洞窟、裏切られ
作者が好きそうな題名だと思った人は勘が良いですね。
裏切り。
素晴らしい言葉。
「な!?お、オディールさん。なんで、」
ヘシオスは困惑したような視線をオディールに向ける。
だが、そんなヘシオスに、オディールは笑って返した。
そして、剣を振り上げて、もう1度ヘシオスの脚に突き刺す。
さらに今度は、剣をねじった。
「ア゛ア゛ア゛アアアアァァァァ!!!!」
ヘシオスはあまりの痛みに声をあげる。
そうしてヘシオスが胸いている間に、オディールは魔法によって次々と剣を作り出した。
それを、うめくヘシオスの四肢へと刺していく。
最後の1本が刺さったとき、ヘシオスは壁に貼り付けにされていた。
「フフフッ!この剣は魔法封じの効果をつけていますから、あなたが魔法を発動することはできません。さて、私は優しいですからねぇ。あなたが失血で死ぬまで質問に答えてあげましょう」
そう言って、ヘシオスの顔をのぞき込む。
その顔をヘシオスが睨むが、オディールの黒い微笑みがさらに深くなるばかりだった。
仕方なく、ヘシオスは質問を始める。
剣を抜こうと暴れることはしない。
下手に暴れれば血が出る速度が上がるだけ。
ヘシオスはそう考えたのだ。
「なんで、裏切ったんですか?」
こう問うヘシオスの目は完全に死んでいた。
仲間だと思っていた存在に裏切られ、生きる希望を見失ってしまったのである。
「裏切る?裏切ってはいませんよ。最初からあなたを利用していただけです」
「最初、から?何のために?」
「何って、勇者を殺すためですね。まあ、最終的な目標としては世界を滅ぼすことですが」
オディールはヘシオスの質問に笑顔で答えていく。
その表情や言葉には、ヘシオスにこんな事をしている申し訳なさといった罪悪感などの感情は感じられなかった。
ただ、気まぐれにその辺のありと戯れているような表情である。
「どうやって、勇者がいることを知ったの?この洞窟の中にいる勇者たちが、誰かと通信している様子はなかった」
ヘシオスは、今も洞窟内でモンスターたちと戦っているだろうもう1人の勇者、勇者の青年のことを思い出しながら問う。
彼ら以外、勇者の少年がいることは知らなかったはず。
「ん?別に、知っている人間は勇者パーティーだけではないでしょう?ほら、あなただって知ってるし」
「ちゃんと、答えて」
弱々しいながらも、力を込めてオディールを睨む。
「ん~?今ので分かりませんでしたか?居たでしょう?勇者パーティーとあなた以外に、あの少年、レオの事を知ってた人物が」
確かにもう1人いた。
だが、その人物は、ヘシオスが無意識のうちに選択肢から消していた。
それは、自分の行動の意味であったから。
「あれぇ?もしかして、信用している仲間で、あり得ないとか思ってるんですかぁ?おろかですねぇ。良いように利用されてるとも知らずに。私が特別に教えてあげましょう。あなたに気づかれないように私に連絡をよこした人物。それは、
サリーですよ」
「サ、サリー、?嘘を、嘘をつくな!」
ヘシオスは怒鳴る。
否定したかったのだ。
自分を殺そうとしている人間と、サリーという、1番信用してきた、仲間だと思っていた人間が、協力していると言うことを。
しかし、現実とは非情な物なのである。




