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1943年12月8日13時頃~トラック東方海上

 スプルーアンス提督は、アメリカ空母群旗艦、重巡インディアナポリスの艦橋で考えた。敵戦艦群は、駆逐艦を入れても十数隻だという。帰還機の少なさにショックを受けていたものの、こちらの戦艦群は60隻。どう間違っても、撃ち漏らすとは思えない。南西150キロにいる敵空母群をたたくべきだ。進路を南西に変更し、全攻撃機の出撃を命じた。ヘルキャット200機をつけ、ヘルダイバー160機、アヴェンジャー70機の編隊が飛び立った。艦隊に残ったのは、1次攻撃から帰還した100機あまりのヘルキャットのみとなった。


 第一戦艦部隊司令官マーク・ミッチャー中将は、オリンピックの射撃で金メダルを5つ獲得したことで有名な第二戦艦部隊司令官ウィリス・A・リー中将と無線連絡をとり、戦術を確認した。敵艦隊は、北東に向かって縦列をなしている。やや先行している第一戦艦部隊は、北北西から敵艦隊に迫り、第二戦艦部隊は、そのまま南下して敵の頭を押さえるということで一致した。アイオワ級主砲は、最大射程38キロ、レーダー連動管制射撃が可能である。相対距離35キロより射撃を開始することも打ち合わせた。


 第一戦艦部隊を先導するかたちになっていた重巡6隻が、敵まで40キロに迫ったとき、いきなりそれはやってきた。一番艦は船首を吹き飛ばされ、2番艦は前部砲塔に直撃して大爆発を起こした。4番艦は直撃を受けた後、艦橋を失っていた。5番艦は左舷側に大きなダメージを受けたようだ。無事だった2艦も隊列が大きく乱れて、進路に窮したようだった。

 驚きが去らない間に、次の砲弾は、戦艦の隊列を襲った。ミッチャー中将の目の前で、アイオワの2番砲塔がぶち抜かれた。艦橋の全員が倒れ伏す中、弾薬庫の誘爆が起き、アイオワは真っ二つに分かれた。ノースカロライナは、船尾に直撃弾を受け、左に隊列をそれていった。ワシントンは煙突に、サウスダコタは一番砲塔に直撃弾を受けた。サウスダコタのみが、元の進路を継続したが、駆逐艦隊に命令を下す前に、残っていた重巡2隻と共に直撃弾を受け、戦闘不能となった。駆逐艦隊は、とりあえず沈みゆく艦艇の人員救助をおこなうしかなかった。


 第二戦艦部隊のリー中将は、第一戦艦部隊の信じられない状況を横目に全艦突撃を命じた。まだ37キロあったが、ニュージャージーに射撃を命じた。その第一射が着弾する前に、敵巨艦の初弾がやってきた。そしてそれはニュージャージーの煙突をぶち抜いて、機関室に致命傷を負わせた。3斉射受けるまでに、すべての戦艦、重巡は燃えながら浮いている少数を除いて、轟沈していた。必死に突撃する駆逐艦隊を待っていたのは、戦艦の副砲と巡洋艦の主砲であり、1万メートルに迫る前に、12隻が破壊された。Mk14魚雷の射程は4000メートルである。あきらめて引き返すしかなった。

 リー中将は、悔しさのあまり、第一戦艦部隊の駆逐艦隊に突撃を命じたかった。しかし、第一戦艦部隊の駆逐艦は、救助した人員で甲板がふさがっている。目前の自分の艦隊の駆逐艦部隊の運命を見てあきらめた。副官にうながされ、沈みゆくニュージャージーを後にするしかなかった。

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