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1943年1月25日昼~パールハーバー

 太平洋方面軍司令長官チェスター・W・ニミッツ大将は会議室で報告を受けていた。20日に南太平洋の海上戦力が行動不能となり、21日にはポートモレスビーの航空及び護衛空母を含む艦艇の大半が破壊された。

現在のところどうやったのかは解明できていない。あまりにも正確な攻撃であることから、近くに観測員がいるはずと考え周辺を徹底的に捜索させているがなにも見つかっていない。ガダルカナルへは敵攻撃に備えるよう指示しているが、なんらその兆候はない。ラバウルからの敵航空機も少数が高空を旋回して飛び去っただけとのことだった。恐る恐る偵察隊を西方に進出させたところ23日現在で、不確実な情報ではあるが、どうも敵軍は撤退したらしいとのこと。意味が分からない。圧倒的に有利な状況を作り出しながら撤退だと?


そこへ連絡将校が飛び込んできた。

「司令長官!昨夜、パナマ運河が攻撃を受け、すべての閘門が破壊されたとのことです。ガトゥン湖の水が流れだし、太平洋側も大西洋側も洪水状態とのことです。」

「なんだと。復旧の見込みは!」

「現場はそれどころではないようです。」

 太平洋の機動部隊が使用不能となっているのに、パナマ運河が使えないとは。エンタープライズもサラトガも推進軸及びスクリューに損傷を受けているので、西海岸の大型ドックに回送中であるが、今度ばかりはどう頑張っても復旧に数か月かかるだろう。エセックス級が完熟航海中のはずだが、まだ到着していない。

「西海岸で製造中の空母を至急かき集めなければならん。キング大将に電話だ。」


 合衆国艦隊司令本部も混乱していた。とりあえず、西海岸及びハワイ艦隊の一部を南太平洋に派遣することになった。ニミッツは少なくなった手ごまから兵力を割かれるのを渋ったものの、この際なのでやむを得ない。パナマについては調査中だが、全力をつくしても復旧には半年はかかるだろうとのことだった。

 アリョーシャン列島はアメリカ国土であるから早期に回復の必要がある。すでに巡洋艦等をダッチハーバーに派遣していたが、この戦力もできればハワイに戻したかった。しかし、却下された。

「大統領が早期の国土回復を約束しているのだ。なんとか現有戦力で踏ん張ってくれ。」


 会議続きのうちに夜になり、執務室でぐったりとしていると、副官が飛び込んできた。

「司令長官。パールハーバーの艦隊が攻撃を受けている模様です。」

「何!直ちに夜間飛行可能な航空機を上げろ!敵が何者か確認させろ!」

 しかし、少数の夜間戦闘機や哨戒機が飛び立った時には、すでに終わっていた。パールハーバーにいた戦艦ネヴァダ、ペンシルベニア、アイダホ及び巡洋艦4隻さらに潜水艦3隻と護衛空母2隻が破壊されていた。すべてこれまで同様艦尾の破壊である。潜水艦と護衛空母は沈没したが、人員の損害はごくわずかだった。そして、航空機も爆撃機を中心に約200機が破壊されていた。


「何たることだ。これで日本の機動部隊にでも襲来されたら、前の時以上の損害を受けることになるぞ。今、太平洋にわが軍の戦艦も空母もいないのだ。」

どなたか評価点をいただけたようですね。ありがたいことです。

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