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12/23

仲は深まる。ふかふか


「……っていうわけなんだ」


自尊心がゴリゴリ削られてしまったオレことぜろちゃんだったが、当初の自尊心の回復という目的はどこへやら、オレはいつの間にか、さっきいちごちゃんと喧嘩した時のことをホームレスの山村さんにベラベラと話し、相談に乗ってもらってしまっていた。


「そっかぁ……。まさかぜろちゃんに友達ができたなんてなぁ……」


心なしか、いつもより嬉しそうな顔をしているが、訂正しなければならない。


「いちごちゃんは友達じゃない。えーと、同行者だ。協力者ともいう」


そう、あくまで一時的な協力関係なのだ、オレといちごちゃんは。それに、あれだ、よくあるじゃん? 自分が友達だと思ってたら、向こうはそうじゃないってパターン。


いや? オレは別にいちごちゃんのこと友達だなんて思ってないけどね? けどあれだ、もしかしたらいちごちゃんがオレのこと勝手に友達って思ってる可能性は否定はできないし、もしそうだったら当てはまるかなぁ的な? 別にオレがいちごちゃんのこと友達だと思ってるわけじゃないからね。オレぼっちだもん。


「そっかそっか。んでぜろちゃんは、その同行者さんのいちごちゃんと喧嘩をしてしまって、仲直りしたいけどどうすれば良いのか悩んでるってわけだな」


「仲直りというかだな……。あれだ、ちょっと大人気なかったし、最強の魔法少女としての威厳が保ててなかったかなぁとか、そう思うわけだ」


「どっちにしろ、ぜろちゃんはそのいちごちゃんって子に謝った方がいいんじゃないかな」


うっ……。確かに、オレは窃盗はやっちゃいけないと思ってたし、だからこそいちごちゃんの提案を跳ね除けていた。けど、いちごちゃんは純粋にオレのことを心配して、自分なりにオレのためにできることを考えて善意で提案していたんだ。その善意に対して、オレは切り捨てるだけ切り捨てて、それで終わってしまってた。


別の方法を考えるとか、一緒に悩むとかくらい、してあげるべきだったのかもしれない。なのに、オレはそれすらすることなく、ただただ否定して、問題を先延ばしにして……。いちごちゃんが頭に来るのも無理はないかもしれない。


やっぱり、謝るべきなんだろうか……。


でも、窃盗はやりたくないし、やらせたくもない……。


「どうすれば………」


「……わかった。なら、俺達に名案がある」









………ついにこの時が来たのか……。

オレは、オレはとうとう………。


「見られてるな……。そりゃ、見窄らしい格好をした大人の男1人と女の子1人が歩いてちゃ、注目も浴びるってものか」


オレは山村さんに連れられて、ショッピングモールへとやって来ていた。なんでも、いつも世話になっているお礼ってことで、服を買ってくれるらしい。


最初は断った。何たって、それはあいつらのお金で………。

いや、じゃなくてだな。


オレがあいつらのお世話になってしまったら、優越に浸れなくなって、自尊心を満たすとか、そういう目的が達成できなくなってしまうだろ? だから断ったんだ。


「何でも好きなものを買ってくれ。年頃の娘なんだ。お洒落しなきゃな」


色々な服がある。ので、とりあえず見て回っているのだが……。


1番安い奴……、どれだ……。できるだけ安い奴……。


「え、選べない……」


どれもこれもそれなりの値段はする。安い古着が売ってる店とか、そういうのでよかったのに。


「そんなにたくさんはないが、数着くらいなら買えるからな? 迷ったら複数買ってもいいんだからな?」


「………いや、ファッションとかよくわからないし……」


結局、どこまで行ってもオレはオシャレになんて興味持ったことがないわけで、そんな奴が今更見た目を彩ろうって言ったって、綺麗に着飾るのは無理なんだよなぁ。


「困ったな……俺も若者のファッションには詳しくないんだが……。いや、だが、ぜろちゃんが決められないなら仕方ない。一旦俺に任せてみないか?」


うーん……。このままうだうだと悩んでいても、決められる気が全くこれっぽっちもしない。多分オレだけで決めようとしたら、間違いなく服を買わずに終わる気がする。


まあ、あいつらの金を無駄に使うことがなくなるっていうのはいいことなのかもしれんが……。しかし、いくらオレが0号だからとはいえ、それであいつらの善意をなかったことに、0にするわけにはいかんのよな。


