洞窟、初めての弓
「と、盗賊だぁぁ!!」
誰かが叫ぶ。
「それじゃあ、僕は行きますね。レーカルさんは前回と同じように」
ヘシオスは弓を持って立ち上がる。
レーカルはヘシオスの言葉に、静かに頷いた。
ヘシオスは扉を思い切り開き、引いておいた弦を、離す。
シュッ!
と、空気を切りながら、自動で作られた魔力の矢が放たれた。
その弓は力なくヘロヘロと地面に落ちそうな軌道だったが、突然その軌道が変化する。
「んっ!?な!?」
盗賊の1人が弱々しく矢が飛んできた方向に駆けだしたが、軌道の変化した矢がその盗賊に向かう。
ドスッ!
矢は盗賊の頭を貫き、辺りを赤く染める。
そのまま矢は消え去った。
「へぇ。強いねぇ。気に入った」
その様子に満足したヘシオスは弓を撫で、また弦を弾いた。
シュシュシュッ!
ヘシオスは、数度、弦を引き絞って矢を放つ。
通常ならすぐに地面に落ちそうな矢の軌道が変化し、次々と盗賊たちに襲いかかった。
「ぎゃああぁ!???」
「うがぁぁぁ!!???」
盗賊たちは襲いかかってくる矢を避けようと木の陰に隠れるが、それでも矢は気を避けて盗賊たちに突き刺さる。
ただ、全てを殺すことはかなわず、数人は矢が肩に刺さったりしていた。
ヘシオスは弓を背中にかけて、腰の剣を抜く。
「はぁ!!」
ヘシオスは近くでうずくまっていた盗賊に剣を振り下ろす。
ゴロッと首が転がる。
そこで動きを止めず、ヘシオスは次なる獲物を求めてかけだした。
辺りに血しぶきが舞う。
「ふぅ。レーカルさん。終わりましたよ」
ヘシオスハチで汚れた剣を布で拭いながら馬車に戻る。
しばらくすると、何の問題もなかったかのように馬車は出発した。
ヘシオスは。思っていたより高性能だった弓の手入れをする。
そんなヘシオスを眺めながら、レーカルは話しかける。
「どうでした?その様子から考えるに、その弓はかなり有能だったようですが」
その言葉を聞くと、ヘシオスはまってましたとばかりに顔を輝かせ、
「そうなんですよぉ。この弓、凄い強くて、弓使ったことなかったですけど、きちんと弓を練習してみようって言う気持ちになりました!!」
「ほう。そうですか。なら、私がこれから会うつもりの人に弓を習ってみては如何ですか?あの人は、基本的に全ての武器が使えますから、弓も上手いはずですよ」
目的の人物。
レーカルの足の傷を治せるほどの人物だから、回復術士だとヘシオスは思っていたが、どうやら戦闘もできるようだ。
どんな人だろうと、ヘシオスは想像を膨らませた。




