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2−8 試験勉強(2)

 そんな11月、帰りの馬車に乗る為に学院内の並木道を歩いていると、

エディと護衛が通りがかり、目配せをされた。

(ついて来いって事?)

少し距離をあけてついて行く。

並木の陰で話しかけられる。

「悪いね。」

「何か御用?」

「ちょっと聞きたい事があってね。

 怪盗フットプリントって知ってる?」

知っているけど知らないフリをしないといけないんだけど、

どうやらハイファックス子爵は王都に通報はした様だ。

その割には流通は戻っていない様だが。

騎士団は何やってんだよ…

「怪盗?」

「そう、怪盗。」

「フットプリント?」

「そう、フットプリント。」

「泥棒は足跡を残してはいけないんじゃない?普通は。」

「そこが突っ込みどころなんだ…」

「そういうジョークじゃないの?」

「いや、真面目な話でね。

 そう名乗る者が、誘拐事件の情報を提供したらしくてね。」

「誘拐事件ね。その犯人が捕まったって事?」

一応惚ける事が必要だからね。

「いや、ハイファックス子爵領で誘拐事件があったらしくて、

 近隣を捜査しているけど、犯人は捕まっていない。」

惚けながら情報を入手出来るかな…やってみるか。

「西の方からの扇子が入ってこないと言われているけど、

 関係あるの?」

エディがじっとこちらの目を見る。

ああ、怪盗フットプリントも疑わしかったが、

扇子の流通と関連付けるのも不味かったかな。

でも、あそこまでの距離を移動出来る事は誰にも話せないよ。

「まあ、実は産地近くで道路が災害で封鎖されていて、

 それも怪しい点があるんだけれど、事件などは見付かっていない。」

「同級生が扇子を欲しがっているんだけど、

 冬至祭には間に合いそうにないの?」

「捜査があるので流通はまだ制限されると思う。

 君も欲しいの?」

目を見つめながら、エディが問いかけるが、

何か交換条件を出されそうな希望を口に出すと思う?

「私ならどんな扇子でも良いんだけど。」

「そうか…」

まだ私の目を見つめ続けるエディ。少しは恥ずかしがった方が自然かな。

「他に何かある?」

「いや、時間を取らせて済まなかったね。」

「いえ、お役に立てずに申し訳ありません。」

「そう思うなら協力して欲しいんだけどね。」

「さすがにテストを控えて西の方の事件にはお付き合い出来ません。

 そもそも普通の女の子には何も出来ませんし。」

「普通ならね…」

「普通ですとも。それでは失礼します。」

そうは言われてもエディとしては証拠の出方が似ているから、

キャサリンを疑ってはいるのだが、

何しろキャサリンが王都を出た痕跡がない。

また、監視の専門家をプリムローズ家に付けていて、

そちらからもキャサリンが家を出た報告が無かった。

直接聞いてみたのは突破口が欲しかったからだった。


 試験勉強の方は過去問題を写して自宅で勉強した事を

土曜に質問しあうという段階になっていた。

それ以外に問題集がある訳じゃないから、誰もが過去問題の対策をしていると思われる。

「こんなに勉強したのは初めてだよ!」

「そうね〜。領地の家庭教師はのんびり教えてくれてたしね。」

「うちは侍従が手すきの時間に教えてくれただけだよ。」

二人共お嬢様だから教育は受けてたんだね。

私なんか魔法だけ適当に教えられてただけだよ。

「試験が終わったらまた街に遊びに行こうよ!」

「そうだね。二人はどこか行きたいところはあるの?」

「もちろん美味しいお菓子が出てくるお店に行きたい!」

「そうだね〜。」

二人共食欲優先か。

まあ可愛い小物とか貴族向けだとお小遣いで買えない金額の可能性がある。

北部の上位貴族なら問題なく買えるんだろうけど。

「でも、お菓子を探しながら、羽根扇子も探そうね!」

「そうだね。試験後だったら出回っているかもしれないしね。」

「じゃあ、試験後のお出かけを楽しみに勉強を続けよう!」

「は〜い!」

3人で勉強っていうのはいいね。

隣で頑張っている人がいると、

こちらも頑張ろうという気になるものね。

 短めですみません。

明日で2章終了、冬休み編に入ります。


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