「じゃ、じゃあお願いする。ま、まあぜろちゃんに似合う服なんて中々ないからな! なくても仕方ないし、探してくれるだけでもありがたいから!」








しばらく経って山村さんが持って来たのは、コテコテのフリルがとても目立つ、真っ黒なゴスロリ衣装だった。


「って着れるかー!!」


「だってぜろちゃんは魔法少女なんだろ? だったらこういうのも似合うかなって」


「全然似合わない!! というか、魔法少女でも普段は普通に過ごしてるんだぞ、ゴスロリを常用してるやつなんて、いるにはいるかもしれないけどさ……」


「いや、でも皆でどんな服がぜろちゃんに似合うんだろうかって話し合って出た結論がこれだったんだよ。もちろん当初はぜろちゃんに決めさせる予定だったから、ただ単にどんな服が似合うかって雑談してただけなんだけど」


うっ、あいつらがぜろちゃんに似合うかもって思って考えてくれてたのか……。

いや、別に着る義理なんてないんだが…。

ま、まあ、せっかく持って来てくれたのに着ないってのもな……。我儘お嬢様じゃないんだし、こういうのは一回だけでも試しに来てみるべきだよな。


「ま、まあ……試着するだけならタダだし……ぜろちゃんは最強だからな! 最強に相応しい服は中々見つからないかもしれないが、最強はどんな服も着こなすことができる!! だから問題ない!!」


「矛盾してないか?」


「してない! よし、ゴスロリでも何でもどんと来い! 全て着こなしてやる…!」







は、は、恥ずかしいぃぃぃぃぃぃぃ!!

何だコレ……スースーする……! 今までボロ布ばっか着てたし、魔法少女の衣装はぶっちゃけ着心地がボロ布と大差ないくらいヒラヒラ度が低かったから気にならなかった! けど何だコレ……!


「………ぅ…………ど……ぅだ……?」


絶対似合ってない。絶対似合ってない。

これ、駄目だ。顔が熱い…。なんか汗かいて来た……。もう無理、しぬ……。


「滅茶苦茶似合ってる! やっぱり俺達の結論は間違っていなかった……!」


何1人で納得してるんだあの人は……! と、とにかく別の服にはやく着替えないと…! もう試着はしたし、山村さんにその姿も見せた! けど、多分ゴスロリは俺には似合わない! 着替えないと……。


……ない……。

オレが愛用してる、ぜろちゃん特製のスーパー服がない…!


まさか……!


「ぜろちゃん、その服はもう買ってあるから、とりあえずはその服でいこう!」


まさか……! 捨てられたのか!?

さっきまでオレが来ていたあの服は、捨てられてしまったというのかね…!?


ま、まずい……。こ、こんな姿で、オレは、誰かに見られながら、過ごさなければならないのか……!


なんたる屈辱……!


「どんな服がいいかなぁ……」


「ぁ……ゃ……お、おとなしめのやつ……とか……」


「おとなしめかぁ……なら」


周りの視線が気になる……。周囲にオレみたいなゴスロリ来た娘はいないし、コスプレみたいな服着てるような奴もいない。この場じゃ、明らかにオレが1番浮いている…!


『あ、見て見てー! あの子可愛い!』


『本当だ、へー。ああいう服が似合う子っていいよね〜』


あ、あ、あ……? オレのことか? 

も、もしかして似合ってないか? お、お世辞? い、いや嫌味か!?


わかんない! わかんない……!


ていうか元から浮いてたのか……? そ、そうか、ぜろちゃんが今まで着ていたのは……。い、今まで客観視してこなかったが、今なら分かる……。確かに、ぜろちゃん特製のスーパー服は見た目ボロ布であったことは否定できない……。だから、こんな風に注目の的になってしまうことは必然……。


分かってはいた。ぜろちゃん特製スーパー服が普通じゃないと。けれど、あんまり気にしてなかったんだ……。確かに、それはいちごちゃんも心配してしまうわけだ。


「このワンピースはどうだ? ぜろちゃんの心の純粋さにピッタリな服だと思うんだが……」


山村さんが取り出したのは、水色のワンピースだった。コレまたどう見ても、ぜろちゃんには似合いそうにない。マッチ度ぜろちゃんな服がきちまったぜ……。


「だ、駄目だ駄目だ! その服は似合わない!」


「そんなことない! ぜろちゃんは客観視ができていないんだよ。皆で相談した時、ぜろちゃんにはまさにこういうワンピースこそ似合うという結論が出たくらいさ」


「な…な…な……」


「皆の願いなんだ。ぜろちゃんにこの、清潔で爽やかな水色のワンピースを着て欲しいっていうさ」


た、確かに。も、もしかしたら似合う可能性だってあるかもしれないし……。

そ、そうだよな……。せっかく考えてくれてるんだし、試着くらいはしてみないとな……。ま、まあゴスロリよりは恥ずかしくないかもしんないし……。っていうか、似合ったら別に恥ずかしがる要素ないんだし……。


