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4−13 反乱鎮圧の後

 グレアム他ゴードン家の一行は無事王都に戻ってきた。

国王ロバートに討伐について口頭報告の後、

グレアムは謝罪の言葉を述べた。

「私が至らないばかりに反乱鎮圧が遅れました事、

 誠に申し訳ありませんでした。」

「まだ未成年なのだ。そこまで責任を感じる事はない。

 だが、これを良い経験として今後に活かす事を考えなさい。」

「寛容なお言葉、誠にありがとうございます。」

「ハミルトン領の鎮圧もほぼ終わった。

 こちらは私の不徳の為すところだ。

 皆に苦労をかけたな。」

「いえ、私共の情報収集が遅れて申し訳ありませんでした。」

「情報については助かっている。

 情報源については大切にする様にな。」

「はい。心得ております。」

こうして報告は問題なく終わった。

報告書は内務大臣に渡された。

反乱貴族の遺体と、陪臣達も手を出せなかった領主の幼い子供達も

同時に渡された。

嫌な仕事はリレーされ、

完遂された時にこれに関わった全ての者をやるせなくさせるのだ。

ただし、グレアムはここでもう一つの仕事を与えられた。

グレンヴィル子爵の娘、ライラが自分との面会を希望していたのだ。

少なくともモーガン・グレンヴィル子爵の最期は語る必要があったから、

グレアムはライラと会う事にした。


「グレアム!お願い!私を助けて!」

グレアムとしてはいきなりため息を吐くしかなかった。

「…父親がどうなったか聞きたくないのか?」

「そんなの聞くまでもないでしょ!

 王都を離れて領地に帰っていたあなたが戻ってきたのだから、

 うちの領地は平定されたに決まっているでしょ!?

 だから、平定の功績があるあなたから、私の助命を頼んで欲しいの!」

人は必死になると理論がおかしくなる。

そもそも親が討伐される様な大逆の反乱者なのだ。

何故その迷惑を被ったわれわれが大逆の連座で処刑されるべき娘を

助命嘆願しないといけないのか。

もうさっさと言うべき事を言って帰ろう。

「聞きたくないかもしれないが言うぞ。

 グレンヴィル部隊は我が領の一部を占領したが、

 我が領の部隊を夜襲しようとして失敗、

 翌日の反撃にて自領に追い返された。

 その後、我が父の指揮で領都近くまで進軍したところで

 陪臣達は降伏した。

 子爵本人は降伏前に亡くなった。」

「死んだ人は生き返らないからそれはもう良いわ。

 だから討伐の功績があるんでしょ!?

 私を助けてよ!」

「大逆の罪人の直接の子孫を残せる訳がないだろう。

 そんな助命を申し出たら、そいつも大逆扱いだ。」

「酷いこと言わないでよ!

 前にあなたを助けてあげたでしょ!

 今度は私を助けてよ!」

馬鹿な事を言っている。

お前が俺を助けた事なんて無いのはお前が一番分かっている筈だ。

だって、助けられたのは俺じゃないんだからな。

何を狙って虚言を吐くのかを知る為に暫く付き合ったが、

こうなると俺を籠絡するのも反乱の一手だったのではないのか?

それならそうと最初に告げてくれれば助ける事も出来ただろうに。

そうしなかったと言う事は、

反乱が成功する方にお前も賭けていたんだろう?

それが成功したら、牢にいるのは俺の方で、

お前は牢に入れられた俺に何を告げるつもりだったんだ?

「お前も、お前の父も、身にそぐわない高い地位を望んだ。

 だから落ちて命を失うんだ。

 俺から言えるのはそれだけだ。」

「酷いよ!

 知り合いが死んでも平気なのね!?

 あんなに一緒に過ごしたのに!」

「…これでさよならだ。」

「人でなし!

 冷血漢!…」

まだライラは何か叫んでいたが、

もう何も話す事の無いグレアムは牢を後にした。

お前達が反乱を起こすから、俺も殺されかけた。

そして弟は幽閉された。

俺も弟もそんな目に合う様な事をしたのか?

そう反発してみても、

やはり知り合いが死ぬのを黙って見ている事に

全く苦痛を感じない訳がない14才のグレアムだった。

 ちょっと文字が少ないですが、

これに何か付け足すのも嫌なのでここで切ります。

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