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3−15 嵐の前に

 決起の日がほぼ分かっただけに、対応が急がれた。

翌日ゴードン家に着くと、応接室にはエディが待っていた。

「3家が逮捕された事を見て、10家が情報を持って寝返ってきたんだ。

 でも、ゴードン家に接する3家は寝返ってこない。

 その対応でグレアムが領地に急いで帰る事になったんだ。

 だから、これからは一日の捜査の終わりの際には

 こちらから派遣する連絡員に報告して欲しい。」

22家中、センベロ子爵とラムゼイ伯爵、

フレイザー伯爵とライアン伯爵は既に獄中だ。

その他に10家が寝返ったなら残りは8家だ。

そしてゴードン家周辺の3家が蜂起すれば

ゴードン家から王都への派兵は出来なくなるだろうが、

王都近辺ではハミルトン家中心に5家の反乱…

充分大規模反乱だけど、

なにせ爺さんが亡くなった兄貴憎しでやっている内乱だ。

部下に優秀な者がいて上手い作戦を提案しても

爺さんが感情論で全部ひっくり返し兼ねない。

鎮圧は可能だろう。

問題は、ゴードン領に対する攻撃を、

14才のグレアムの指揮で対処出来るのか。

こっちはそれこそ優秀な家臣に任せるとは思うが…

エディの私を見る視線が冷たい気がする。

「グレアムが心配?」

「王都近辺で5家が反乱を起こしても、

 誰が動くか分かっていれば対処は可能でしょう?

 そうなると、ゴードン領が一番の心配だと思うんだけど。

 まあ嫡男だから最悪でも家臣が逃がしてくれるとは思うけど。」

それを聞いたエディの顔が複雑そうだ。

「家臣が一枚岩なら問題ないと思うんだけどね…」

そうじゃないんだね…


 ハミルトン公爵邸からは新規情報はもう出てきそうに無い。

それでも日々公爵に入る情報を写し、報告していた。

こんな情報は王家の隠密部隊が調べているのだろうが、

複数から入る情報を検討出来れば情報の精度が上がるだろう。

ハミルトン公爵の部隊の南下に対しては

現王弟のグラハム公爵の部隊が速度優先で王都へ向かっている。

速度に劣る部隊も続いているらしい。

王宮への突入をとりあえず阻止出来れば、

後は時間が王家に味方する事になる。


 大分調べる事が減っているが、

とりあえず大きな情報を提供したので報酬は随分貰った。

まず平民向け極寒地仕様の服を買ったよ。

それを着て中央山脈にジャンプし、

大きな木の根元に穴を掘って報酬を埋めた。

何かあって南部へ逃げても数年は暮らせそうだ。

あくまで平民レベルの生活をするならだけど。


 王都では外出する人間が減っているらしい。

ラムゼイ伯爵達が逮捕された理由が大逆罪の疑いだから、

各家も情報を集めて内乱が近く起きる事を察知していたんだ。

なにせプリムローズ家でも話題になったくらいだ。

父親が夕食中に言い出したんだ。

「ドリス、どうやら内乱が起きる可能性がある様なんだ。

 茶会への出席は暫く控えた方が良い。」

「ええ、あなた。私も噂は聞いています。

 ハミルトン公爵の周辺が大分きな臭いと。」

「まあ我々は北部貴族とは縁遠いから良いが、

 アレクシアもアンソニーも気をつける様にな。」

「はい、分かりました。」

…次女と私には注意無しだよ。

私は表向き貴族付き合いはしてないから、まあ良いが。

もちろん毎日午後の外出も誰も何も言わない。 


 もう直接対決が避けられない為、

ハミルトン公爵の部隊の王都到着の前日からは

ゴードン侯爵家への出勤は不要となった。

私としては数年分の蓄えが出来たからもう仕事はやりたくないし。

ただし、平民街へのお出かけも出来なくなった。

反乱貴族が王都外から呼び寄せた部隊が

身分を隠して平民街に潜む様になったからだ。

反乱貴族の配下の兵達は悲壮感が漂っており、

士気を高める為に散財の為の給与事前支払いがあったのか、

酒場で騒ぐなり暴れるなり娼館にシケ込むなりしているらしいが、

やはり神経質になって室外で暴れる者も少なくないので

平民街は大分治安が乱れていた。

ハミルトン公爵からすれば世直しの決起の筈なのだが、

実際にはそれ以前の女性誘拐も含めて

平民街の治安を激しく乱していた。

なるほど感情論で動く暴力主義者というのは

はた迷惑な存在だ。

 本編と関係ありませんが、

某事件の犯人は多重人格者だと犯人の母の裁判で明らかになった様です。

精神鑑定の結果が待たれるところです。

不謹慎ですけど、

多重人格者のサイコなお話が書きたくなりますね。

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