「じょ、上等だこりゃ……。う……上等だこら! やってやりゃ! …………やらぁ………」









結果的に、4着ほど買うことになった。

っていっても、ゴスロリと水色のワンピースはオレにはちょっと……。ってな感じだし、他1着はただのコスプレ衣装みたいなもんだったんで、結局実用的なのは1着のみだ。


膝丈くらいの黒のワンピース。って結局ワンピースなんかいってなるかもしれないが、水色のワンピースは水色だったから似合わなかったというだけであってだな……。


あと、こそこそとオレの後をつけてやがったホームレスの連中には制裁を加えておいた。山村さんの様子がなんかおかしいなって途中で思って問い詰めたら、どうやらオレの着せ替えをあいつらに見せるために、ゴスロリだのなんだのを持って来たらしい。


まったくあいつらは何がしたいんだか……。


でもおかげで、ちゃんと服を着ることができた。これでもう、いちごちゃんにとやかく言われることもないだろう。


あとは、あとは……。


「仲、直り……だよな……」


……べ、別に友達だとか、そういうわけじゃないけど……。ほ、ほら、にこちゃんのためにも、オレといちごちゃんの関係の修復は必要なわけで……。


「言い訳ばっかだよなぁオレって」


魔法少女と仲良くなろうとか、そんなこと一切考えてこなかった。壁を作ってた。

年頃の少女達と仲良くしようとか、誰が思うもんか。ぜろちゃんがただの一般美少女ぜろ子ちゃんだったらいざ知らず。ぜろちゃんは最強天才魔法少女ぜろちゃんだったからな……。普通に仲良くしようとか、そういうの難しいのだ。


でも……。

あいつはオレの時間停止を見破ったし、オレの性格も、何となく理解してくれてる。

オレがいくら壁を作っても、知らない間に隙間から入ってくる。


うん、ゴキ⚪︎リかな?


ともかく、オレの壁をぶち壊して土足に踏み入るでもなく、いつの間にか家に住み着いているゴキ⚪︎リかのように、いちごちゃんはぜろちゃんの心へと入って来ていたのだ。


「友達……仲間……うーん」


小っ恥ずかしいな〜やっぱ。

こういうの苦手なんだ、オレは。


でも、でもさ。

ちょっとくらいはこういうのも、悪くないかもなって思うんだ。だから……。


「よし、頑張れぜろちゃん! ぜろちゃんは今日も最強なんだからな!」









20、30……。魔門(ゲート) は一体の魔獣をこの世界へ生み落とすだけでは満足せず、一体、二体と、次々に魔獣の兄弟達を生み出し、この世界の大地を踏み締めさせる。


3人の魔法少女で相手するには、到底対処できるほどの数ではない相手だった。


事実、いちご達の体力は徐々に削られており、いつ犠牲者が出てもおかしくない状況だった。


「救援は……!」


「もう呼んだ! それにSNSで呼びかけもしてる!」


「遅すぎるんだけど…! 本当に来るの? 救援なんて」


「私が呼んでるんだから来るに決まってるでしょ! 私有名だし! 人気者だから!」


いちごと魔法少女オクト⭐︎パシーはお互いに口がきける程度には余裕があった。が、それも今だけであり、いつまでもつかはわからない。

加えて……。


「ふ……ひひ……しくじっちゃいました……」


既に少女のうちの1人は、限界を迎えていた。


「夜奈りん!!!」


「クララちゃん……逃げて……くだ……サい……」


夜奈と呼ばれた少女、彼女は既に、持ちうる力を全て出し切ってしまっていた。魔獣の魔の手が、彼女を襲う。


「い……やだ……ダメ……夜奈りん……ダメ…! 私は……もう2度と……!」


魔法少女オクト⭐︎パシーは、大切な仲間のために、駆け出す。大事な友達を助けるために、恐怖で震えるその足を、全身全霊を以て、無理矢理にでも動かす。


「はあああああっ!!!!」


友を助けるために動いた彼女の歩みは。


「ェッヘェ⭐︎」


たった一匹の魔獣の、たった一回の攻撃で、なんとも呆気なく、終わりを迎えた。


「あ……ぐ………」


魔法少女オクト⭐︎パシー……否、もはやただのクララと化した彼女は、全身の痛みから、その場にうずくまる……。もはや、彼女が友を助けるためにできる手立てなど、何もない。


