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窃盗、ダメ、絶対。

あけましておめでとうございます。


「前回のあらすじ! スーパー美少女イケイケアゲアゲ最強の魔法少女ことぜろちゃんは! 囚われていた2人の少女を助け、その2人に絶大な感謝をされながら、最強への道へと足を進めるのだった!」


「最強の魔法少女って言ってるのに最強への道に足を進めるってなんか矛盾してない?」


「こ、細かいことは気にしない!! 最強の魔法少女は、些細なことなんて気にも留めないんだからな!!」


「些細なことは気にも留めない………さすが最強の魔法少女……かっこいい……」


「……まあ確かに、あの最強とか言われてる西條吹雪も、大雑把で細かいことまで手を回さないらしいし、あながち間違いでもない…?」


にこちゃんはオレに尊敬の眼差しを向けてくれているが、いちごちゃんは少々痛いところをついてくる。時間停止の件もバレたし、マーメイドガール(美澄)との一件もあるし……。

いちごちゃんに対しては、オレの最強ムーヴの一切が通用しなさそうだ。手の内がバレてしまっているし、ある意味、西條吹雪よりも手強いかも…。


「それで、これからどうするの? というか、ぜろちゃんは、どうやって今まで過ごしてきたの?」


「ふっ、甘いないちごちゃんよ。この最強のぜろちゃんが、何のプランもプリンもなしに今まで生きてきたとでも?」


「…まあ、仮にも研究所に連れ戻されたりはしてないし、私達よりも長い期間自力で過ごしてきてるわけだし、何のプランもないってことはないとは思ってたけど……プリン?」


ほう。まあ、確かにオレは、いちごちゃんみたく研究員に捕らえられるなんてヘマは一切してないし、孤高の存在だったおかげでにこちゃんみたく絆されて……なんてこともなかったからな。そ・れ・に! 仮にもオレは0号。いちごちゃんやにこちゃんよりもはやくに生まれてるわけだし、年の功ってやつもあるわけだ。ふむ、となると年功序列制度って正しいのか? ぜろちゃん理論だとそうなるな!


「ふっ、まあ聞いて驚くがいい。まず、生活の基盤において重要なのは3つ! そう、衣! 食! 住! である! これら3つさえ満たせば、我々は生きていくことが可能なのだ!」


「おおっ! 流石ぜろちゃん。頭がいい…。い! しょく! じゅう!」


にこちゃんがオレを尊敬の眼差しで見ている。自尊心が満たされていく感じがする…!

ふむ、誰かと一緒に行動するというのも、やはり悪くないかもしれないな。


「衣食住は確かに大事だね」


「その通り。そして、まず衣服について。これに関しては、ぜろちゃんが『clean』の魔法を使えるからな。基本同じ服を着ていても問題ない」


「ふーん。確かそれって、使える人限られる魔法なんじゃないっけ? 固有魔法だけだと思ってたけど、ぜろちゃんって思ってたより凄い感じ?」


「へ? そ、そうだな! ぜろちゃんはすごいんだ!」


いちごちゃんがオレのことを見直したとばかりの表情をしながら評価をしてくれる。そうだぞ、ぜろちゃんは凄いんだ! 自分でも忘れてたけど、『clean』とかいうチート魔法は使える者は少ないんだった! こんなところで自分の凄さを再確認できるとは……。


「でも、流石にぜろちゃんのその服装は……。ボロ布だし、いくら『clean』が使えるとはいっても……」


「通気性がいいし、何より動きやすいからな。全然不便には感じないぞ」


「いや、でもさ……。うーん……。あっ、そう! 仮にも最強の魔法少女が着る服だとは思えない!」


「んなっ!……うーん。でも、確かに…‥」


着れるからいいじゃんの精神で今まで過ごしてきたが、よくよく考えたら最強の魔法少女がボロ布で過ごすのって普通におかしいな…。

最強なのに見た目が貧相なのってカッコ悪くないか? うーむ。確かに、最強になる上で、まずは容姿、容貌から整えていく必要がありそうだ。となると、どういう服装で過ごせばいいのか……。うーん……。

やっぱ最強といえば金ピカだよなぁ!


「いやーでもお金がなくておっかねー状態だからなぁ……」


「お金なんていらないでしょ。盗めばいいんだから」


い、いちごちゃん…? きゅ、急にどうしたんだこの子。てっきり常識人でいい子ちゃんな子かと思ってたのに、いきなり犯罪行為を推奨し出したぞ…?

