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3−12 王家の対応

 血判状の存在は流石に王家を驚かせた。

ハミルトン公爵家を中心に22家に叛意があるとなると、

一事が大事となる恐れがある。

切り崩しが必要となり、

一部を逮捕して圧力をかける事になった。

そうなるとラムゼイ伯爵、フレイザー男爵は他の疑いがある為、

まず対象となったが、

それ以外にも情報があると示す為にライアン伯爵も

逮捕する事になった。


 翌日、キャサリンがゴードン侯爵家に来る直前、

エディがゴードン家を訪れた。

キャサリンが使っている応接室で、

彼女が使っている椅子の座面をエディが指で撫でるのを見たグレアムは

(お前、それはちょっと変態っぽいぞ)

と思ったが口には出さなかった。

キャサリンが来るとエディは騎士団の直近の動きを伝えた。

「ラムゼイ家、フレイザー家、ライアン家に捜査が入る事になった。

 平民街の裏組織にも手が入る。

 だからそちらの調査はもう必要なくなる。

 午後のハミルトン公爵の調査と、

 夜に出来る範囲でハミルトン家の寄子のメイトラム伯爵家を

 調査して欲しい。」

「ライアン伯爵の館に捜査が入るのは良いと思うよ。

 あの人、かなり杜撰な感じだから、

 徹底的に調べれば色々出そうな気がするんだ。」

エディもグレアムも

この段階の強制捜査にキャサリンが微動だにしないのを見て、

改めて彼女が能力で真実を見ているのを感じた。

適当な事をでっち上げているなら多少は動揺する筈だ。

「そういう訳だから、

 隠し部屋の血判状のあった周囲の調査を進めて欲しい。

 同じ案件の書類は同じ場所に置いておくと思うんだ。」

「まあ、隠し部屋以外に大逆の情報を置いておくとは思えないものね。」

そうしてエディは帰っていった。


 ハミルトン公爵家だが、

書斎でモンタギュー・ハミルトン公爵本人が難しい顔で椅子に座っていた。

騎士団はもう動いているのか?

ライアン伯爵家ならここから能力で見えるから、確認してみよう。

…なるほど、もう騎士団が動いていて、

その情報がすぐハミルトン公爵家にも伝わったんだ。

侍従らしき者が書斎に入ってくる。

「報告致します。ラムゼイ家、フレイザー家にも捜査が入っている様です。」

「そちらはもう疑われていたから分かるが、

 ライアン伯爵家に捜査が入った理由は何か?」

「両家とライアン家とは直接連絡はしていなかった筈です。

 そうなると連絡屋から漏れた可能性がありますが、

 昨日までそういう捜査はなかった筈です。

 現在、平民街を確認させています。」

「各方面の情報収集を進めよ。

 対応はそれからだ。」

「はい、閣下。」

侍従が退室すると、ハミルトン公爵は鍵付きの本棚を開き、

王都の地図とさらに縮尺の大きい王都近郊の地図を開く。

王都の地図は分かる。味方の家に印が付けてあり、

騎士団詰め所など対抗戦力にも印が付けてある。

更に別の紙を取り出す。

そちらには簡略化された王都の地図に矢印が書かれていた。

現有戦力でのクーデター計画がある程度検討済みなのだろう。

いや、これすぐ写すとか無理だよ。

私は地図は得意じゃない。

なにせ上位貴族街やら王宮周辺には殆ど行った事がないんだ。

悲しい事に平民街以外に土地勘がないからすぐには絵が書けないんだ。

仕方がないので出来る範囲で写す。

1.主攻軸は南北を通る大通り

2.東西から隠密侵攻

3.王都近郊の軍駐屯地には外部から兵を向け

  王都内への移動を牽制する

と思しき作戦計画の様だ。

どう見ても東西からの兵力でこっそり王宮へ攻め込むのが決戦兵力だろうね。

見え見えの大通りの大兵力で騎士団を拘束し、

王都近郊の駐屯地にいる兵役で集めた召集兵は

多分蟻さんこと奴隷兵を含む兵力で拘束する。

グレンヴィル家など南部貴族は多分、ゴードン家などの本拠地を攻撃して

長期に王都への援軍派兵を妨害するのが役目だろう。

細かいところはお利口さん達が考えてくれるだろうから、

作戦計画が分かる程度に荒っぽく写す。

ハミルトン公爵も他人には見せられないものを何時までも広げていなかった。

一通り確認すると畳んで戻してしまった。

多分、一部同志に捜査が入った事から、

反乱勢力の一部は離反するだろう。

捜査が入った3家から自分達の名前が出る前に王家に申し出て、

「反乱勢力の情報を得る為に参加しているフリをしただけだ」

と言い張れば何とかなると思う者がいるだろうから。

だから反乱勢力の主力達は、もう早急に暴発するか、

国外逃亡するかどちらかしか道はない筈。

この爺さんの動向を見つつ、隠し部屋の調査を進める。

先の王弟か…

見たら不味い物は無かった事にして報告しないといけないなぁ…


 とりあえず、本日最大の成果はその作戦計画だった。

蟻さん入手計画と実績を示すメモもあったが、

蟻さんが何処にいるか分からないからこの数字はあまり意味がないだろう。

またグレアムが血相を変えて作戦計画を持って王宮へ向かった。

私はさっさと帰らせてもらった。

王宮から変な指示が出てゴードン家で夜通し捜査をする様な指示など

出たら嫌だからね。

 多分、顔を見に来たのでしょうね。

フードで隠してるから鼻から下しか見えませんが。

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