「く……そ……私は……まだまだ……。はは……やっぱり西條吹雪はやってこない……。あいつは……いつもそうだ。こういう肝心な時に限って、間に合わない…。何が最強だ……。何がどんな魔獣もかなわない無敵の魔法少女だ……。これだから西條吹雪は……これだから最強は……信用できないんだ…!」


もはや彼女は諦めていた。もう救えないと。だからこそ立ち上がれない。すぐ側で魔獣がその腕を自身に振るおうとしていることにも気づいているのに。もはや彼女には、抵抗する気力も残っていなかった。


もう、彼女は何もかも諦め、ただひたすらに死を待つことに徹してしまった。

だからこそ、気づかなかった。自身のために命を張って戦おうとする者の、存在など。


魔獣が腕を振るっても、彼女は死ぬことさえできなかった。なぜならば…。


「ぐっ!! 何やってんの!! 立ってよ!! ただでさえまずい状況なのに! 1人で戦えって? ふざけんな!!」


たった1人の少女の存在が、彼女の命を繋ぎ止めていたから。


「な……んで……」


「何でも何もないでしょ! 目の前で死なれたら寝覚めが悪いし! 第一、今この場で少しでも戦力を失いたくないの!」


少女は叫びながら、魔獣の攻撃をいなす。しかし、3人で分散し合っていた時とは違って、今はいちご1人に魔獣が集中してしまっている。

彼女1人で対処し切るには、限界があった。


「あっ……」


やがてクララは気づく。

少女……いちごの背後から、彼女のことを狙う魔獣の存在に。


「間に合わない……」


そしてもうそれは、いちごの命を刈り取る寸前だということに。


(ああ……分かってたのに。西條吹雪は悪くなんかないって。ただ、運がなかっただけなんだって)


理解はしていた。けど、感情が許さなかった。

自分の大事な親友が、何もかも失ってしまった後に現れた最強は、あまりにも遅すぎた。


『最強なんでしょ!? だったら!! だったらなんで!!』


『……ごめんなさい…』


最強だから、どうにかなるわけじゃない。しかし、それでも彼女は、信じたかった。

西條吹雪だから間に合わなかっただけだと。

自分が最強になれば、きっと間に合うはずだと。


西條吹雪にすら敵わないのに。


(そっか………。あの子が死んだのは、西條吹雪のせいなんかじゃなくて………)


ただ、少女は受け入れたくなかったそれを、知覚する。

見ないように蓋をしていた事実に、気づいてしまう。


(私のせい………だったんだ……)


だって、それを証明するように、また1人の少女の命が散る……。








なんてことはなかった。


「ええ……何だこの状況…。魔獣がゴキ⚪︎リみたく大量発生してるんですけど……」


だって、今回は間に合ったのだから。


最強の魔法少女は、たった今、到着した。







えーと、大変なことになっております。

魔獣さん、大量発生。何だこれ……。てかゴキ⚪︎リみたいな見た目してるやついる……きもい……。


とりあえず時間停止を駆使していちごちゃんを助けた後、数体ボコスカ殴って処理はしてみたものの、こーれが全然減らねーんだ。


んでまあキリがないんで、一旦時間停止して休憩中っていうのが現状なんだが…。


ちなみに、いちごちゃんも時間停止の対象に入れてる。時間停止空間でじゃないと、言いたいことも言えないし。


「ぜ、ぜろちゃん……なんで…」


なんでってそりゃ……。


「あー。ほら、あれ……あの……あーあれあれ! あれ!」


「あ、あれとか言われてもわかんないんだけど……」


そ、そう、言うんだ! いちごちゃんはオレの心の壁をすり抜けるような存在で……!