いや、オレも許可取らずに魔獣退治に勤しんでるし、人のこと言えないんだけどさぁ…。


「窃盗は犯罪なんだぞ!」


「知ってるよ。けどさ、いちいち法律なんて気にしなくてよくない? 私達が国にされてきたことを考えれば、そのくらいの権利あって当然だと思うけど。第一、盗みでもしなきゃ私達に衣類の調達なんてしようがないし。私やにこが今来てる服だって、店から盗んだものだしね」


「ぐぬぬ……確かに……」


オレ達には戸籍なんてものはないし、当然この国の社会保障の恩恵を受けられるような立場でもない。金銭的に頼れるような存在もいないし、人脈だってそこまで広いわけじゃない。うーん、でも、盗みを働くのはなぁ……。


「納得してなさそう……。でも仕方なくない? まあ……やりたくないなら別にいいけど」


「ん。食べ物はどうするの?」


「……ああ、そうだな。一旦衣服の話は保留にして、食糧に関してだが……これは魔獣の肉を食べればそれで事足りる」


「魔獣の肉? あれって食べれるの?」


「食べれるぞ。あんな見た目してるが、食べてみると意外と美味しいんだ」


「ふーん。まあ、食糧は一旦はそれでいいかな」


衣服は保留、食糧は魔獣肉。残りは……。


「で、住居は?」


「ふっふっふ……。これに関しては自信があるぞ! じゃじゃーんぜろちゃん特製最強ダンボールくん!! こいつがあれば、いつでもどこでも、その場所を住処とすることができる!!」


「おぉ……!!」


「えぇ………」


にこちゃんといちごちゃんの反応は対照的で、にこちゃんはダンボールを見てキラキラと目を輝かしているが、いちごちゃんの方はどう見ても困惑したかのような様子だった。なんだ、いちごちゃん! 文句あるなら言ってみろ! ダンボールさんの何が不満なんだ!!


「……うーん。衣類と住居に関しては、もうちょっと考えといた方がいいかもね。衣服に関しては、私とにこはちゃんとしたものが着れてるからいいけど、ぜろちゃんの服があんなだし……」


「いちご、住居はぜろちゃん特製最強ダンボールがあるから大丈夫だと思う。ダンボールは最強」


「そうだぞ! ダンボール舐めんな!!」


「2人のそのダンボールに対する絶大な信頼はどこから来てるの…?」


当然だろう。皆ダンボールを侮りすぎなのだ。実はダンボール、意外と寒さを軽減させたりすることができるのだ。それに、このぜろちゃん特製最強ダンボールは、『clean』の魔法で常に綺麗な状態で保たれて使われ続けてきた、いわば相棒のような存在なのだ。相棒を信頼できないで、何が信頼できるというのか。

最近はブルーシート大先生と組み合わせることで、雨をも凌ぐ最強の住居になることも判明したしな。向かうところ敵なしだ。もはやダンボールは西條吹雪よりも最強の存在であると言っても過言じゃないだろう。


「ともかく、衣服に関しては、おいおい考えるとして、食糧も住居も、魔獣の肉とダンボールで十分だ!」


「ダンボール最強! ダンボール最強!」


「うーん……」


どうにも、いちごちゃんにはぜろちゃんの最強ライフプランが納得いかないらしい。とはいっても、現状オレ達にできることでこれ以上の最適解を導き出すことなんてできるとは思えないんだけどなぁ……。


「犯罪が嫌だって気持ちは尊重してあげたいんだけど、でも、そんな甘いことばっかり言ってたら、私達は生きていけない立場なんだよ。だから、少しは私の意見にも、耳を傾けて欲しいっていうか……」


「それは……ん〜」




「聞き捨てならない言葉ね」


オレがいちごちゃんの言葉に頭を悩ませていたその時。

丁度いちごちゃんの背後から、1人の少女がやってきていたのが見えた。


「げっ! 山桜花蓮……」


「やっと見つけたわよでーもん・でーもん・でーもん! いや、えんじぇる・えんじぇる・えんじぇる! 今日こそ君をとっ捕まえて、ちゃんとした保護を受けてもらうんだから!!」


「ひ、人違いだ! オレの名前は茶柱抹茶! 茶道の名門茶柱家の……」


「でーもん・でーもん・でーもん……? 偽名考えるにしても、もうちょっとマシなの思いつかなかったの…?」


「偽名……なるほど。最強は、そう簡単には自分の存在を誇示しない……」


「覚悟!!」


前より騒がしくなった。が、今回は近くに西條吹雪はいなさそうだ。


この前の戦いで、オレは戦闘経験が浅いということに気づいた。なら、これはいい機会だ。


「魔法少女との戦い! ぜろちゃん最強伝説は、ここから始まるんだぜ!!」


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