、

この移動能力をどう言われるか。

うん、間違いなく闇魔法と決めつけられるだろう。

証拠なんていらない。闇魔法については教会が黒と言えばそれが真実だ。

とりあえず坊主臭い奴がいたら走って逃げよう。


 寝る前にはネイピア子爵邸を調べる。

ネイピア、ってのはハミルトン公爵の血判状に無かった名前だ。

この調子ではまだ駒を隠していそうだ。

さすが王子。

ネイピア子爵はゴードン領とは逆の北部の東寄りに領地を持つ貴族だ。

人間同士のいざこざがなければ、

ゴードン家にちょっかいを出す理由は無い。

秘密工作をするには良い人選かもしれない。

ところが、比較的若い当主らしく、

夜に書斎で仕事なんかしてなかった。

…ひたすら机の中だけ覗く事にしよう。

机の鍵の付いた引き出しには契約書等ばかりで怪しい書類は無かった。

床下に手紙を隠した形跡も無い。

本棚…ごめん、明日学院があるから今日はもう止め。

日中にこちらも見てみる事にしよう。


 翌日、学院で魔法の授業があった。

魔法学院で魔法の指導に力を入れるのは1組と2組で、

光魔法師は1組にしかいない。

2組の魔法の授業にはそういう訳で

教会から派遣された聖魔法の指導員は参加しないのだが…

2組の次が1組の授業だからと言って、

教会の指導員が魔法実技練習場で何やら準備をしていた。

助手がちらちら私を見てたよ。

私は連中の事を能力で見てたんで気づかれなかったと思うが、

逆に光魔法の何かを放出してたかもしれない。

まあ光魔法師と思われる分には問題ない。

あいつらが私を気にしているのは、

第2王子からの密告で闇魔法師の可能性があるからだ。

だけど、仕事が早いね。教会の割に。

これは本当に一人で外出とか出来ないと考えた方が良いね。

 文字数を増量したら、タイトルに困る内容になりました。

ちなみにキャサリンには教会に行く趣味はありません。

生まれてこの方、誰も彼女を教会に連れて行った事がないからです。

かく言う私もカトリックの教会とかモスクとかには入ったことがないですね。

お寺でいねむりした事くらいしかないです。

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