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【 身 体 測 定 す る お っ ぱ い 星 人 ② 】

 良子さんは難しい顔をして「ん~」と唸った。

 万が一、機嫌を損ねていたら、もう、おっぱい触らせてくれないかもしれない。これまでの流れを脳内再生するがNGワードは「童顔」と、ここだけの筈なのに、どうしてこんなに怒り出したのかがわからない。その失点は今の告白で取り返せるものなのか?そんな不安が脳裏をよぎる。

 


 にしても……長い。


 ハラハラしている青木さんの表情を見るかぎり。


 オレは、しくじった?



「悪い気はしないわね」

「えー良子しないんだ」


「良子さん、これは特別なおっぱいだ。くれぐれも大切に」

「わかったわ!」

「わかるんだー」


「お前らさ、知らないうちに付き合ってたの?」


「 「 は? い や 、 全 然 ? 」 」



 カズには弟が一人いて四人家族。

 女性に全くといって免疫が無い。


 根っから良い奴なんだけどなぁ。

 乳離れしてから、おっぱい難民。



「カズの感覚じゃおっぱい触って結婚か、じゃクラス7割オレの嫁?そんなだから犬みたいに白球を追い掛けて貴重な青春時間を無駄に浪費するんだ、嘆かわしい。これは今しかできない第二次性徴期の女性の体形変化という個人的な研究課題だ。()()()()()()()()()()()()


「なにやってんの……7割?どうしてそうなった!!」

「真摯に向き合い、紳士的にお願いした、それだけだ」



 良子さんは大きく頷いた。

 おっぱい動くから、今は動かないで?


 それから左に首を傾げた。



「あれ?彼女……いたの?」

「いるのー? 誰? 誰?」




 階段の踊り場にある小さな窓から夕陽が射し込んでいる。


 哀しいな、こんなカビ臭い校舎の隅っこで。

 好きでもなんでもない子の、乳を触ってる。



「片思い、みたいなものか」



 あの娘は今頃どうしているんだろう?

 どうして振り向いてくれないのかな。



 い つ も ど お り …… 。



 () () 退() () か 。



 あぁ!レバー↓に入れたら振り向いたっけ?



「好きな子ゲーム画面に何人も出てくるのに、そっから一向に出てくる気配が無い恥ずかしがり屋さんばっかり……もしかしたらゲームが壊れてんのかもな?」


「えー?かわいそう!」

「ありがとう青木さん」


「ばっかじゃないの?」

「ゲーム馬鹿にするな」



 カズさんは「壊れてないから出てこないんだって」と呟いた。

 どんだけ夢が無いんだコイツは、じゃオレは一生童貞紳士か。


 近々21世紀なんだ、ヒョッコリ出てくるかもしれないだろ。



「それどんな子なの?」


「今現在オレが好きな子は巫女たんの恰好で妖怪共を日々薙ぎ払っているわけだ。あの身長2センチ2頭身が画面から出てきたら良子さんみたいな子だと想像する、神社で巫女たんのバイトとかしてみる気はないかな……カメラ持ってくから」


「巫女?」

「そうだ」


「悪い気はしないわね」

「えー良子しないんだ」


「でも。その子の代わりにしてるんなら 手 ぇ ど け て ッ ! 」



 良子さんはグッと両手に力を籠めた。

 オレは誤解されている。

 なんとしても離されまいと抵抗する!



「決して変わりにしてるわけじゃない、一番好きなのはゲーム、おっぱい研究対象としてしか見れないだけ、それだけ、それだけは信じて欲しい!オレに恋愛感情が1ミリでもあるなら今ここで言ってくれ、校則違反のゲーセンに入り浸りの身だ、その期待には応えられそうにない、絶対ない!オレの好きな子はブラウン管のなかにいるから!!」


「そうなの?じゃ好きに揉んでいいけど」

「うわー良子ダイタン!すごいすごい!」


「どうしたの、揉めば?」



 フッと力を緩めた良子さんのおっぱいにポワンと両手が埋まる。

 ああ、良かった……誤解は溶けて無くなった。


 左手で良子さんの両手を押さえて、スルリと右手を抜き取った。



「いいえ結構、それはオレのスタンスに反するし」

「えー? 揉まないの?」



 期待を裏切ってすまない青木さん。

 珍しく凄くギラギラしてたもんな?


 やっぱり違うのか、溜息が漏れた。



「ねー わたしのは?」

「触れる?滅相もない」


「えぇー なんでぇ?」


「青木さんね、今まで隠してたけど初めて見たときなんてクラスにエルフリン族が紛れ込んでるって大慌てしたけど、やっぱり人類だったの。ひどく落胆してさ……その時が来て、クリスタルを求めて旅立つなら、是非お供させてください」


「ごめんねー? よくわからないけど」

「いいさ、色々と事情があるんだろ?」


「あっ! ……それで?」

「妖精さんの青木さんに身体測定は頼めなかった」


 微笑みながら「うん!」と小声で許してくれた。

 それを差っ引いても青木さんに触れないだろう。

 ちょっと離れて、ず ―― っと見てたい。



「青木さんと世界を救う、オレは本気だよ」

「わかったー! 世界? なにから?」

「あぁ超かわいい! 約束したから!」



 なんて美少女なんだろう。

 カズが惚れるのも頷ける。


 どうした、カズ。



「それ……俺も実験できるとか?」

「ないねー カズさんは、ないよ」

「なにそれ、いやらしい。変態?」


「ボール握って満足してろ、野球部だろ?」



 こいつは馬鹿なのか?

 気味悪がられてるぞ。

 流れで秒殺されたろ。


 こんな調子で妖精護れるとか、微塵も思えない。



「カズ、青木さんに触れたら机みたいに壊すから」


「うっわ出たよ!マジだった」

「やったー 世界も救って?」

「ああ世界?世界ね、ついでにやっとく約束する」


「 オ マ エ が 壊 れ て ん だ ! 」

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