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4−1 ゴードン領(1)

 王都には3日間、戒厳令が敷かれた。

1日目には血判状に名前があった貴族と、

それらと親交のある貴族を、

2日目はそれ以外の貴族家の家族の確認が行われた。

プリムローズ家には2日目の午後に騎士団の確認があり、

それが終われば3日目にはやる事が無かった。


 王都は問題が無い様だから、

お坊ちゃまの様子でも眺めに行くか。

部屋の扉に「睡眠中」の札をかけて、

閂を内側からかける。

外を歩く者はいないが、王都近くの雑木林までジャンプする。

中央山脈の比較的低い、雪がない高度で王都より西側の場所を見つめ、

足元に問題が無い事を確認してジャンプする。

秋にラムゼイ伯爵領に移動した時より高度の低い山裾を狙い、

次々ジャンプして行く。

ゴードン侯爵領から東にフィンストン男爵領があり、

ここは例の血判状に名を連ねていたが寝返った貴族だ。

グレンヴィル子爵達がゴードン侯爵と戦闘になる様なら、

こちらにも何か動きがあるかもしれない。

まあ、まずゴードン領の領都の様子を見るか。

ゴードン侯爵の本拠地は山城とその城下町となっている。

山側の林に身を潜めれば難なく中を見れる。

こんなに近づいた事は無かったけど、

プリムローズ領で暮らしていた時にはこの周辺まで来た事がある。

やっぱり地理的に、あの少年を助けたのはゴードン領だったと思う。

という事はこの近辺の騎士は簡単に平民を無礼討ちする奴らだ。

気をつけよう。

さて、城だ。

中央の高い建物の中に執政室があるのか、

探してみたが、むしろ会議室みたいなところに人が集まっている。

四角く机が並ぶ部屋に、グレアムも居た。

グレアムの両側に老若二人の侍従らしき人物がいる。

その両側にごつい騎士らしき中年の男と、

文官らしき中年の男がいる。

文官が声を上げる。

「では、連絡員は王都の状況を説明してくれ。」

「はい、王都での反乱は鎮圧されました。

 侯爵閣下はまだ王都の後処理に携わっている為に

 こちらへの帰還は遅れるとの事です。」

会議の参加者からうめき声が上がった。

侯爵が頼りにされているとは言えるが、

逆に領地にいる者達だけで現状に対処するのが難しいのだろうか?

今度は騎士らしき男が声を上げる。

「では、領地沿いの各貴族の現状を報告してくれ。」

「はい。グレンヴィル子爵領軍は我が領内で農村を占拠し、

 居座っております。

 エリバンク男爵領軍は領外に撃退し、

 自領の村まで後退しており、監視を続けております。

 レイ男爵領軍も領外に撃退し、

 こちらは境界に近い町まで後退しております。

 これには我が領地内で道路を閉鎖して監視しております。」

「2方面に監視といざと言う時の防衛戦力を向けなければいけないが、

 当面はグレンヴィル領軍への対応が軸、と言う事だな。」

「そう考えます。」

「グレアム様、何かご意見は?」

「王都での反乱が鎮圧された以上、

 グレンヴィル家以下の反乱は意味がない筈だ。

 まずその情報を彼等に伝える必要があるだろう。」

「欺瞞情報と捉えられる可能性がありますが…」

「いずれにしろ情報が入れば彼等も考えるだろう。

 その間に防禦を整え、場合により攻めて追い出す事も考える。」

場合により、の言葉にあくまで私語として

「弱気ではないか…」

と呟く声が聞こえる。

「異論がある方がいましたら挙手の上、

 発言の許可を得てから話す様、お願いします。」

文官が声を上げた。もちろん挙手する者はいない。

「騎士団およびグレンヴィル領周辺の者は防衛予算を急遽算出の上、

 明日に案を提出して下さい。

 防衛計画については明日午前の議事にて検討します。」 

今回の会議は終わった様だ。

後に残った首脳陣は残りの部分を詰める。

「いずれにせよ3方面で一応の戦力平衡が出来上がっている。

 各方面の防衛案をまとめて余剰戦力を抽出してグレンヴィル領軍に

 当てるしかない。」

「既に緊急召集を行っております。

 続いての召集はしばらく避けたいところ故、

 現有戦力でなんとか追い出して頂きたいのですが。」

文官と騎士の会話にグレアムが割り込む。

「それなんだが、他の方面の出入りのチェックを厳しくすべきでは

 ないだろうか?

 戦力に余裕がないだけに、新規の火種は減らしたいと思うんだが。」

文官が難しい顔をする。

「農家は蓄えで生きていけますが、

 町に住む者達は流通が途絶えて物価が急騰すれば不満を抱きます。 

 商家の物流も消極的になりますれば、

 検問はあまり強化したくないのです。」

騎士の考えは違う様だ。

「とは言え、緊急時だ。後方で破壊工作をするのは基本だから、

 ある程度は検問を行う必要があるだろう。

 幹線道に最低限の検問を行う事、

 また、隣の貴族領との間に監視を置く事ならどうか?」

「まあ、どう考えてもフィンストン男爵領との間に監視を置く必要は

 ありますね。」

ここでグレアムがまた割り込む。

「では、二人共案を考えておいてくれ。

 明朝の会議前に詰めよう。」

「分かりました。」

グレアムは家内で舐められてる事も無いではないが、

少なくとも上層部とは意思の疎通は出来ている様だ。

まあ、不慣れなんだからまず年長者に相談して検討してもらうのが

良いだろうね。

まあ、思ったより事態は落ち着いている様だ。

今日は帰ろう。

 安定の寝落ちでございます。

失礼致しました。

昼ファミレスで書いたのをノーチェックで投稿しています。

変なところを見つけたら直すかも。

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