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御伽噺なんか要らない  作者: 朝倉メイ
Someday My Prince Will Come
1/2

序章***prologue***

グリム兄弟の『アシェンプテル(灰かぶり)

シャルル・ペローの『サンドリヨン(灰かぶり)

古代エジプトの『ロドピスの靴』

中国の『葉限(しょうげん)

日本の『落窪物語』

貴方のお好きな話は()れですか

 (これ)此処(ここ)ではない何処(どこ)か遠い国の今ではない遥か昔のお話




 この物語の女主人公(ヒロイン)である少女は裕福な子爵家の一人娘であった。 あった、と過去形なのはお察しの通りお約束(テンプレ)なアレである。


 彼女の母親は歴史のある侯爵家の令嬢だったが、子爵家嫡男だった彼女の父親と恋に落ち、侯爵夫妻(両親)の反対を押し切って結婚した。 裕福とはいえ下位貴族である子爵家に娘が嫁ぐ事に抵抗のあった侯爵夫妻は産まれてきた孫娘にも会おうとはしなかった。

 父親の両親である子爵夫妻は彼女が産まれて直ぐに家督を息子に譲り、領地のマナー・ハウスに居を移し数年に一度程度しか王都には出て来なかった。

だから彼女は何方(どちら)の祖父母とも顔も朧気である。


 親族にはあまり縁のない彼女だったが、両親には愛されすくすくと育っていった。

由緒ある侯爵家の令嬢であった彼女の母親は立ち居振舞いに口煩かったが、そのお蔭で何処(どこ)に出しても恥ずかしくないマナーを身に付け、内面も外見も大変美しく成長した。

 七歳を過ぎた頃からの彼女は、その美貌と子爵家の資産や母親の血筋などから、縁を結びたいと考える同じ年頃の子どものいる家から茶会の誘いが引きも切らない状態だった。


 何不自由なく育った彼女に転機が訪れたのは十五歳の冬。 元来あまり身体が丈夫ではなかった母親が流行病(はやりやまい)で呆気なく他界してしまったのだ。

妻を心から愛していた父親は面影のある彼女()の顔を見るのも辛く、仕事に打ち込み屋敷には寄り付かなくなった。

 一年以上も殆ど家に帰らなかったので、家政の取り回しをする女主人が必要だと一族から煩く口出しされた父親は遠縁の未亡人と再婚した。 それが娘の為にもなると信じて。


 再婚して家政を任せられると安心した父親は一層家には寄り付かなくなった。 妻以外の女性が家に居るのを見るのが嫌だったのだろう。

再婚相手には彼女より一つ歳上の双子の娘がいて急に二人の姉が出来て最初は戸惑ったが、あまり関わらない様にしてバランスを取った。


 この国の貴族のデビュタントは男女共に十六歳。 彼女は直前に母を亡くしていたのでデビュタント・ボウルにだけ参加して、その後は社交界に顔を出す事はなかった。

母親の喪も明けて父親が再婚したにも関わらず社交界に顔を出さない彼女の事は色々な憶測で噂されたが、人の噂も何とやらで直ぐに新しい話題に移ると彼女は次第に人々の記憶から忘れられていく。



 ――社交界から忘れ去られた少女。 彼女の名前は灰被りのエラ(シンディ・エラ)、勿論本名ではない。




『シンデレラ』はドアマットヒロインのざまぁ物語

『小公女』もそうですよね

昔からこの手の話は一般受けするんでしょうね


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[良い点] 続き待っとるで……ワクワク
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