表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/100

2−4 ラムゼイ伯爵領(3)

 男爵と話をしていた男は馬で館を出て、

ラムゼイ伯爵領へと向かった。

書類のありかは分かったので、男爵領の調査はもう良いだろう。

男爵館から出ていった男を先回りして監視しようと先行する。

男爵領と伯爵領の間の森にジャンプで移動し、

そこから領主館の近くの雑木林へジャンプする。

とりあえず伯爵の領主館近くの街を見る事にする。

だってそんなに早く馬で移動出来る訳がないから。

幌馬車で「蟻」を伯爵領から移動させたなら、

出発地点は領主館か、あるいは下町のボロ屋か、

大店か。

見回しても王都ほど廃屋はない。

大店は4軒ほどあるなぁ。

どこぞの南部貴族の領地にはこの規模の大店はないんだ。

ここは幹線道路のお陰で流通が多いのだろう。

1軒は羽根扇子やら装飾品を扱っている。

それがこの地の名物だから大店が扱うだろう。

小麦問屋らしき商家も大きく、衣類や布を扱っている商家がそれに次ぐ。

最後の1軒が広さの割に荷物が少ない。

店内を探してみるが、怪しいものはなさそうだった。

男爵領からこちらに向かった馬が着くのが遅いなぁ。

一旦、家に帰ろう。夕食に間に合わなくなるとまずい。


 夕飯を食べて入浴を済ます。

伯爵とあの男の会話が気になるが、

流石に50マイル以上離れた領主館の中など見れる訳がない。

うーん、無理して行ってみるか。

ルートは決まっているから片道半時間もかからない。

男物の平民服に着替えてフード付き外套を羽織って夜の山を連続ジャンプする。

そろそろ夜の山は寒いなぁ。

防寒服って高いからなぁ…

そうこうして伯爵の領主館の近くの雑木林に着く。

領主館を覗くと、領主は一人でお酒を飲んでいる。もうオフだ。

書斎は空いている。

机の引き出しの中身を確認しよう。

鍵が付いているのは2つだ。

大きめの封筒がいくつも入っている。

封筒の中の書類を見るのはちょっと面倒だぞ…

封筒のフラップを迂回して中を見るから2回余分に視線を曲げないといけない。

4枚程外れの書類の下に蟻の受領書発見。

もう少し見てみると、兎の受領書もある…

ここも誘拐した人物の売買に関係しているのか?

フラップを閉じてある封筒の中身なんて手間のかかる物を見たため、

ちょっと頭が疲れたし、そろそろ帰らないと明日の日中が辛い。

帰る前に館の中を少し眺めると、

男爵領からこちらに移動していた男が年配の男と話をしている。

「こちらの積荷の扱いは来週で終わる。

 そちらも蟻の保管と兎売りを遂行する様に。」

「今度の土曜には買い取りに商人が来る。

 その後はどういう指示なんだ?」

「都ルートが止まっているからな。

 こちらの売り買いが重要になっている。

 継続が求められるだろう。

 まだ指示はないが。」

「そうか、その旨伝えておこう。」

土曜にウサギが売られる!?

もしこれを取り締まらせようとすると、

王都から騎士団がここまで来るのに早くて3日以上かかるだろうから、

火曜までに証拠を集めて王都の騎士団に提出する…

時間的に無理があるし、

こんな西の領地の人身売買を王都に通報すればさすがに怪しすぎる。

今度こそグレアム達に捕まるだろう。

今週の土曜は仕方がない、人身売買の現場と相手を確認して、

次回の犠牲者が出ない様に対応しよう。


「ねぇ、キャサリン、昨年までの試験内容って、

 お姉様とかお兄様とかから聞けないかな?」

シェリルがそんな事を言い出す。

無理、あいつらに私に対する情は無い。こっちにも無いが。 

「みんな忙しそうだから聞けそうにないね…」

「アイリーンはそういう情報ない?」

「いとこが2年上にいるから、ちょっと聞いてみるね。」

「よかった!みんなそろそろ情報を集めてるみたいだからね。

 こっちも情報を集めて勉強しないと負けちゃうよ。」

おしゃべりばかりしているイメージのシェリルでもちゃんと考えてるんだね。

アイリーン情報が来たら私も聞かせてもらおう。


 夜にはまた無理をしてフレイザー男爵領までジャンプを繋いで行く。

まず書斎の例の鍵付き引き出しの中を見る。

こちらも封筒に入れた書類に過去のウサギの売買証を見つけた。

まとまった帳簿にしないのは何かの機密漏洩対策なのだろうか。

単にいい加減なのか。

売られる予定のウサギちゃん達はどこにいるんだろう。

地下、納屋、馬屋などを探すが見つからない…

北砦とやらを探してみる。

暗くても能力で見れば問題ない。

農村地帯の外れに少し大きい人工物がある。あれかな。

見張りはいる様だけど、それ以外は皆寝ている…

伯爵令嬢より早く寝る砦の兵士…

いや、とりあえず調査をしよう。

地下…ああ、臭う。

分かった。不潔なのが沢山いるのは分かった。

これは連中の言うところの「蟻」だろう。

あまりの匂いにウサギちゃんを探す気が失せた。

土曜でもないのに夜更かしも出来ないので、

適当な時間で切り上げてまたジャンプルートを戻って家に帰る。

ああ、私、何やってんだろう…

 2−3に、「〜が、〜が、」という文があったので修正しました。

お見苦しい文をお見せして申し訳ありませんでした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