「そ、そりゃあれだ……ほ、ほら…! いちごちゃんはぜろちゃんにとってはゴキ⚪︎リみたいな存在で!」


「は? はぁ!? 今ゴキ⚪︎リって言った!? 人のことゴキ⚪︎リ扱いした!?」


さ、最悪だ! 最悪の言い間違えをしてしまった! や、やばい! すぐに軌道修正を…!


「ち、違う!! それは、言葉のあやで……」


「何をどう間違ったら人のことゴキ⚪︎リなんて言えるっていうの!? 意味わかんない!」


え、えーいこうなったらやけだ! 抱きつけ!!


「おらー!! ぜろちゃんハグ!!」


「は? え? は? 何して!?」


「い、いいから聞いてくれ! 大事な話があるんだ!!」


「い、意味わかんない! 大事な話って何? ゴキ⚪︎リのくだりはなんだったの!?」


「違う言い間違えだ! い、いちごちゃんはオレにとって……その……心の壁をすり抜けてくる存在で………」


「そ、その心の壁をすり抜けてくる存在云々がわけわかんないんだけど……」


と、とりあえず少しは落ち着いてきてくれたか……? そうだ、ゆっくり話せば、きっと。


「こ、この袋、見てくれ……。その、服、買ったんだ」


「………ふーん。で?」


「た、確かにいちごちゃんの言うとおり、オレが着てたのはボロ布だった。あんな状態で生活するのは確かに、おかしい」


「ふーん……」


そのふーんってやつやめてくれない? 怖いんだけど!


「だ、だから、その……。意地になりすぎてた……。いちごちゃんは、オレのこと心配して言ってくれてたのに……。だから、その………ごめん」


「………私も……。ぜろちゃんが嫌がってること、強制しようとしたりとか……。強引なところがあったし……。それに、実際に窃盗は悪いことっていうのは、事実だから。私も、ごめん……」


言えた。自分でもびっくりするくらい、素直に、本音で、話せた。


ちょっぴり恥ずかしいけど、でも、言えたんだ。


「そ、そのだな……。あ、あれだ。えーと、一応にこちゃんとかのためにもさ、また一緒に行動したりとか……えーと、ほら、一時的に別れたけど、やっぱりしばらくは一緒に動いた方が良さそうじゃないかなーって」


「…………あー。やっぱり、ぜろちゃんってこういう感じだよね」


む………い、いちごちゃんが『はいはいー私は分かってますよー』的なオーラを醸し出している…! へ、へん! そんな簡単にぜろちゃんのことがわかられてたまるかい! 


「……っていうか、魔獣、どうしようかな……」


「ふーん。ぜろちゃんって策もなく戦場に飛び出してきたんだ?」


「な、なんだそれ。なんか作戦考えてから来た方が良かったって? 甘いぜいちごちゃん。いちごだけに。そう、真の最強たるもの、作戦なんて立てなくとも、圧倒的なパワーでその場を制することができるんだ!」


「ふーん。まあ確かに? 作戦練って頑張って勝つよりか、ただ圧倒的な力で敵を蹂躙してる方が最強って感じはするけどね」


でも本当にどうしよう。やっぱりなんか作戦立てた方がいいよなぁ……。

これ、どうにも時間停止で処理するにも数が多すぎるし、てか魔門(ゲート)どうすんねん…。


「迷ってるみたいだけど、多分大丈夫だよぜろちゃん」


「へ?」


「時間停止、解除してみてよ。多分もうそろそろ、来るはずだから」


いちごちゃんの言う通り、一旦オレは時間停止を解除してみる。すると……。


「どけどけー! 私達Sランク魔法少女のお通りだー!!」


緑髪のツインテールを揺らしながら、両手に持った拳銃で周囲の魔獣を蹴散らす魔法少女に。


「私レベルになると、指一本で十分なの」


宣言通りに指一本で魔獣を蹂躙する変な女。


「何この量……。最悪……明日テストなのに……」


手に持つ刀でひたすらに魔獣を狩り続ける制服姿の少女と。


「殲滅。バイバイ。うじ虫ども」


冷徹な顔をしながらハルバードを振り回す少女。


へんてこりんな奴らが、4人くらいやってきた。


「なにあれ?」


「救援に応じた魔法少女だって。何でも、全員Sランク何だとか。まあ、ぶっちゃけよくわかんないけど」


つまり、西條吹雪を除けば最強クラスの魔法少女達ってこと…?


ほえー。


どんどん魔獣が減ってくね〜。すごいね〜。


え、オレこれを越えなきゃいけないって、マジ…?

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