洞窟、鉱石がたくさん湧き出る
筆(打ち込み)が進んだので、今日は2話上げます。
質問。
人間とは仲良くした方がいいですか?
冒険者を1人殺すのは確定しているんですけど。
《場所状態『採掘場:ランクE』が確認されました》
《特典として場所特性『鉱石発生率上昇:ランクD』を獲得しました》
「うっそ」
「ゴブリンが採掘までするの!?」
「僕の知識を圧倒的に超えてるんだけど」
ヘシオスはしばらく、驚きすぎて固まっていた。
口はポカンと開いている。
10秒ほど経つと、やっと目線が動いた。
少しずつ体が動いていくかと思うと、
「ゴブリン、すっごい!!」
「めちゃくちゃ研究したい!!」
その目はキラキラ輝いていた。
まるで、新しいおもちゃを与えられた子供のように。
もしできるのなら、ヘシオスはきっとゴブリンのもとに走って行っていただろう。
残念ながら、ヘシオスは洞窟に転生してしまったため、できないのだが。
「場所特性で鉱石発生率上昇とかいうのをゲットしてたよね」
「説明を読んでみようか」
ヘシオスは説明書と化した画面を覗く。
『鉱石発生率上昇:ランクD』の効果は、名前から分かる通り、発動した場所に鉱石が湧きやすくなるというものである。
ということで、鉱石が出やすくなっているはずなのでゴブリンたちの採掘の様子を見てみることにした。
「マタ、デタ(また出た)」
「ココ、イッパイアル(ここ、いっぱい出る)」
「イイトコロ(いい所)」
ゴブリンたちは3堀りに1回くらいのペースで鉱石を発見していた。
しかも、その鉱石の種類は青や黄色、大きいものから小さいものまで様々である。
ゴブリンたちがしばらく掘っていると、鉱石を入れていた籠がいっぱいになった。
その成果をゴブリンたちは大事に抱えて、入口の近くまで運んで行った。
「うぅん。いいねぇ。ゴブリンたちがかわいく見えてきちゃった」
ヘシオスはそんなゴブリンたちにメロメロである。
触りたくてうずうずしているが、そのことが叶わないためか表情が少し落ち込んでいる。
ヘシオスは気分を切り替えようと、また画面に目を移した。
そのとき、
バタバタバタバタバタッ!!!!
外にいたゴブリンたちが走って洞窟に戻ってきた。
手には数匹のウサギなどの動物の死体が握られていた。
外で狩ってきたのだと思われる。
そして、最後尾のゴブリンが扉を閉めた瞬間、
「グオオオオォォォォォ!!!!」
ガシイィィンッ!
雄たけびを上げながら黒い大きなものが柵に突撃した。
洞窟全体が揺れる。
突撃した後も黒いものは柵に攻撃をしていた。
「あれは、ルナベアー!?ここって、ルナベアーの生息地なの!?」
黒いものの正体、それはモンスターの1種、ルナベアーであった。
ルナベアーはほとんど見た目は普通のクマと変わらないが、特徴は額にある大きな三日月形の傷。
日中は普通のクマと変わらないが、その真価を発揮するのは夜。
夜になると三日月形の傷が発光し、ルナベアーの力はいつもの6倍以上になるのだ。
生息地に近い村などでは、毎年ルナベアーによって多くの人間が殺される。
とても危険な生物なのである。