洞窟、毒で倒す
「グオオォォォォ!!???」
毒がまわってきて、ルナベアーはよろけた。
「はああぁぁぁ!!!!!」
その隙を逃さず、ヘシオスは突撃する。
が、
カキンッ!
大ぶりのルナベアーの凪払いで、剣がはじかれてしまった。
今のヘシオスは弓を腰にかけており、隙だらけな状態。
「グオオオオォォォォォ!!!!!」
逆に隙を晒してしまったヘシオスに、今度榛名ベアーが襲いかかる。
ヘシオスはバックステップで後ろに下がりつつ、弓を引く。
数本の矢がルナベアーを襲うが、特に気にした様子もなく、ルナベアーはヘシオスに直進してきた。
「とまれぇぇぇぇぇ!!化け物がぁぁぁ!!!!!!」
戦っていた他の人間たちが、ヘシオスを守るために必死に攻撃を行う。
だが、全ての攻撃を、ルナベアーは意に介さない。
すぐにヘシオスはルナベアーの攻撃範囲に入ってしまう。
ルナベアーの大きな腕がゆっくりと迫ってきて、
バタッ!
と、力なく地面に倒れた。
すんでの所で毒が回りきったのである。
だが、ルナベアーが死んだからといって、その突進の勢いが止まるわけではない。
突進による速度の乗った死体に、ヘシオスは吹き飛ばされる。
「ぐはぁっ!?」
吹き飛ばされたヘシオスは、宙に浮き、背中から地面に落ちた。
全身から骨が折れる音がする。
洞窟なのに骨があるという、なんとも不思議な体。
まあ、その不思議な体は良いとして、かなりの重傷である。
「ヘシオスさん!大丈夫ですか!?……って、大丈夫なわけはないですよね。『ヒール』」
馬車から出てきたレーカルが、急いで回復魔法をかけた。
全身から痛みが引いていき、数秒後に完全に回復していた。
ヘシオスはレーカルに礼を言いつつ、馬車へと戻る。
そして、次の町まで馬車で揺られつつ、今回の戦いで大活躍だった、毒役作りを続けた。
「この辺りになると敵が強くなってきますし、余も戦闘に参加した方が良いかもしれませんね」
レーカルは馬車に揺られながら呟いた。
「えっ!?レーカルさん戦えるんですか?」
ヘシオスは驚いて顔を上げる。
「あぁ。私が戦うと言うよりは、すぐに回復をできるようにする。ということです」
レーカルの説明に、ヘシオスは納得した。
ずっと馬車の中にいても状況は見えないし、ヒーラーとして動くなら戦闘にいた方が良いだろう。
ということである。
ただ、ヘシオスにとって気がかりなのは、
「その脚で、敵の攻撃から逃げられますか?」
レーカルの足は全くといって良いほど治療が進んで折らず、歩行に杖を必要としている。
そんな状況で、戦闘に参加して大丈夫なのか、ということが心配だった。




