洞窟、勝利する
勝利を求めすぎると、盲目になってしまうんですよね。
大事な物をちゃんと見ましょう。(経験者は語る
「ハァハァ」
「グルルルルルッ!」
ヘシオスもオールマイタイガーも、息が絶え絶えだった。
両者の戦いは丸1日続き、両者は精神的にも疲れ切っていた、
そして、両者は次の1撃が最後の1撃になるとどこかで理解している。
オールマイタイガーはヘシオスより攻撃力が高かった。
だが、ヘシオスには回復魔法がある。
そのため、どれだけ重傷を負わされても死にさえしなければ、回復することができた。
そこで、お互いの勝利の方法が理解された。
オールマイタイガーの勝利方法は、ヘシオスを回復させないように即死させること。
ヘシオスの勝利方法は、攻撃力が足りず相手を即死させることができないため、持久戦に持ち込み、できるだけ防御に徹しつつ少しずつダメージを与えていくこと。
ヘシオスは途中で殺されそうになる場面が多々あった。
だが、寸前のところで毎回回避できている、
ヘシオスは自分の悪運の強さに苦笑いしつつ、感謝した。
感謝しながら、ヘシオスは駆け出す。
同じタイミングでオールマイタイガーも駆け出した。
「うおおおぉぉぉぉぉ!!!!!」
「グルルルルルルルァァァ!!!!!」
雄叫びを上げながら両者はぶつかる。
バシュッ!
血が噴き出した。
そして、ヘシオスが膝をつく。
「まだ、やれる!」
動こうとしない体を無理矢理動かして、ヘシオスは振り向く。
振り向いた先には、血の池に倒れているオールマイタイガーの姿があった。
勝ったのである。
ヘシオスは、勝利したのだ!!
「うおおおおぉぉぉぉ!!!!!!」
勝利の喜びを叫ぶ。
そして、ヘシオスはバタッと倒れた。
気絶だ。
オディールはすぐに駆け寄り、肩の傷口に回復魔法をかける。
オディールは、達成感のあふれる笑みを浮かべているヘシオスを見て、釣られて微笑んだ。
数時間後。
「ん。あれ?」
ヘシオスが目を覚ました。
記憶が曖昧なまま、ヘシオスは辺りを見回す。
ヘシオスの目には、オディールが映った。
オディールは、小さいゴブリンと戦っている。
「そうか。僕、勝ったんだ」
ヘシオスは自分の両手を見た。
その両手は、あの大きな存在を殺せたとは思えないほど細かった。
少しずつ記憶の戻ってきたヘシオスは、手を地面について立ち上がる。
まだ体に疲労が残っているのか、少しフラついた。
「あっ。起きたんですね。体は大丈夫ですか?」
オディールは起きてきたヘシオスを見て、心配そうな顔をした。
「大丈夫ですよ。でも、ちょっと外に出て良いですか?」
ヘシオスはオディールを安心させるように笑みを浮かべ、足をダンジョン内へ進めた。
「いってらっしゃい。気をつけて下さいね」
オディールは優しくヘシオスに声をかけて送り出す。
ダンジョンへ行くモノの、ヘシオスには行きたい所はなかった。
ただ、心を落ち着かせたかったのである。
オールマイタイガーに勝ってしまった。
つまり、少年を襲う事ができると言うこと。
「ゴブッ!」
ゴブリンが目の前に現れた。
だが、動じることなく首を飛ばす。
次々と現れるゴブリンも、心を乱すことなく正確に殺した。
しばらく歩くと、見たことない場所に来た。
「あっ。宝箱がある」




