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4−9 警戒態勢

 夜に再度ゴードン領に移動して、近場の雑木林から領都を見る。

寒い。人間、寒さには慣れるもんじゃない。

ゴードン領の領都は厳戒態勢になっていた。

下手をすれば今晩にでも破壊工作が領都に行われるかもしれないんだ。

会議室を臨時の対策会議室としている。

「逃げた役人は陪臣の推薦で役に付いていますが、

 元は商家の息子です。

 周辺の聞き取りを進めています。」

「幌馬車は廃棄されていた。

 乗り物を変えて移動していると思われる。」

「領都は出入りを許可制にしております。

 また、日没後の外出を一時的に禁止しております。」

グレアムが渋い顔で話し出す。

「明日の領都の行動制限をどうするかだが…」

役人の提案は緩やかなものだった。

「商業地区は馬車の出入りは検問を行い、

 役場と城は関係者以外の立ち入り禁止とするべきでしょう。」

騎士の男の提案は厳しいものだった。

「とりあえず3日は戒厳令を敷くべきだ。

 その間に周辺地域の捜索を行い、

 安全が確保されたら日没後の行動制限だけに戻しても良い。」

グレアムとしては、役場と城の行動制限は最低限必要と考えたが、

商業地区や平民街までの制限はやり過ぎではないか、

と考えた。

「役場と城だけは3日間関係者以外の出入りを禁止しよう。

 商業地区と平民街は騎士の見回りを強化してくれ。」

騎士の男もそのあたりだろうとは思っていたらしい。

「分かった。不審者の狙いが分からないから、

 そのくらいの制限の方が尻尾を出すかもしれないからな。」

出入りの不正をちゃんと監視してくれれば良いんだけど…


 続けて城の外郭部分の分家の家来のコール家を見る。

「フィンストンはヘマをした様だな。」

「商業都市への移動は暫く危険です。

 領都の関係する組織と連絡を取りましたが、

 とりあえず刺客は、今晩は商業都市に潜伏、

 明日の暗殺予定は変わらないとの事でした。」

「ただ、フィンストンも馬鹿に出来んな。

 商業都市の役人にも繋ぎが出来ているし、

 この分だと領都の役人にも幾らか掴ませている様だ。」

「侯爵家より男爵家の金遣いの方が上手いというのも

 困りますね。」

「侯爵はいかにも武家育ちだからな。

 そういう蛇の道は好かない面がある。」

「そこにつけ入る隙があるでしょうか。」

「そんなに甘くは無いだろう。

 欲をかくのは止める事だな。」

「分かりました。」

コール家に動きがない以上、裏組織を見るべきなんだけど…

夜間外出禁止で歩いている者がいないんだから、

裏組織も外には出てこないよね。

今晩は帰ろう。ああ、寒い…


 次の日の午前中、王都のフィンストン男爵館を見る。

またファントム卿からの手紙を読んでいる。

それにはグレンヴィルのゴードン領からの撤退について書いてある。

なるほど、ファントム卿の方が他の貴族より情報伝達が早い。

王国の情報伝達経路の上の方に伝手があるんだ。

やんごとない方、とは誰だろう。

ゴードン侯爵はハミルトン公の反乱について私の情報を打ち上げているから

反乱側のファントム卿としては排除したいのだろうけど、

逆に王家には排除する理由は無いんだ。

王家なんて調べたく無いよ。困ったな…

本当は王都のフィンストン家に出入りする人物の調査が必要なんだけど、

少なくとも今晩のフィンストンの刺客、

そしてコール家の刺客まで対応しないと、

王都の調査なんてしていられない。


午後にはゴードン領の領都近くまで移動する。

出入りする馬車を見るが、怪しい男達は見当たらない。

もう領都には入って夜に備えて仮眠でもしているかもしれない。

城の会議室を見に行く。

陪臣との会議なんてやっていない。

破壊分子対策会議室だ。

私は裏情報で連中が刺客と知っているが、

彼等は他にも警戒する必要がある。

「水源からの用水路に対する監視は続ける。」

「城内井戸近辺は常時監視を付けております。」

「城に向かう経路は要所要所に監視を置いている。

 城内本館の立哨も強化している。」

「後は、グレアム様は中心部分から外への移動は暫くお控え願いたいです。」

「そもそも戻ってきてから城外に出た事がないぞ。」

「もう暫くは御身を大事にして頂きます。」

グレアムの身辺警備はちゃんとしてそうだね。


 後はコール家はどうしているか。

「裏組織との連絡はどうなった?」

「あちらの刺客は今晩決行との事です。」

「うちの刺客も騒ぎの後の隙を狙う様に指示してある。

 こちらは下男に紛れているから、出入りの心配は不要だが、

 連中はどうするのだろうな?」

「こちらはこちらの事だけに専念なさるのが良いかと思います。」

「それもそうだな。」

下男が二の矢かぁ〜…

ファントム卿の三の矢がなければ良いんだけれど。

時間切れだ…

一度家に帰ろう。

 今週は暑い日が続いたのでお腹がもたれ気味のため、

夕飯は初めて雲雀系のカフェレストランに行きました。

狙い通りにおしゃれ茶漬け(正式名称は覚えてません)があって、

ご飯が茶碗一杯分もなさそうな適量でした。

ただC/Pは悪いです。

ただ、飲みたかったフルーツアイスティが美味しかった。

もっと都心のおしゃれなお店ならもっと美味しいんだろうなぁ…

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